オフショア金融センター
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タックス・ヘイヴンに在るドイツの資産のドイツのGDPに対する割合[1]。法令遵守をエンフォースするため租税情報を共有する国にあるタックス・ヘイヴンは衰退してきた。「Big 7」は、香港、アイルランド、レバノン、パナマ、シンガポールおよびスイスである。

オフショア金融センター(オフショアきんゆうセンター、Offshore Financial Center:OFC)とは、厳格な意味でのオフショア市場である。通常は、小規模かつ低税率な法域であって、非居住者たるオフショア会社に対する企業向け商業サービスの提供とオフショア・ファンドによる投資に特化したものをいう[2]。この用語は1980年代にまで遡る[3]。研究者のローズ(Rose)とシュピーゲル(Spiegel)[4]ソシエテ・ジェネラル[5]および国際通貨基金 (IMF)[6]は、オフショア・センターには、その居住人口に比例しない金融セクターを有するあらゆる経済圏が含まれるとした。.mw-parser-output .templatequote{overflow:hidden;margin:1em 0;padding:0 40px}.mw-parser-output .templatequote .templatequotecite{line-height:1.5em;text-align:left;padding-left:1.6em;margin-top:0}An OFC is a country or jurisdiction that provides financial services to nonresidents on a scale that is incommensurate with the size and the financing of its domestic economy.
(オフショア金融センターとは、その内部経済の大きさおよびこれに対する資金調達には不釣り合いな規模で非居住者に対する金融サービスを提供する国または法域である。)


--Ahmed Zorome, IMF Working Paper/07/87[7]
定義

ある金融センターが「オフショア」か否かは程度問題である[8][9]。現に、IMFのワーキング・ペーパーは上記記述を引用し、このオフショア・センターの定義には英国および米国も含まれるが、これらの国は、その大規模な人口やG20やOECDといった国際機関に加盟していることから、通常は「オンショア」とされるとしている[10]

タックス・ヘイヴン」というより不明瞭な用語は、しばしばオフショア・センターについて用いられることがあることから、両概念は混同されることがある。Tolley's International Initiatives Affecting Financial Havens[11]において、用語集の執筆者は「オフショア金融センター(offshore financial center)」を率直に「タックス・ヘイヴンと呼ばれてきたものを指す政治的に正しい用語」(a politically correct term for what used to be called a tax haven)と定義する。しかしながら、次のような留保を付している。「この用語を使用するということは、ある法域が、いかなる一般的な意義においてもタックス・ヘイヴンでないまま、オフショア金融センターとしての一定の便益を提供し得る、という重要な指摘をするものである。」(“The use of this term makes the important point that a jurisdiction may provide specific facilities for offshore financial centers without being in any general sense a tax haven.”)米国内国歳入庁の1981年の報告は次のように結論づける。「ある国がタックス・ヘイヴンであることの条件は、そのように見え、かつ、気にする者によってそのように考えられることである。」(“a country is a tax haven if it looks like one and if it is considered to be one by those who care.”)[12]

金融機関の守秘義務と租税回避の示唆するところによれば、「タックス・ヘイヴン」は必ずしもオフショア金融センターを示す適切な用語ではない。その多くにおいては、法定の銀行の守秘義務がなく[13]、その多くは、租税情報交換プロトコルを採用し、諸外国が脱税の容疑について捜査できるようにしているのである[14][15]

オフショア金融センターに対する見方は二分されている。擁護者は、評判のよいオフショア金融センターは、国際金融と貿易において適法かつ不可欠な役割を果たしており、その非課税の仕組みによってフィナンシャル・プランニングおよびリスク・マネジメントが可能となり、また、(航空機ファイナンスや船舶ファイナンス、医療機関の再保険といった)グローバルな取引に必要なクロス・ボーダー・ビークルの一部を可能たらしめているというのである[16]。擁護者は、米国政府(外国販売会社(Foreign Sales Corporation (FSC))の継続的利用によりオフショア金融センターを推進している。)および英国政府(カリブ海の属領におけるオフショア金融を積極的に推進しており、その目的はこれらの地域における経済の多様化の支援と、英国ユーロ債市場の促進である。)によるオフショア・センターに対する黙示の支持を指摘する。

米国政府の関係法人である海外民間投資公社(Overseas Private Investment Corporation (OPIC)は、会社法の未発展な国において貸付けを行う際には、しばしば、借入人に対して、ローンによる資金調達を容易にするためのオフショア・ビークルを設立することを要求する。米国の対外援助は、法律上、オフショア・エンティティーの組成なくしては実行することすらできないとの議論も可能であろう[要出典]。
監視

オフショア金融は、2000年以降ますます注意を払われるようになっており、特に2009年8月のG20会議の後はなおさらである。同会議においては、各国首脳によって、非協力的な法域に対して「措置を執る」(take action)ことが決議された[17]経済協力開発機構(OECD)、資金洗浄に関する金融活動作業部会(FATF)および国際通貨基金(IMF)を先鋒とするイニシアティヴは、オフショア金融産業に対して重大な影響を及ぼしてきた[注 1]。ほとんどの主要なオフショア・センターは、相当程度、資金洗浄その他の主要な規制される活動についてその内部規制を締め付けた。現に、ジャージーは国際的に最も従順な法域と格付されており、「40+9」の勧告事項のうち44を遵守している[18]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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