オペラグローブ(opera gloves)は、イブニングドレスやウェディングドレスなどの女性用礼服として着用される長手袋「イブニンググローブ」(en:evening gloves)の一種である。オペラグローブはイブニンググローブの中でも特に長く、肘を越え上腕中央かそれ以上(脇?肩付近)まで至る長い手袋のことである。
西洋の礼服の多くはキリスト教における儀礼用の衣装に由来しており[1][2][3]、特に、戒律に厳しく儀式が重んじられるカトリック教会では肌の露出を抑えることが求められ[4][5]、司教たちは清純さを表すために手袋(en:Episcopal gloves)を着用した[6][7]。その流れを受け欧米諸国では王室の公式行事や上流階級の社交界などの礼装に手袋が用いられ、女性の夜礼服などの半袖もしくは袖のないホルターネックやノースリーブのドレスには肘上まである長い手袋が着用されるようになり[8]、高貴な女性は長い手袋によって肌の過度な露出を抑え品位と謙虚さを保った[9]。日本の皇室でもそれを模範としたドレスコードが採用されており、公式行事で女性皇族がオペラグローブを着用することがある[10]。
そのため、神聖で厳格な場における正装としての意味合いが強く[11]、清楚な淑女の洗練された装いとされる。 ファッションアクセサリーとしての起源は、中世ヨーロッパのキリスト教礼式による礼拝時のスタイルや、そこから発展したフォーマルウエア
概要
西洋式のドレスコードの最上位グレードである「ホワイトタイ」では、女性は床丈のイブニングドレスと白の長手袋を着用することが規定されている[20][21][22][23]。また、イブニングドレスの一種であり、女性の最も正式な礼装として扱われるローブ・デコルテ[24]では、ドレスと合わせ[25]オペラグローブを着用する[26][27]のが正式なマナーである[28][29]。
素材は、子ヤギの革(キッドスキン(en:kidskin))が正式とされており、ホワイトタイのドレスコードやデビュタントなどのフォーマル性が高い場面ではこの革製のものが期待される[30][31]が、革製はオーダーメイドとなることも多く高価である。そのため、一般的にはドレスに合わせてシルクやナイロンのサテンやオーガンジー、レースなどの布製もよく用いられる。色は白か黒が多いが、慶事の礼装として着用される場合は白色が標準であり[32]、オペラグローブの代表的な色である[33]。白い手袋は清潔さと純粋さの象徴とされる[34][35]。 手袋の歴史では少なくとも古代ギリシア時代に遡る。紀元前440年に書かれたヘロドトスの著書「歴史」の中に、ガントレット一杯の銀貨を賄賂として受け取った罪に問われていることが記述されている。また、古代ローマ人の記述の中にも、度々手袋が登場し、中には西暦100年前後に活躍した小プリニウスによると、大プリニウスは馬車に乗車中に口述筆記させていた速記者に冬の間は手袋を着用させ寒さの中でも文章を書ける様にしていたという記述がある。
解説白色のオペラグローブをつけたナンシー・レーガン黒のオペラグローブを着用しているダイアナ妃オペラボール(舞踏会)にて、純白のボールガウンと白のオペラグローブを着用するデビュタント
歴史