オカメインコ
オカメインコ(ノーマル)のオス
分類
オカメインコ(Nymphicus hollandicus)は、オウム目オウム科に分類される鳥類の一種。 オカメインコは名前に「インコ」とあるが、インコではなくオウム目オウム科に属するオウムである。オウムの仲間では最小。オーストラリアに広く分布し、群生する。 和名「阿亀鸚哥・片福面鸚哥」は、頬にある橙色のチークパック(斑点)をおかめの面になぞらえたものである。 尾羽を含めた全長は鳩などと同じくらいで、身体そのものの大きさはヒヨドリなどと同程度である。全長の半分を占める尾羽と、頭頂部にある冠羽が特徴。 冠羽は精神状態によって立てたり寝かせたりする。驚きや緊張を感じた時や危険を察知した状態では立ち、リラックスした状態では寝ていることが多い。 飼い鳥として日本でもポピュラーな種である。高い知能を有し、雛から育てた場合は人によく懐く。セキセイインコやジュウシマツなど、おとなしい他種の鳥であれば共に飼育することが可能である。また容易に繁殖する。 オス・メスの判断は主に尻尾の模様の有無や顔の模様で、ルチノー種(黒色色素の欠乏したもの。足や嘴は肌色で、赤目となる)の場合は尾にある黄色の縞模様のみで判断する。パイド(純白の色抜けがあるもの)などでは外見上からは雌雄の識別は難しい。通常、少しかがんだ体勢で見上げるようなポーズ(抱卵の体勢に近いポーズ)から、勢いよく数歩前に歩き、鳴き真似もしくは鳥本来の独特の鳴き声を出す方がオスである。メスにもオスと同じく鳴き真似をする個体はいるが、この独特のしぐさで歩き回らないため、容易に判別が可能である。プロのペットショップによる判別方法も、多くは個体の動きを観察する方法によっている。 この他の手法としては、羽毛や血液によるDNA性別鑑定を実施することで判定が可能。日本国内での費用は5,000円から8,000円ほどかかるが、海外に直接依頼する場合は3,000円程度で可能である。他にも親鳥の品種と子供の品種から遺伝法則により雌雄が区別できることもある。オスは口笛のまねが得意である。 オカメインコの平均的な寿命は15年から20年以上。また、ルチノー種は他の品種と比較したところ長生きの傾向にある。[1] ペットショップにおける生体の販売価格は10,000円から50,000円程度で、店によって著しい差がある。品種は10種以上存在するものの、鳥類以外を主とするペットショップでは2~3種類程度しか取り扱われていないことが多い。日本国内でも飼育されている歴史が比較的長く、簡単に巣引きできるため、中型インコとしては比較的安価ではある。 オカメインコはオーストラリアの内陸部に群れをつくって生息しているが、イギリス人が本国に持ち帰りペットとして広まったのが200年ほど前である。 学名の「Nymphcus hollandicus」はオーストラリアを初めて本格的に調査したオランダ人がオーストラリアを「ニュー・オランダ」と名付けたことから、「Psittacus novae-hollandiae(ニュー・オランダのオウム)」と呼んでいたものを1832年にドイツのヨハン・ワーグラー 英名の「Cockatiel」(コッカティル)は1845年にヨーロッパでペット目的の繁殖が行われた時に、ペット業者がポルトガル語の「Cacatilho」(小さなオウム)を元に名付けたとされる[2] 。 品種改良は1950年頃にパイドが報告されたのを始め、現在では組み合わせで何種類もある。 日本には明治末期の1910年代に輸入され、ペットとしての歴史は長いが原種の色合いが地味なことから同じオーストラリア産のセキセイインコなどと比べると全く普及せず、1960年代頃までセキセイインコの10倍以上の価格が付けられていた。しかし、ルチノーなどの品種が開発されると徐々に人気が上がり、現在ではペットショップで普通に見かけるほどになった。近年では鳥インフルエンザの発生により、生産コストが上がったため、価格は再び上昇気味である。 春と秋に親鳥雌雄が共同して巣を作り、雌が巣に産卵する。通常1日置きに4個から7個の卵を産む。卵の大きさはウズラの卵より一回り小さい程度で白色。雌が夜、雄が昼に交代で抱卵し、日に数回餌を摂るために巣から離れる。抱卵の時期は粟玉などの栄養価の高いものは控える。栄養が豊富にあると発情し抱卵を止めてしまい、交尾が始まる可能性がある。 抱卵してから18日から21日程度で孵化する。孵化したばかりの雛はおおよそ4g。抱卵の状態にもよるが、毎日もしくは1日置きに孵化する。孵化は通常朝方。 雛は孵化当初は「チッチッチッチ」、生後10日程度になると「ジャー、ジャー」と鳴きながら餌をねだる。親鳥は餌を食べて巣箱に戻り雛に餌を戻して口移しで餌を与える。オカメインコを手乗りとして育てたい場合には、生後18日から21日頃に巣箱から取り出し、以降は人の手で挿し餌をするとよい。この期間であれば、まだ雛があまり人間を恐れておらず、また人間が比較的容易に育てられるくらいに成長しているからである。
概要
雌雄の判別
寿命
価格
ペットとしての歴史
成長過程
産卵
孵化孵化1日目のヒナNymphicus hollandicus
生後3週間孵化3週目のヒナ
生後数か月
Size:22 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
担当:undef