この項目では、オイラーのγについて説明しています。自然対数の底については「ネイピア数」を、整数列については「オイラー数」をご覧ください。
オイラーの定数(オイラーのていすう、英: Euler’s constant)は、数学定数の1つで、以下のように定義される。
γ := lim n → ∞ ( ∑ k = 1 n 1 k − ln ( n ) ) = ∫ 1 ∞ ( 1 ⌊ x ⌋ − 1 x ) d x {\displaystyle \gamma :=\lim _{n\rightarrow \infty }\left(\sum _{k=1}^{n}{\frac {1}{k}}-\ln(n)\right)=\int _{1}^{\infty }\left({1 \over \lfloor x\rfloor }-{1 \over x}\right)\,dx}
オイラー・マスケローニ定数 (英: Euler-Mascheroni constant)[1]、オイラーのγ (英: Euler's gamma) とも呼ぶ。ちなみに、オイラーはこの定数を表わすのに記号 C を用いた。γ を用いたのはロレンツォ・マスケローニである[2]。
この値は、およそ0.57721 56649 01532 86060 65120 90082 40243 10421 59335 93992 35988 05767 23488 48677 26777 66467 09369 47063 29174 67495...である。
オイラーの定数は超越数であろうと予想されているが、無理数であるかどうかさえ分かっていない。目次
1 調和級数との関係
2 ガンマ関数との関係
3 積分表示
4 脚注
5 参考文献
6 外部リンク
調和級数との関係詳細は「調和級数」を参照 lim n → ∞ ∑ k = 1 n 1 k {\displaystyle \lim _{n\rightarrow \infty }\sum _{k=1}^{n}{\frac {1}{k}}}
上式中のΣ部は調和級数と呼ばれる。調和級数が発散するという事実は、今日においては微分積分学の初歩であるが、古くは収束すると考えられていた。
調和級数が発散することの証明を最初に行ったのは、14世紀のパリ大学のニコル・オレームであるが、これには誤りがあり、正しい証明が得られたのは17世紀になってからである。その後ライプニッツなどは有限項の調和級数の近似式に関心をもつなど17世紀においても数学的な関心を集めていた。
有限項の調和級数の近似式への関心から、レオンハルト・オイラーは調和級数の増え方が極限において対数関数に等しいことを証明した。つまり、調和級数と対数関数との差はある定数に収束し、それがのちにオイラーの定数と呼ばれるようになった。オイラーはこの値を小数第6位まで求めた。その後、ロレンツォ・マスケローニが第32位まで求め(ただし、正しかったのは第20位まで)、γの記号で表した[2]。 大文字のガンマ Γ で表されるガンマ関数と小文字のガンマ γ で表されるオイラーの定数は共にオイラーによって与えられたものであるが、オイラー自身は前者のガンマ関数を階乗(factorial)と呼んでいる。ガンマ関数の記号はルジャンドルに始まり、オイラーの定数の記号はマスケローニに始まるものである[2]。オイラーの定数の記号がガンマ関数に由来するものであったのか、今となっては確かめようがないが、オイラーの定数がガンマ関数に関係しているということは確かである。すなわち、ガンマ関数の乗積表示 Γ ( z ) = lim n → ∞ n z n ! ∏ k = 0 n ( z + k ) {\displaystyle \Gamma (z)=\lim _{n\to \infty }{\frac {n^{z}n!}{\displaystyle \prod _{k=0}^{n}{(z+k)}}}} に対し、その対数微分であるディガンマ関数 Ψ ( z ) = d d z log Γ ( z ) = Γ ′ ( z ) Γ ( z ) = lim n → ∞ ( log n − ∑ k = 0 n 1 z + k ) {\displaystyle {\begin{aligned}\Psi (z)&={\frac {d}{dz}}\log \Gamma (z)={\frac {\Gamma '(z)}{\Gamma (z)}}\\&=\lim _{n\to \infty }\left(\log {n}-\sum _{k=0}^{n}{\frac {1}{z+k}}\right)\end{aligned}}}
ガンマ関数との関係