オモト
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オモト
オモト Rohdea japonica
分類APG III

:植物界 Plantae
階級なし:被子植物 angiosperms
階級なし:単子葉類 monocots
:キジカクシ目 Asparagales
:キジカクシ科 Asparagaceae
亜科:スズラン亜科 Nolinoideae
:オモト属 Rohdea
:オモト R. japonica

学名
Rohdea japonica (Thunb.) Roth[1]

オモト(万年青、Rohdea japonica)とは、中国から日本の暖かい山地に自生するスズラン亜科の常緑多年草[1]。日本では関東から沖縄にかけての山地、特に西日本に多く自生状態で生育し、観葉植物としても植えで栽培される。古典園芸植物の一つ。目次

1 歴史

2 特徴

3 芸

3.1 斑

3.2 葉の形

3.3 地合い


4 代表的な品種

4.1 大葉系

4.2 薄葉系

4.3 獅子系

4.4 縞甲系など

4.5 羅紗地系

4.6 新規登録品種


5 繁殖方法

6 オモトの登場する作品

7 脚注

8 参考文献

9 関連項目

10 外部リンク

歴史

万年青栽培の歴史は三百数十年とも四百年以上とも言われる。古くは徳川家康江戸城へ入る時、家臣の中に万年青を献上したものがいるとも伝えられる。江戸時代は主に大名のもとで栽培が行われた。元禄から享保年間の書物には斑入りの万年青が掲載されたものがある。このころより、栽培がある程度は一般庶民にも広がったようである。文化文政のころには、縞や矮性のものも栽培されるようになり、その一部は利殖の対象となった。このころは他に錦糸南天や松葉蘭なども同様に持て囃され、一種のブームとして狂乱的な状況があったようで、その中で一部の万年青には一芽百と言ったとんでもない価格がついた例もあったという。解説書として長生主人「金生樹譜万年青譜」(1833年)などが出版された。これらは天保の改革の際の規制の対象となった。植木鉢にも専用の万年青鉢が作られた。明治に入り、栽培の中心は武士階級から富裕階層へと移った。明治十年頃には京都を中心に大きなブームがあり、一鉢千円(現代の一億円に相当)という例があった。その後も何度かのブームを繰り返しながら推移している。

愛好者団体としては、1931年昭和6年)に日本万年青聯合会(1945年〈昭和20年〉に日本万年青連合会に改名)という全国組織が結成され、1992年平成4年)に当時の文部省の許可を受け社団法人日本おもと協会となり、2011年(平成23年)に内閣府の正式の認可を受け公益社団法人日本おもと協会(品種登録および栽培啓蒙を行っている)となり、現在に至る。
特徴

革質の分厚い針のような形のが根元から生え、40 cm ほどの大きさに育つ。夏ごろ葉の間から花茎を伸ばし淡い黄緑の小さなを円筒状に密生させる。秋ごろにつく実は赤く艶のある液果が好む。

円筒状に密生する

赤く艶のある液果種子

革質の

有肺類によって花粉が媒介される(カタツムリ媒花、malacophily)という特殊な生態を持つ[2]

古くから中国医学ではロデキシンを含む根茎強心剤利尿剤として使っていた。しかし、非常に危険な行為であり、死亡することすらある。薬草というより毒草と考えた方がよい。

赤い実と緑の葉の対照が愛され、俳諧では秋の季語。観賞用としても古くから栽培され、江戸中期に日本で爆発的に流行し、斑が入ったものや覆輪のあるものなどさまざまな種類が作出された。これらの品種を含む古典園芸植物としての万年青(おもと)は現在も多くの品種が栽培されている。

