オゾン
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この項目では、酸素の同素体について説明しています。その他の用法については「オゾン (曖昧さ回避)」をご覧ください。

オゾン


IUPAC名

オゾン
識別情報
CAS登録番号10028-15-6
特性
化学式O3
モル質量47.998 g mol?1
外観淡青色気体
密度2.144 g L?1 (0 ℃), 気体
融点

80.7 K, ?192.5 ℃
沸点

161.3 K, ?111.9 ℃
への溶解度0.105 g / 100 mL (0 ℃)
熱化学
標準生成熱 ΔfHo+142.3 kJ mol?1
標準モルエントロピー So237.7 J K?1 mol?1
危険性
EU分類酸化剤 (O)
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。

オゾン(ozone)は、3つの酸素原子からなる酸素の同素体である。分子式はO?で、折れ線型の構造を持つ。腐食性が高く、生臭く特徴的な刺激臭を持つ有毒な気体である。地球の大気中にとても低い濃度で存在している。漢字で阿巽とも当てて書いた[1]活性酸素の一種。
性質

常温常圧では薄青色の気体である。沸点?111.9 (161.25 K) で紺色の液体となり、凝固点?192.5 ℃ (80.65 K) で濃紫色の固体となる。中心の酸素原子と両端の酸素原子の結合は2本とも等価で、オゾン分子は O=O+-O? と O?-O+=O の2つの極限構造からなる共鳴混成体であると考えられる。

オゾンはフッ素に次ぐ強い酸化力を持つため、高濃度では猛毒である。吸い込むと内臓が酸化されてびらん状になる。日本における作業環境基準は0.1ppmである[2]
発見

オゾンは、オランダの科学者Martinus Van Marumによって1785年にその存在が発見された。その後、1840年に、ドイツスイス化学者であるクリスチアン・シェーンバインによって、オゾンが酸素から形成されることが発見された。彼は雷雨の中でオゾンが現れることに注目し、そしてその奇妙なにおいから、ギリシア語で「臭い」を意味する ?ζειν (Ozein) に因み Ozon と名付けた。
生成

一般に空気中での紫外線照射、または酸素中での無声放電など高いエネルギーを持つ電子と酸素分子の衝突によって発生する。オゾンの発生は主に以下の化学式で表せる。 3 O 2 ⟶ 2 O 3 {\displaystyle {\ce {3O2 -> 2O3}}}

またオゾンは不安定な分子であるため、放置しておくと以下の化学式で酸素に変化する。 2 O 3 ⟶ 3 O 2 {\displaystyle {\ce {2O3 -> 3O2}}}

この反応は温度圧力が上昇するほど速くなる。

なお、直接酸素分子からオゾンが生成されるとは限らず、特に光化学スモッグなどではオゾン前駆体という窒素酸化物(NOx)や揮発性有機化合物(VOC)などが発生に関与している。

いくつかの電気機器は人間が臭いを感じる程度のオゾンを発生させる。特にブラウン管テレビやコピー機など高電圧を用いる装置で起こる。ブラシによって整流する電気モーターは機器内で繰り返される火花によってオゾンを発生させる。エレベーターポンプなどに使われる大型モータは小さいモータよりもオゾン発生量が多い。なお、これは整流子電動機特有の現象で、整流子のない誘導電動機同期電動機ではオゾンは発生しない。この他に、例えばアーク溶接実施時のように、波長の短い紫外線(UVC)を空気中で発生させた場合も、空気中に含まれる酸素分子が反応を起こしてオゾンが発生する。
オゾンの生産

工業的にオゾンを用いる場合、一般に水銀灯による短い波長の紫外線照射や高電圧による低温放電によって生産される。低温放電装置は二枚の電極板によって構成され、電極表面を、高い誘電率をもつホウケイ酸ガラス(パイレックスガラス)や雲母のような絶縁体で覆う。交流高電圧を電極にかけると無声放電が起こり、平板間に流した酸素分子が解離し、他の酸素分子と再結合することによってオゾンが発生する。また、陰極黒鉛電極、陽極白金電極を用い、希硫酸電気分解することによって陽極からオゾンが酸素との混合気体として生成される。同様に固体高分子電解質膜を、白金を用いた陰極と二酸化鉛を用いた陽極で挟み、を電気分解することでも陽極からオゾンが酸素との混合気体として生成される。
オゾンによる酸化反応

オゾンが水に対して酸化剤として働く時の半反応式は次のように表される。 O 3 + H 2 O + 2 e − ⟶ O 2 + 2 OH − {\displaystyle {\ce {O3{}+H2O{}+2{\mathit {e}}^{-}->O2{}+2OH^{-}}}}

酸性溶液中では溶液内の水素イオンが直接反応し、生成した水酸化物イオンが溶液内の水素イオンと反応して水ができる。半反応式は次のようになる。 O 3 + 2 H + + 2 e − ⟶ O 2 + H 2 O {\displaystyle {\ce {O3{}+2H^{+}{}+2{\mathit {e}}^{-}->O2{}+H2O}}}
オゾン酸化詳細は「オゾン酸化」を参照

オゾンを用いた有機合成反応の例としてオゾン酸化が挙げられる。アルケンをオゾンで酸化すると-C-O-O-C-O-という並びの5員環構造を持つオゾニドが生じ、還元的な後処理をすることによりケトンまたはアルデヒドが得られる。一方、酸化的な後処理をするとケトンまたはカルボン酸が得られる。オゾン酸化

有機高分子をオゾンにさらすと劣化が起こり、時に亀裂が生じる。この現象をオゾンクラッキングと呼ぶ。
オゾン層詳細は「オゾン層」を参照

大気の中で成層圏に存在するものはオゾン層を形成し、生命にとって有害な紫外線が地表に降り注ぐ量を和らげている。一方、地表付近では、オゾンは光化学オキシダントなどとして生成し大気汚染の原因となる。成層圏中のオゾン量はドブソン単位で表される。工業で用いられる場合、ppm容量パーセント濃度または重量パーセント濃度で表される。
利用法

オゾンは、フッ素に次ぐ強力な酸化作用があり、殺菌ウイルスの不活化、脱臭脱色有機物の除去などに用いられる。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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