エルフ_(トールキン)
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エルフ(英語: Elves、 単数形はElf)は、J・R・R・トールキンの、『ホビットの冒険』、『指輪物語』『シルマリルの物語』に登場する種族。中つ国に住む自由の民のひとつ。

クウェンディ、イルーヴァタールの長子、最初に生まれたものたち、エルダール、などと呼ばれる。
起源
クイヴィエーネン

かれらは、ヴァラールに手を加えられることなく、イルーヴァタール自身によって創造されたイルーヴァタールの子らのうち、クイヴィエーネンの湖のほとりで先に目覚めたものたちであった。中つ国にはまだかれらのほかに話す者はなく、自らをかれらの言葉でクウェンディ(話す者)と名付けた。かれらを偶然見いだしたオロメはかれらをエルダール(星の民)とよんだ。かれらは星の光の下に目覚めたからである。
ヴァラールの招き

オロメはヴァラールにエルフの目覚めを伝えた。ヴァラールの多くはエルフと親しみたいと願い、全てのエルフをアマンの地に招くことにした。しかしエルフははじめヴァラールを恐れ、招きに応じなかった。そこでオロメは、イングウェフィンウェエルウェの三人を使節として選び、ヴァリノールへと送った。かの地でヴァラールと二本の木の光を見たかれらは、クイヴィエーネンに戻ると、同胞たちに西方への移住を勧めた。
エルフの分裂

西方への旅の途中、エルフたちの間には多くの分裂が生じた。
アヴァリ

三人の使節の勧めをきいたあとも、まだ見ぬヴァリノールよりも中つ国の星の光と大地を好ましく思い、旅立たないものもいた。かれらは旅立つものたちから「気の向かないもの」アヴァリ(Avari)と呼ばれた。かれらの多くはテレリであり一部はノルドールであったが、エルダールとは異なるものとしてただアヴァリと呼ばれた。

第一紀にヒルドーリエンで目覚めた最初の人類たちの友人となり、教師となった。エルダールに比べれば文化や能力で劣るかれらも、覚醒したばかりの人間よりはずっと優れていたからである。第四紀のはじめ、エルダールが海を渡ったあとも、多くのアヴァリが中つ国にいた。

なお『シルマリルの物語』や『指輪物語』にはアヴァリは登場しない。
エルダール

西方へと旅立ったエルフは「エルダール」として知られる。これはオロメがエルフ全体につけた呼び名だが、エルフたちはこれに「アヴァリ」を含まなかった。エルダールには三部族がある。イングウェに率いられたヴァンヤール、フィンウェに率いられたノルドール、エルウェとオルウェに率いられたテレリ(リンダール)である。

神々の住まうアマンにたどり着き、二本の木の光を見たものたちである、ヴァンヤール、ノルドール、ファルマリは、しばしば「.mw-parser-output ruby.large{font-size:250%}.mw-parser-output ruby.large>rt,.mw-parser-output ruby.large>rtc{font-size:.3em}.mw-parser-output ruby>rt,.mw-parser-output ruby>rtc{font-feature-settings:"ruby"1}.mw-parser-output ruby.yomigana>rt{font-feature-settings:"ruby"0}上(かみ)のエルフ」(High Elves)とも呼ばれる。
ヴァンヤール

西方への旅の第一陣、全エルフの上級王であるイングウェに率いられた民はヴァンヤールと呼ばれた。金髪をもち、言葉と詩歌を愛するエルフで、マンウェヴァルダはかれらをもっとも愛した。西方への旅を終え、その全員がアマンの地に住んだ。怒りの戦いへの出陣をのぞけば、二度と中つ国に戻ることはなかった。
ノルドール

西方への旅の第二陣、フィンウェに率いられた民はノルドールと呼ばれた。黒髪をもち、手わざと知識を愛するエルフで、アウレと親しんだ。アヴァリとなったものを除けば、その全員がアマンの地にたどりついた。その知識への渇望のためメルコールに悪意を吹きこまれ、自ら作った宝への愛のためモルゴスの挑発にのせられた。多くがモルゴスを追って中つ国へと戻り、多くの勲しと悲しみを生んだ。
テレリ

西方への旅の第三陣、エルウェとその弟オルウェに率いられた民は、先行するエルダールによってテレリ(最後に来るもの)と呼ばれた。かれらは全員がヴァリノールに移る気持ちになっていたわけではなく、その歩みは遅かったからである。しかしかれらが自身につけた名前はリンダール(唄い手)であった。テレリの数は多く、二人の王をいただいた。銀髪をもち、水を愛するエルフで、そのためかれらの歩みは遅く、ついにアマンの地を踏まないものもいた。

テレリには多くの分裂が生じた。以下にその種類を挙げる。
ファルマリ
多くの分裂を経ながら、オルウェに率いられついに船でアマンにたどり着いたテレリは、ここでも海に魅入られアマンの海辺に住むようになった。そこでかれらはファルマリ(海のエルフ)と呼ばれた。
ウーマンヤール
光のエルフたちは、ついにアマンの地をふまず二本の木の光をみなかったテレリをウーマンヤールと呼んだ。
ウーマンヤールの分類
ファラスリム
エルウェとオルウェに率いられたテレリの歩みは遅く、ヴァンヤールとノルドールが海を渡ったとき、まだ東ベレリアンドにいた。エルウェが失踪したため、先に進む気になれなかったのである。しかしヴァンヤールとノルドールがアマンの地へ去ったことを知らされると、かれらはベレリアンドの西の岸辺へと急ぎ、オルウェを王にいただいた。その地でオルウェの民は
オッセウイネンの寵愛を受け、海を深く愛するようになった。オルウェの民がついにアマンへと渡るとき、オッセに説得されてベレリアンドの岸辺、ファラスの地に留まったものたちがいた。かれらはキーアダンを領主とし、ファラスリム(ファラスに住むもの)と呼ばれた。
シンダール
テレリの一行が東ベレリアンドに留まっていたとき、エルウェはフィンウェの野営地を求めてひとりあるいた。かれはナン・エルモスの森でメリアンと出会い、長いあいだ見つめあい、かれの民のもとへは戻らなかった。そこでオルウェが王となり、かれの民を率いてアマンへと渡っていった。しかしエルウェの友人たちはベレリアンドに留まり、自らをエグラス(見捨てられたもの)と呼んだ。そしてエルウェが姿をあらわすと、かれを灰色マント王シンゴルとして王にいただいた。かれらは中つ国に戻ったノルドールから、シンダール(灰色エルフ)と呼ばれた。かれらは自身の言葉では単にエゼル(エルフの意、複数形:エジル、集合名詞:エゼルリム)と称した。
ナンドール
オルウェに率いられたテレリのうち、レンウェに率いられた一行は、アンドゥインを渡って霧ふり山脈を越えることを望まなかった。かれらはアンドゥインを南下し、ついに河口までたっしたものもあった。他のエルフからは長いあいだ忘れ去られ、ナンドール(引き返すもの)になった。ナンドールは他のエルフよりも中つ国の生類にくわしくなった。あるものはまた北上し、霧降り山脈を越えたともいう。かれらからはデネソールに率いられたライクウェンディと、シルヴァン・エルフが分かれた。
ライクウェンディ
オークや狼が出現したとき、ナンドールたちは大きな恐怖におそわれて散り散りになった。


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