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エレクトリックアコースティックギター(通称:エレアコ)は、アコースティック・ギターにピックアップを取り付けアンプ等から大音量で演奏する事を可能にしたギターである。ポピュラー音楽のコンサートの大音量化の流れの中で、アコースティックギター本来の音をそのまま増幅できるように開発された。音色や使いやすさを調整するために、部分的に従来のアコースティックギターとは構造が違うところもあるが、生音での使用も可能な物が主流である。
アメリカでは"Electric-Acoustic Guitar"は、かつて「セミ/フル・アコースティック・ギター(ボディ内に空洞を設けたエレクトリック・ギター)」を指す言葉だったため、日本で呼ばれる「エレアコ」はアメリカではAcoustic-Electric Guitarと呼ばれることも多い。 現在のエレアコの原型となったのは1969年に発売されたオベーション社のギターである。ヘリコプターの製造会社カーマン・コーポレーションの社長、チャールズ・カーマンは有名なギタリストでもあった。1966年にカーマン・コーポレーションの子会社としてオベーション社を設立し、3年後に発売されたものが航空機の技術をギターに活かしたエレアコであった。発売当初はあまりにも画期的なもので受け入れられなかったが、1970年代には保守的なミュージシャンの間にも浸透していくこととなった。 オベーション以前も、ギブソンのJ-160E等のようなエレクトリック・ギター用のピックアップを装備したアコースティック・ギターは存在したが、エレクトリック用のピックアップが増幅する音は、アコースティック・ギター本来の音とは異なるものであった。オベーション社のギターはエレクトリック・ギター用のマグネティックピックアップではなくピエゾピックアップを搭載しており、よりアコースティック・ギター本来の音に近い音を出力する事に成功した。またボディのバックには、従来の木材の代わりに「リラコード」と呼ばれるグラスファイバーを半球状に加工したものを使用し、音の振動が集中する構造になっていた。現在でもオベーション社をはじめとしたいくつかのメーカーがこの構造を採用している。 1975年、オベーション社は新たなブランド「Adamas」を発売する。Adamasでは、カーボンファイバーの間に樺材が挟まれた「ファイブロニック・サウンドボード」がボディトップに使用され、従来のアコースティックに見られるような弦の真下に位置する1個の大きなサウンドホールではなく、ボディトップ上部に多数の小さなサウンドホールを空けるデザインが採られた。 その後多くのメーカーが追随し、エレアコを製造するようになる。日本ではタカミネが1979年にエレアコの発売を開始。その後モーリスが1981年にトルネードシリーズ、ヤマハが1983年にCWEシリーズを発売した。 現在ではマーティン、ギブソン、テイラーなど、主要なほとんどのアコースティック・ギター・メーカーが、エレアコのモデルをカタログに揃えている。 基本的な構造は一般的なアコースティック・ギターと類似している。 ハウリングを抑えるためにあえて「生の鳴り」を抑えている場合が多い。以下に例を挙げる。 また、従来のアコースティック・ギターに後から装着するための単体ピックアップも、各社から数多く発売されている。これらの製品は、「出来合いのエレアコではなく、自分の愛器をステージで使用したい」というミュージシャンに多く使用される。 ピックアップはギター内部に設置される音を拾う装置である。上記のとおり、エレアコにはピエゾピックアップが多く使用されている。 つまり、マグネティックピックアップが弦一本一本の振動のみを拾うのに対し、ピエゾピックアップは弦の振動に限らず、ギターの振動そのものを拾うことになる。このような理由からアコースティック・ギターの音色を表現することにおいてはピエゾピックアップの方が優れているとされている。
歴史
エレアコの誕生
その後の改良
構造
基本的構造
ボディを薄くする
サウンドホール
ソリッドボディ(内部に空洞のない構造)を採用
単板ではなく、合板(プライ)を使用する
ピックアップ
マグネティックピックアップ
エレクトリック・ギターで多く使用されている。永久磁石をコイルで巻いた物で、弦の真下に装備する。弦の振動のみを、電磁誘導で電流に変換し、シールドを通してアンプなどに送る。
ピエゾピックアップ
特殊なセラミックス「ピエゾ素子」の、力を加えると電圧が発生する性質を利用したものである。エレアコはボディ内部、多くの場合ブリッジサドル下にピエゾピックアップを設置し、弦とギター本体の振動によってピエゾに電圧を発生させ、その信号をアンプに送っている。
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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