オッペンハイマー_「原爆の父」と呼ばれた男の栄光と悲劇
[Wikipedia|▼Menu]

オッペンハイマー 「原爆の父」と呼ばれた男の栄光と悲劇
American Prometheus: The Triumph and Tragedy of J. Robert Oppenheimer
著者カイ・バード
(英語版)
マーティン・J・シャーウィン
訳者河邉俊彦
発行日 2005年4月5日
2007年7月19日
発行元 アルフレッド・A・クノップ(英語版)
PHP研究所
ジャンル伝記
アメリカ合衆国
言語英語
ページ数 721
コードISBN 978-0-375-72626-2

[ ウィキデータ項目を編集 ]

テンプレートを表示

『オッペンハイマー 「原爆の父」と呼ばれた男の栄光と悲劇』(オッペンハイマー げんばくのちちとよばれたおとこのえいこうとひげき、American Prometheus: The Triumph and Tragedy of J. Robert Oppenheimer)は、2005年出版の伝記本である。史上初めて核兵器を開発したマンハッタン計画の指導者の理論物理学者のJ・ロバート・オッペンハイマーを題材としており、カイ・バード(英語版)とマーティン・J・シャーウィンが25年をかけて執筆した。2006年のピューリッツァー賞伝記部門を受賞した。

本書ではオッペンハイマーが「原子爆弾の父」としてマンハッタン計画の責任者として名声を得るまでの軌跡と、マッカーシー時代の保安聴聞会(英語版)による失脚が描かれている。本書ではオッペンハイマーを失脚させようとしたルイス・ストローズ(英語版)とFBIの試みが描写されている。原爆は決定的な転換点であり、科学と戦時兵器の重要な出会いとみなされている。これによりオッペンハイマーは重要な歴史的人物であり、原爆の倫理と原子力に関する政治的言説の象徴となる。本書ではマンハッタン計画の内外におけるオッペンハイマーの人生の様々な要素が掘り下げられており、彼の生い立ち、野心、思想、政治活動、結婚、他の女性や物理学者との関係、原爆に関する懸念、複雑性、欠点なども論じられている。

本書はクリストファー・ノーラン監督の2023年の伝記映画オッペンハイマー』にインスピレーションを与え、キリアン・マーフィーがオッペンハイマーを演じた。
内容

本書はオッペンハイマーの人生の様々なステージを全5部構成で記し、さらにプロローグとエピローグがついている。
プロローグ

プロローグではオッペンハイマーの葬儀について描写され、オッペンハイマーの生涯を勝利と悲劇、謎、複雑性、人情、祖国への愛に満ちたものとして論じている。プロローグで本書がオッペンハイマーの生涯を理解する試みであると説明されている。
第I部

第I部はオッペンハイマーの幼少期と倫理文化学園(英語版)とハーバード大学での初期の教育の軌跡から始まり、オッペンハイマーの早熟な学力、アメリカ合衆国南西部の自然への愛、物理学への情熱が描かれている。オッペンハイマーは子供時代について、「子供時代の私の生活は、世界に溢れる残酷で苦しい事に対する準備とはならなかった」とコメントしている[1]

著者たちはケンブリッジ大学でのオッペンハイマーの精神的危機、ゲッティンゲンでの彼の論理物理学者としての学問的繁栄、カリフォルニア大学バークレー校での論理物理学プログラムの創設者としての役割について記している。様々な分野に精通するオッペンハイマーは崇拝の対象となり、科学者としての国際的な名声を確立し、ヒンドゥー教経典を含む人文学や文学にも興味を抱き始める。
第II部

バークレー校教授時代のオッペンハイマーは大学院生のジーン・タトロック(英語版)と濃密な交際を開始し、社会的・政治的活動への新たな関心を抱いた。世界恐慌の中、オッペンハイマーは失業者や出稼ぎ農民に関心を寄せ、その後はアメリカ共産党(CPUSA)を通してスペイン救済のための寄付を行い、ナチス・ドイツからの難民(英語版)に資金を提供した。バークレー校時代のオッペンハイマーは自宅で労働組合の集会を開き、左翼活動に関わる学生たちのインナーサークルを維持した。


次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:64 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef