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エンドウ(豌豆[2]、学名: Pisum sativum)は、マメ科の一・二年草。広く栽培され、食用となっている。一般に、エンドウマメとも。別名(古名)にノラマメ[5]。実エンドウ・グリーンピース(未熟の種子を食用とする場合の呼び方)、サヤエンドウ(莢豌豆・絹莢、未熟の莢を食用とする場合の呼び方)、ヨサクマメ(北東北の一部地域での呼び方)など。日本での栽培種には、ウスイエンドウ(うすい豆)[注釈 1][6]、キヌサヤエンドウ、オランダエンドウなどがある。 原産地は、エチオピア、中央アジアなどとされ、古代エジプトや古代ギリシアでの記録があることから、世界最古の農作物ともいわれている[2]。古代オリエント地方や地中海地方で麦作農耕の発祥とともに栽培化された豆で、原産地域であるフェルガナから漢に伝来した際に、フェルガナの中国名が「大宛国」であることから「豌豆」(えんどう=宛の豆)と名付けられたことが名の由来となっている。原種は近東地方に今日でも野生している P. humile Boiss. et Noo. と推察されている。もともとは麦類の間で雑草として生えてきたこの原種の野生植物を、種実を食用にしたり、根粒菌による土の肥沃化に効果があるなどの利用価値を発見することで、麦類とともに混ぜ植え栽培するようになり、次第に栽培植物として品種改良が進んだと考えられている。この地域では農耕開始期に、カラスノエンドウもエンドウと同時に同様の利用が行われ始めたが、こちらの栽培利用はその後断絶し、今日では雑草とみなされている。また、同じ地域に起源を持つマメ科作物としては、ソラマメ、レンズマメ、ヒヨコマメが挙げられる。麦作農耕とともにインドや中国などユーラシア各地に広まり、中国に伝わったのは5世紀、日本へは8世紀ごろに伝わった[2]。また、メンデルが実験材料としたことでも知られている。 さやの硬さにより、硬莢種(こうきょうしゅ)(P. sativum subsp. arvense) (Poir.
歴史
特徴サヤエンドウとして食用になるエンドウの若い果実グリーンピース - エンドウの種子完熟した硬莢種
原産地が冬に雨が多い地中海性気候の近東地方であるため、夏の高温期は成長適期ではなく、麦類と同様に基本的には秋まきして翌春収穫する。冬の寒さの厳しい東北北部や北海道では春まきして初夏に収穫する[9]。連作に弱く、一度栽培した土地では数年間栽培が困難となる[9]。また、原産地が土壌にカルシウムなどが多い乾燥地帯であることから想像できるように、酸性土壌にも弱い。
発芽に際しては同じマメ科のダイズのように胚軸が伸張して地上で子葉を双葉として展開するのではなく、上胚軸だけが伸張して地上に本葉だけを展開し、子葉は地中に残る。 えんどう
食品
(全粒、青えんどう、乾)[10]100 gあたりの栄養価
エネルギー1,473 kJ (352 kcal)
炭水化物60.4 g
食物繊維17.4 g
脂肪2.3 g
飽和脂肪酸0.27 g
一価不飽和0.44 g
多価不飽和0.68 g
タンパク質21.7 g
ビタミン
ビタミンA相当量β-カロテン(1%) 8 μg(1%)89 μg
チアミン (B1)(63%) 0.72 mg
リボフラビン (B2)(13%) 0.15 mg
ナイアシン (B3)(17%) 2.5 mg
パントテン酸 (B5)(35%) 1.74 mg
ビタミンB6(22%) 0.29 mg
葉酸 (B9)(6%) 24 μg
ビタミンE(1%) 0.1 mg
ビタミンK(15%) 16 μg
ミネラル
ナトリウム(0%) 1 mg
カリウム(19%) 870 mg
カルシウム(7%) 65 mg
マグネシウム(34%) 120 mg
リン(51%) 360 mg
鉄分(38%) 5.0 mg
亜鉛(43%) 4.1 mg
銅(25%) 0.49 mg
