エルキュール・ポワロ
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1989年から2013年にかけて放送されたイギリスのテレビドラマシリーズについては「名探偵ポワロ」をご覧ください。

エルキュール・ポアロ
エルキュール・ポアロシリーズのキャラクター

初登場『スタイルズ荘の怪事件』(1920年)
最後の登場『カーテン』(1975年)
作者アガサ・クリスティ
詳細情報
性別男性
職業私立探偵、元・警察官
国籍 ベルギー
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エルキュール・ポアロ(Hercule Poirot, ポワロとも日本語表記)は、アガサ・クリスティ作の推理小説に登場する架空の名探偵ベルギー人

シャーロック・ホームズなどと同様、時代を越え現在にまで至る支持を得た名探偵の一人。ホームズ以来のそれまでの推理小説の主人公から一線を画した探偵であり、滑稽ともいえるほどの独特の魅力で高い人気を誇る。クリスティが生み出した代表的な探偵であると同時に、一般的にも著名な名探偵の一人である。

33の長編・54の短編・1つの戯曲に登場し、ミス・マープルシリーズと並んでクリスティが生涯書き継ぐ代表シリーズとなった。しかし、クリスティ自身は自伝の中で「初めの3、4作で彼を見捨て、もっと若い誰かで再出発すべきであった」と述べている[1]。孫のマシュー・プリチャードの証言では、クリスティはポアロにうんざりしていたが、出版社などに半ば強制される形でシリーズを書きついでいた[2]
人物設定
外見

背丈5フィート4インチ[3](約162.5センチメートル)の小男で、緑の眼に卵型の頭、黒髪でぴんとはね上がった大きな口髭をたくわえている[4]。三つ揃いの仕立て服に蝶ネクタイ山高帽を被りエナメルのブーツを履く[5]
性格

「灰色の脳細胞」を十全に活用できる賢さを持つと自認し、自らを世界最高の探偵であるとする自信家である[4]。『第三の女』で若い女性に「お年寄り」といわれたときには大変ショックを受けていた。女性には優しく、物腰柔らかで、若者たちの恋愛の成就を図る気障な紳士であり、常に整理・整頓を心掛け、身なりに注意を払い、乱雑さには我慢できない[4]

フランス語圏出身のため、興奮すると訛ったり、英語の合間合間にフランス語を混ぜたりするが、込み入った表現は英語で難なく話す。ポアロ自身は英語がまともに話せないふりをして、英国人を油断させるのだと言っている。いかにも外国的で時として滑稽とも見えるポアロの言動に英語圏の容疑者たちは油断し、事件解決の手がかりとなる言葉を洩らしてしまうことも多い。フランス人と間違われることをひどく嫌う。船や飛行機が苦手。

引退して悠々自適に生活し、カボチャ(正確にはペポカボチャの一種で外見が冬瓜に似る)を育てるのが夢で、実際に『アクロイド殺し』などでそのような生活を実現しているが、難事件・怪事件が引退を許さず、自身も実際には隠棲生活には適応できない様子である(『アクロイド殺し』では不意に癇癪を起こし、せっかくのカボチャを塀越しに投げ捨てるという暴挙に及んでいる)。
探偵としてのスタイル

捜査には容疑者たちとの尋問や何気ない会話に力点を置き、会話から人物の思考傾向・行動傾向を探っていく。シャーロック・ホームズのような、地面に這いつくばって証拠品を集めるやり方を「猟犬じゃあるまいし」と否定する[注 1](ホームズの頃と違い、スコットランドヤードパリ警視庁には証拠調べを任せるだけの能力があると信頼している)ものの、物的証拠も尊重してこれらと心理分析を組み合わせた推理で数々の難事件を解決してきた。容疑者全員を集め、ポアロの辿った推理過程を彼らへ説明しながら真犯人をその場で指し示す。
経歴

19世紀中頃に生を受け、ベルギー南部のフランス語圏ワロン地方)出身とされている。ベルギーのブリュッセル警察で活躍し[4]、署長にまで出世した後、退職していた。第一次世界大戦中、ドイツ軍の侵攻によりイギリスに亡命することを余儀なくされる。亡命者7名と共に、イギリスの富豪夫人(エミリー・イングルソープ)の援助を受けて、スタイルズ荘のそばにあるリーストウェイズ・コテージで生活をしていた。そこで、以前にベルギーで知り合っていた友人のアーサー・ヘイスティングズ大尉と再会し、殺人事件を解決する(『スタイルズ荘の怪事件』)。その後、イギリスでヘイスティングズ大尉と同居し、探偵として活躍し、数多くの難事件を解決する。ヘイスティングズが結婚してアルゼンチンに移住後、一時田舎に隠退するが、そこで起きた事件を解決後(『アクロイド殺し』)ロンドンに戻り、再び数多くの難事件を解決する。

最後の登場作品である『カーテン』において、「探偵」としてのポアロに終止符を打ち、ヘイスティングズの前から姿を消した[注 2]
設定の経緯

クリスティはホームズとは異なる、自分の扱いうる探偵役として、身近なものや日常のことからポアロの人物像を造形した。ベルギーからの亡命者という設定は当時のベルギーへの愛国的傾倒の他に、実際に近所の教区にいた亡命者集団から、几帳面な性格は自室の片付けの最中などに発想したという[8]

名前のエルキュール (Hercule) は、ギリシア神話に登場する怪力の英雄「ヘラクレス」のフランス語形であるが、クリスティは小男であるポアロにわざとこの名前をつけている[8]
家族

作中でしばしばポアロは自分の家族について言及するシーンがあるが、推理に必要な情報を引き出すための嘘が混ざっている可能性があるため、どこまで事実かは不明である。実際に作中に彼の家族ないし親族が登場したことはない。

ビッグ4』では一卵性双生児の兄弟・アシルがいるとされ、自分より頭が良いとポアロは述べている。その彼は実際に作中に登場するが、後にポアロの変装と判り、その後、ポアロはアシルは実在しない旨のことを述べている。なお、アシル (Achille) はアキレウスのフランス語読みである。その後、『ヘラクレスの冒険』では「兄弟がいたんじゃないのか?」という問いに対して「ほんの短い間のことだったがね」と答えている。またポアロの「偉大な探偵に兄弟はつきもの」というセリフは、シャーロック・ホームズの兄マイクロフトを意識したものであろう。

ポアロ自身についても、ロサコフ伯爵夫人に惚れていたような描写や、パトリシア・ガーネットによく似た「若くて美しいイギリスの女の子を愛したことがある」との発言[9]はあるものの、生涯独身を貫いたため、妻子はいない。
「ポアロ」表記

日本では Poirot について「ポアロ」と「ポワロ」の二つの表記が存在するが、フランス語でoiは「ォワ」という感じに発音するため、後者のほうが原音に近い[10][11]。以前は「ポワロ」と表記することが多かったが、「ポアロ」表記をしている早川書房が翻訳独占契約を結んだため、「ポアロ」という表記が世間に広まった。
登場作品

初登場はクリスティの処女作『スタイルズ荘の怪事件』(1920年)。以後『カーテン』(1975年)まで長編は33編、また50編以上の短編に登場(他にクリスティ自身がポアロ作品を数編戯曲化している)。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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