芸とは、万年青における葉の状態や葉姿、柄などの特徴の総称をいう用語。以降に万年青に見られるさまざまな観賞点を大まかに挙げる。

葉に白くなる部分が出るのを斑(ふ、斑入りとも)と言う。一般的な植物では覆輪、中斑、縞などが普通である。

覆輪(ふくりん):葉の縁に沿って斑が入るもの。

白覆輪(しろふくりん):白く縁どるもの(一般的に覆輪という)。

紺覆輪(こんふくりん):緑に縁どるもの(紺覆と呼ばれる)。


中斑(なかふ):葉の主脈に沿って内側に斑が入るもの。

縞(しま):葉の縦方向に細長い斑が入るもの。

虎斑(とらふ):葉の縦方向に対して横切るように斑が出るもの

しかし、万年青の場合、以下のようなより複雑なものがある。

根岸斑(ねぎしふ):白く短い細かい縞が多数はいるもの。

千代田斑(ちよだふ):根岸斑がより凹凸がはっきりしたもの。現在は千代田系として根岸斑も含み分類されている。

胡麻斑(ごまふ):白や黄色になった部分に細かい緑の点状部が多数残るもの。

白斑(しらふ):根岸斑がさらに細かく多数になったもの。

星虎(ほしとら):虎斑のひとつで、小さな斑がまばらに入るもの。

流れ虎(ながれとら):短い細い縞が集まって虎斑のようになったもの。

矢筈虎(やはずとら):着物の矢筈柄のような模様を作るもの。

図(ず):虎斑より複雑な形で、細かい模様を作るもの。

葉の形

葉の形の変化。万年青の葉芸は変化の幅が広く、薄く広い本来の葉の姿とは似つかないものも多い。

広葉(ひろは):丸みを帯びて幅広い葉のもの。

細葉(ほそば):特別に幅の狭い葉。

剣葉(けんば):角とも。棒状に先の尖ったもの。

本剣(ほんけん):葉全体が尖った棒になったもの。そればかりが出る、というのではなく、普通の葉の間にたまに出る。

鈴虫剣(すずむしけん):途中までは普通の葉で、先が剣になるもの。


竜葉(りゅうば):葉の面に細長い隆起が出るもの。

跳ね竜(はねりゅう):竜の先端が上に突き出たもの。

甲竜(こうりゅう):上面が幅広く平らになった竜。二本並んで甲竜が出たものを二面竜と呼ぶ。

雅糸竜(がしりゅう):幅が狭く線状に隆起したもの(ガシ竜ともいう)。葉の表面に多数並んで出る。稀に葉の裏面に出る裏ガシと呼ばれる芸が出るものもある。

玉竜(たまりゅう):雅糸竜が渦巻き状になったもの。


熨斗葉(のしば):葉が
熨斗を折ったような折れ方をするもの。

しかみ:葉が細かく縦折りになったようなひだが出るもの。

波葉(なみば):葉の縁が大きく波打つもの。

獅子葉(ししば):葉先が大きく巻き込むもの。

葉の形の変化と斑入りは連動することもある。たとえば覆輪があるものは、雅糸竜にそれが出る。雅糸竜は葉の集まりなので、覆輪の色で雅糸竜の色が決まる。覆輪が白い場合は白い雅糸竜が出るし、緑なら緑色の雅糸竜が出る。
地合い

葉の表面に質感にも様々なものがある。普通のものは、ややつやがあって滑らかだが、細かいしわなどがあると、微妙な照り具合が出る。その様子によって、羅紗地とか、ユズ肌などと呼ぶ。
代表的な品種

万年青の品種は多分古典園芸植物では一番多い(公益社団法人日本おもと協会に登録されている品種で1000品種を超える)。

また、同じ株でも芸の出方で名が変わる場合もある。ごくごく代表的なもののみをここでは挙げる。

公益社団法人日本おもと協会で毎年、人気登録品種の銘鑑(めいかん)を発行している。

銘鑑は、年一回、新品種登録審査後に発行され、公益社団法人日本おもと協会のサイトで参照することができる。

品種は以下のように分類されるが、公益社団法人日本おもと協会の銘鑑上では、大葉系、薄葉系(薄葉系、獅子系、縞甲系などを含む中ぐらいの大きさの品種)、羅紗系(主に小型系の万年青が多い)の三種類に分類されている(登録年度は公益社団法人日本おもと協会に登録された年度である)。


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