オムパレー(古希: ?μφ?λη, Omphal?)はギリシア神話に登場するリューディアの女王。オンパレーまたはオンファール、長母音を省略してオムパレ、オンパレ、オンファレなどの表記もある。
アポロドーロスによれば、オムパレーはイアルダノス(イアルダネースとも)の娘で、リューディア王トモーロスの妃となり、トモーロスの死後王位を継いだ[1]。神託によって奴隷となったヘーラクレースを、オムパレーが買い取って仕えさせた。以下の神話もアポロドーロスに基づく。目次 ヘーラクレースは、ヘーラーに吹き込まれた狂気のためエウリュトスの子イーピトスを殺し、病気に悩まされるようになった。ヘーラクレースはデルポイに赴いて神託を受けようとした[2]が、ピュートー(デルポイの古名)の巫女は神託を与えようとしなかった。憤慨したヘーラクレースは神殿を掠奪し、三脚台を持ち去って自身の神託所を建てようとした。これを阻止しようとしたアポローンとヘーラクレースの争いとなり、ゼウスが二人の間に雷霆を投じて分けさせた。この結果、ヘーラクレースは「奴隷として身を売られ、3年間[3]奉公した後にエウリュトスに殺人の代価を払え」という神託を受けた。ヘルメースがヘーラクレースを売り、これを買ったのがオムパレーである。 オムパレーに仕えている間、ヘーラクレースはエペソスの近くにいた二人のケルコープス
1 神話
1.1 後代の物語
1.2 解釈
2 オムパレーの子たち
3 芸術作品の題材
3.1 絵画
3.2 彫刻
3.3 音楽
3.4 文学
4 関連項目
5 脚注
6 参考図書
神話
こうしてヘーラクレースがオムパレーに仕えている間に、アルゴナウタイの探索やカリュドーンの猪狩りが行われた。また、この間テーセウスがトロイゼーンよりアテーナイに向い、その途上でならず者たちを退治したとされる。
後代の物語 ローマ時代のモザイクに描かれたヘーラクレースとオムパレー。ヘーラクレースの獅子の皮と棍棒をオムパレーが身に付け、ヘーラクレースは女装のうえ糸巻きの道具を持たされている。スペインen:Lliria 、3世紀
ヘーラクレースがオムパレーに仕えたとき、二人は互いの衣装を取り替えたとされる。この衣装取り替えについては、ローマ期以降脚色を受けて物語化され、絵画の題材としても好んで採り上げられるようになった。以下は、B.エヴスリン『ギリシア神話小事典』の記述の概略である。
オムパレーは専横な主人で、ヘーラクレースは女装のうえ、糸紡ぎの仕事をさせられた。オムパレーがヘーラクレースの獅子の皮を身にまとい、棍棒を持ったところ、棍棒の重さによろめいた。ある日、オムパレーは森から奇襲を受け、牛をさらわれ、部下が殺された。ヘーラクレースが獅子の皮をまとって棍棒を持って森に入り、敵を掃討したので、オムパレーはヘーラクレースを夫とし、3人の子を産んだ。
解釈 ウィーン・シェーンブルン宮殿のオムパレー像。