オイルマネー
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オイルマネー(oil money)とは、主にOPEC加盟国の石油輸出による経常黒字で蓄積された資本のことで、1973年オイルショック後に発生した。国際的な原油取引市場ではアメリカ合衆国ドル国際決済通貨のほとんどを占めることからオイルダラーとも呼ばれる。OPECには中東諸国が多いため、中東のアラビア資本をさすことが多い。

英語では、石油を意味するpetroleum(ペトロリアム)と、アメリカ合衆国ドルを意味するdollar(ダラー)とを合成したPetrodollar(ペトロダラー)という呼称である。ただし、原油取引の国際決済通貨としてユーロなどの地位も幾分かあるため、場合によってはoil moneyやpetrocurrencyなどとも呼称される。
概要

1974年財政赤字とドル防衛が問題化していたアメリカ合衆国リチャード・ニクソン大統領ヘンリー・キッシンジャー国務長官サウジアラビアを訪問してファイサル国王やファハド・ビン=アブドゥルアズィーズ第二副首相兼内相との会談でドル建て決済で原油を安定的に供給することと引き換えに安全保障を提供する協定(ワシントン・リヤド密約)を交わした[1][2][3][4][5]。これにより、第四次中東戦争の禁輸で高値となっていた石油を輸出することが可能になって多額のドルが流入するようになった。国内への資本投下や財政支出などに用いられたが、使途が見つからなかった余剰資金が国際短期金融市場に流入することになった。この頃から、国際金融界において突如現れた産油国資本へ注目が集まるようになった。オイルマネーはユーロカレンシー市場を経由してほとんどがアメリカの金融市場へ流入していた。当初、流動性の高い短期資金であったが次第に運用結果を重視するようになった。

1970年代には高い原油価格を背景に膨張を続けたが、1980年代に入ると先物市場の形成により、産油国による原油価格決定力が低下したため原油価格は低迷。産油国の脱石油依存を狙った国内投資が増大したこともありオイルマネーの影響力は低下した。

2004年以降、国際的な流動性過多から商品市場の価格高騰が起きた。原油先物市場に投機マネーが流入し、2008年7月11日には一時1バレル147.27ドルにまで高騰、産油国は再度多額の輸出対価を得た。
脚注[脚注の使い方]^ “The Untold Story Behind Saudi Arabia's 41-Year U.S. Debt Secret”. ブルームバーグ (2016年5月30日). 2019年11月25日閲覧。
^ Clark, William R. Petrodollar Warfare: Oil, Iraq and the Future of the Dollar, New Society Publishers, 2005, Canada, ISBN 0-86571-514-9
^ "Petrodollar power". The Economist. 7 December 2006.
^ “‘MILESTONE’ PACT IS SIGNED BY U.S. AND SAUDI ARABIA”. ニューヨーク・タイムズ date=1974-06-09. 2019年11月25日閲覧。
^ “What Is The Petrodollar?”. FXCM.com. 2019年11月25日閲覧。

関連項目

サウジアラムコ

アブダビ投資庁

カタール投資庁

原油価格

国際収支統計

ソブリン・ウエルス・ファンド


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