セレン(16%) 11 μg
他の成分
水分13.4 g
水溶性食物繊維1.2 g
不溶性食物繊維16.2 g
ビオチン (B7)16.0 μg
ビタミンEはα─トコフェロールのみを示した[11]。
単位
μg = マイクログラム (英語版)
IU = 国際単位
%はアメリカ合衆国における
成人栄養摂取目標 (RDI) の割合。
エンドウ(100g中)の
主な脂肪酸の種類[12]項目分量 (g)
脂肪0.4
飽和脂肪酸0.071
16:0(パルミチン酸)0.064
18:0(ステアリン酸)0.007
一価不飽和脂肪酸0.035
18:1(オレイン酸)0.035
多価不飽和脂肪酸0.187
18:2(リノール酸)0.152
18:3(α-リノレン酸)0.035
硬莢種は古くから乾燥種実として利用されており、日本ではアオエンドウは煎り豆、煮豆、餡(鶯餡)などに加工され、アカエンドウはみつまめやゆで豆として利用される。ヨーロッパでは煮込んでスープ(ピースープ(英語版))などとして利用されてきた。
しかし、今日、世界中で最も大量に消費されているのは乾燥していない未熟の莢や種実を野菜として利用する軟莢種である。東アジアでは未熟な莢を利用するサヤエンドウとして、インドから西では完熟直前の種実を利用するグリーンピースとして、主に消費されている。両者の性質を兼ね備えたのがスナップエンドウで、グリーンピースと同様に種実が完熟寸前まで大きく成長したものを収穫するが、莢もサヤエンドウと同様に柔らかく、果実全体が食べられる。
若い莢を食べるサヤエンドウはエンドウを代表する栽培種で、莢のこすれる音が衣ずれのようだといわれキヌサヤともよばれている[2]。スナップエンドウはアメリカ由来の品種で、莢は肉厚で、実はふっくらと大きく甘みがあるのが特徴である[7]。サトウサヤは、実がやや大きくなってから食べられるようにサヤエンドウから改良された品種で、糖度が高めなのが特徴である[7]。濃い紫色の莢をもつ「ツタンカーメン」という品種は、エジプトのツタンカーメンの墓から出土したともいわれ、中の豆を食べる[13]。日本の伝統野菜として知られるウスイエンドウ(碓井豌豆)は、大きくなった豆を食べるグリーンピースに似た品種で、主に関西で食べられている[13]。
エンドウは収穫期と食べる部位で呼び名も変わる[14]。食品としての莢や豆は、未熟な莢が「さやえんどう」(絹さや)、丸く大きくなった豆が「グリーンピース」、完熟して茶色になった豆を「えんどう豆」とよんでいる[14]。若い苗や蔓の先の柔らかい茎葉も野菜として利用され、中国ではこれを豆苗(トウミョウ)とよぶ[14]。
野菜としては緑黄色野菜に分類され、炒め物や和え物、豆ごはんなどに調理されるが、料理の彩りに使われることも多い[2]。β-カロテン、ビタミンC、食物繊維が豊富で栄養価が高く、豆の部分にはたんぱく質も多く含まれている[2]。
スペインのバスク地方は早摘みのエンドウ(涙豆)の産地となっており「畑のキャビア」とも呼ばれている[15]。
2004年には、サッポロビールによりエンドウのタンパクを用いた第三のビールが開発され、新たな食品を生み出す素材として注目を浴びた。
キッコーマンでは大豆・小麦のアレルギーにより醤油を利用できない顧客向けとして、エンドウで濃口醤油の味を再現した製品を販売している。 メンデルは遺伝の研究を行い、現在はメンデルの法則として知られる法則を発見し、遺伝学の歴史に大きな足跡を残した。特に1遺伝子雑種と2遺伝子雑種の研究が有名である。 1遺伝子雑種の研究について メンデルはこれを『優性の法則』と呼んだ。 また、
メンデルの実験
エンドウの種子には丸型としわ型がある。
純系の丸型としわ型を自家受精させたものの種子を調べると全て丸型であった。
これは丸型の形質がしわ型の形質に対して優性であることを示している。
生まれてきた丸型の種子を自家受精させると、丸型:しわ型=3:1の比率で種子ができた。