オクトレオチド
IUPAC命名法による物質名
IUPAC名
(4R,7S,10S,13R,16S,19R)-10-(4-aminobutyl)-19-
[[(2R)-2-amino-3-phenyl-propanoyl]amino]-16-
benzyl-N-[(2R,3R)-1,3-dihydroxybutan-2-yl]-7-
(1-hydroxyethyl)-13-(1H-indol-3-ylmethyl)-6,9,12,
15,18-pentaoxo-1,2-dithia-5,8,11,14,17-
pentazacycloicosane-4-carboxamide
臨床データ
販売名Sandostatin
Drugs.com
オクトレオチド(Octreotide)はソマトスタチン模倣オクタペプチドである。ソマトスタチンよりも成長ホルモン、グルカゴン、インスリン阻害作用が強い。商品名サンドスタチン。 筋注(筋)と皮下注(皮)で効能・効果が異なる[1][2]。 オクトレオチドはしばしば肝硬変で門脈圧が亢進している場合の食道静脈瘤からの急性出血の治療に静脈注射で用いられるが、効果は限定的であり生存率の向上には繋がらない[3]。
効能・効果
(筋・皮)消化管ホルモン産生腫瘍(VIP産生腫瘍、カルチノイド症候群の特徴を示すカルチノイド腫瘍、ガストリン産生腫瘍)の諸症状の改善
(筋・皮)先端巨大症・下垂体性巨人症(外科的処置、他剤による治療で効果が不十分な場合または施行が困難な場合)における成長ホルモン、ソマトメジンC分泌過剰状態および諸症状の改善
(筋のみ)消化管神経内分泌腫瘍
(皮のみ)進行・再発癌患者の緩和医療における消化管閉塞に伴う消化器症状の改善
腫瘍(英語版
食道静脈瘤出血
放射線標識化「オクトレオチドスキャン(英語版
オクトレオチドにキレート剤を結合して111Inを担持させた薬剤はソマトスタチン受容体を発現している神経内分泌腫瘍などの非侵襲的シンチグラフィに用いられる[4]。最近は11C[5]や68Gaを用いたポジトロン断層法(PET)も実施され、解像度や感度の改善に寄与している。
オクトレオチドは90Yや177Luなどの種々の放射性核種をキレートして切除不能の神経内分泌腫瘍の放射性核種標識ペプチド治療(Peptide receptor radionuclide therapy、PRRT)に応用されている[6]。 オクトレオチドはSRIF受容体とも呼ばれるソマトスタチン受容体に結合する。SRIF受容体は神経内分泌腫瘍(NET)等で特に過剰発現している。SRIF受容体には5種類(SSTR1?SSTR5)が知られており、腫瘍のタイプ毎にどの種類が発現しているかが異なる。例えば胃腸膵管系神経内分泌腫瘍(GEP-NET)ではSSTR2の発現が多く、SSTR1とSSTR5は少ない[7]。 オクトレオチドの小児・妊婦・授乳婦に対する影響は検討されていない。これらの患者には、危険便益分析 添付文書に記載されている重大な副作用は、アナフィラキシー(頻度不明)と徐脈(0.1%)である[1][2]。 10%以上の患者に、頭痛、甲状腺機能低下症、刺激伝導系変化、消化器系症状(腹痛、嘔気、嘔吐、下痢、便秘等)、胆石、インスリン分泌低下、高血糖症[10]、低血糖症、(一過性の)注射部位反応が発生する。また1%以上の患者に徐脈、?痒などの皮膚反応、ビリルビン上昇、甲状腺機能低下症、眩暈、呼吸困難が発生する。稀な副作用としては、アナフィラキシー、膵炎、肝炎が知られている[8][9]。関節リウマチとの関連を示唆した研究もある[11]。脱毛の報告もある[12]。ラットも用いた1998年の実験では、勃起不全が見られた[13]。
標的受容体
禁忌
副作用