Oklahoma!
オクラホマ!
作曲リチャード・ロジャース
作詞オスカー・ハマースタイン2世
脚本オスカー・ハマースタイン2世
原作リン・リグス
ライラックは緑に育つ
Green Grow the Lilacs
『オクラホマ!』(Oklahoma!)は、ロジャース&ハマースタインの作詞作曲家コンビによる第1作目のミュージカル。リン・リッグズの1931年の戯曲「ライラックは緑に育つ」を基にしている。1906年のアメリカ中西部・オクラホマ州クレアモア郊外のインディアン準州の農村を舞台に、農家の娘ローリー・ウィリアムズに対するカウボーイのカーリー・マクレーンと、陰鬱な農場労働者のジャッド・フライという2人の求婚者による恋の三角関係を明るく陽気に描いたものである。同時にカウボーイのウィル・パーカーと、浮気性の婚約者エイドエニーの不安定な恋愛模様も描かれている。
1943年3月31日初演のブロードウェイミュージカルである。初演時には前例のない2,212回というロングラン記録を打ち立てて大ヒット作となり、再演も数々受賞し、全米ツアー、海外プロダクションの他、1955年に20世紀フォックスによって映画『オクラホマ!』が制作されアカデミー賞を受賞した。学校演劇や市民劇団などでも人気の作品となっている[1]。1967年・1984年・2006年に宝塚歌劇団が上演した。
1944年、作詞作曲脚本のロジャース&ハマースタインはピューリッツァー賞特別賞を受賞した。
1927年の『ショウボート』を基に、単なる娯楽でなく感情に訴えることができるシリアスでドラマチックなエンディングの脚本に楽曲およびダンスが融合した「ブック・ミュージカル」の発展の象徴的作品となっている[2]。さらに音楽と物語を繋ぐために作品を通して繰り返される主題やモチーフを特徴としている[3][4]。15分におよぶ「ドリーム・バレエ」はローリーがカーリーとジャッドの2人の男性への感情で苦悩する様子を描いている。「美しい朝」「ノーとは言えない」「恋仲と人は言う」、そして終幕の「オクラホマ!」の大合唱などが鏤められた作品である。
同名のタイトルナンバーは後にオクラホマ州の州歌に採用された。 1940年代初頭には作曲家リチャード・ロジャースと作詞家オスカー・ハマースタイン2世はどちらもそれぞれ他の共同制作者と共にブロードウェイで有名であった。1920年代以降、ロジャースはロレンツ・ハートと共に『青春一座 1931年、シアター・ギルドはオクラホマ州のインディアン準州の開拓者たちについて描かれたリン・リグスの『ライラックは緑に育つ (戯曲)
背景
構想
ハマースタインは作曲前に歌詞を完成させることを好み、ロジャースは完成された歌詞に作曲することを好み、双方が好む作詞作曲法が合致していた。以前の共同制作者のロジャース&ハートにおいては、考えをまとめにくいハートが作詞の土台を必要としていたため、いつもロジャースが先に作曲していた。ハマースタインの元共同制作者にはルドルフ・フリムル、ハーバート・ストットハート、ヴィンセント・ユーマンスそしてジェローム・カーンがいたが、全て作曲が先でハマースタインが後から作詞をしていた。双方とも以前の共同制作者との方法とは逆のやり方となることにより、ハマースタインは歌詞で物語の基礎を固め、ロジャースは作曲によりその物語を増幅および強化させることができた[8]。ロジャース&ハマースタインがこの新作ミュージカルに取り掛かる際、これまでのミュージカル・コメディの慣例にとらわれず、独自の音楽性および物語性が原作『ライラックは緑に育つ』に沿うものになると意見が一致した[9]。当時のミュージカル作品は大規模なプロダクション、目新しさ、盛大なダンスを特徴とし、脚本はユーモアが重要でドラマチックな展開は少なく、曲は物語の流れを分断していたのである[11]。 世界大戦の間、ミュージカルの配役は歌が得意な役者に与えられていたが、ロジャース&ハマースタインは演技の得意な歌手を選んだ。シアター・ギルドの演出家の1人であるテレサ・ヘルバーンはローリー役にシャーリー・テンプル、アリハカム役にグルーチョ・マルクスを提案したが、ロジャース&ハマースタインは演出家のルーベン・マムーリアンの賛同もあり、より物語にふさわしい配役を希望した[8]。ブロードウェイ初作品となるアグネス・デ=ミルが振付を担当し、ローリーのジャッドとカーリーという2人の求婚者の間での苦悩を表現した、本作の最も特筆すべき不朽の第1幕フィナーレの15分におよぶドリーム・バレエを制作した[11]。 1943年3月11日、コネチカット州ニューヘイブンにあるシュバート劇場での試験興行時、題名は『Away We Go!』であった[12]。ハマースタインは6作品失敗が続いており期待値が低く、スター俳優も出演していなかった。プロデューサーのマイク・トッドは試験興行の第1幕途中で退席し、「若い娘もジョークも見込みもない」と語った[13]。
キャスティングおよび展開