スダジイ
スダジイ(2006年10月)
分類
スダジイ(学名Castanopsis sieboldii)とは、ブナ科シイ属の常緑広葉樹である(シノニムC. cuspidata f. lanceolata、C. cuspidata subsp. sieboldii、C. cuspidata var. sieboldii)。別名はイタジイやナガジイ。普通、シイという場合には本種を指す。 暖地 樹高15?20m、直径1?1.5mに達する高木。幹は黒褐色で、直立し、成長すると樹皮に縦の切れ目が入ることが特徴である。葉は厚くクチクラ層が発達する。長さは5?10cm程度の広楕円形で互生し、先端は細く尖る。葉縁の上半分に鋭い鋸歯があるが、個体によっては鋸歯が鈍く目立たない場合や、鋸歯が認められない場合もある。また、葉の裏側が白色から赤銅色を呈するため見分けがつきやすい。成長すると樹冠がドーム型になり、スダジイ林を上からみると、まるでブロッコリーが集まっているように見える。開花期は初夏(5?6月頃)。葉腋から長さ6?10cm程度の穂状花序に黄色の小型の花を密につける。虫媒花。花が咲いた翌年の秋(10?11月頃)に長さ1?1.5cm程度の堅果(どんぐり)が熟す。熟すと殻斗(から)の先端は3裂し、中にある堅果を覗かせる。 樹皮(若いため切れ目が目立たない) 穂状花序と開花した花 比較的温暖な地域に生育し、日本では福島県および新潟県以西・以南から与那国島まで、日本国外では韓国の済州島に分布する。寒冷な気候には適さず、約2万年前のウルム氷期における本種(暖地性照葉樹林)の分布は九州地方南部が北限となった[1]。以後、間氷期となり気候の温暖化に伴って分布を広げ、現在に至った。 本種の分布の中心は温帯から亜熱帯であり、北限は最寒月の平均気温が2℃となる等高線とほぼ一致する[2]。緯度における北限は佐渡島、南限は波照間島である。特に、奄美群島以南に生育する集団を亜種オキナワジイ (ssp. lutchuensis) と分類することがあり(後述の近縁種と亜種)、この場合基亜種スダジイ (ssp. sieboldii) の南限はトカラ列島である[3][4][5]。
目次
1 特徴
2 形態
3 分布
3.1 日本での分布
4 近縁種と亜種
5 利用
6 保全状況評価
7 脚注
8 参考文献
特徴
形態
日本での分布
北限付近の各群落
本種は温暖多湿な環境を好むため、冬季に冷涼な地域では個体数が少なく、群落を形成することが少ないことから、新潟県や福島県、栃木県など北限周辺の群落は、各県のレッドリストおよび天然記念物に指定されることが多い(後述の保全状況評価)。