エリコンKA_20_mm_機関砲
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エリコンKA 20 mm 機関砲(エリコンKA 20ミリ きかんほう、英語: Oerlikon KA series)は、スイスエリコン社の20mm口径機関砲シリーズ。
設計

エリコン社が1930年代艦載機関砲として開発したエリコンSS 20mm機関砲は、第二次世界大戦において各国で大量に採用され、アメリカ海軍だけでも1万7千挺以上が運用されていた[1]1950年代に入ると、同社はその後継として、204-GKと5TGの2種類の機関砲を開発した[1]。いずれも1943年に開発された20×128mm弾を使用し[2]ガス圧作動方式の自動機構を備えていたが、閉鎖機構は異なっており、また砲身長は204-GKは85口径長なのに対して5TGは120口径長、給弾機構も204-GKはベルト式なのに対して5TGはドラム型弾倉式であった[3]。なお、204-GKの開発にはMG 151 機関砲の開発に携わったリンダー技師が参加しており、外見上もドイツ系の機関砲と類似しているが、内部機構は大きく異なっている[3]

また、イスパノ・スイザ社も同様のニーズに対して20×139mm弾を使用するHS.820(英語版)を開発しており[4]、1972年にエリコン社が同社の銃砲部門を買収すると、こちらもエリコン社のラインナップに加えられることになった[1][5]。新体制では、204-GKがKAA、5TGがKAB、HS.820がKADとなった[1][5]
諸元・性能

204-GK (KAA)5TG (KAB)HS.820 (KAD)
使用弾薬20×128mm弾20×139mm弾
砲身長1,700 mm (85口径)
[3]2,400 mm (120口径)[3]1,700 mm (85口径)[4]
砲口初速1,050 m/秒[3]1,130 m/秒[3]1,000 m/秒[4]
発射速度1,000発/分[3][4]
重量70 kg[3]95 kg[3]51 kg[4]

実装
陸上型M113装甲兵員輸送車に搭載されたGAI-B01

5TGを使用する単装マウントとして10ILa/5TGがあり、砲がKABと改称された後にはGAI-B01と称されるようになった[6]

HS.820を使用する単装マウントとしては、75発入りの箱型弾倉1つを用いて砲の右側からのみ給弾するHS.693-B3.1と、2つを用いて砲の両側から給弾するHSS.693-B5、50発入りドラム型弾倉1つを砲の上方に備えたHS.639-B4.1があり、砲がKADと改称された後には、それぞれGAI-C01および04、03と称されるようになった[6]

また、HS.820を連装に配して、両側に120発入りの箱型弾倉を備えたHS.666Aも開発され、砲の改称後はGAI-D01と称されており、上記のような20mm単装砲架と、より強力な35mm連装機関砲との間を埋めるものと位置づけられた[6]

ブッシュマスター計画の第一段階において、アメリカ陸軍コルト Mk12や204-GK、HS.820をVRFWS-I(Interim Vehicle Rapid Fire Weapons System)として検討して、1962年2月にHS.820を採択[2]、M139として制式化して、XM800M114A2装甲偵察車に搭載した[7][注 1]
艦載型イギリス軍艦に搭載されたGAM-B01

艦載用として最も簡易的なマウントがA41Aである[5]。これは大戦中にHS.804を架して用いられていたMk.7マウントの発展型としてBMARC社が開発したもので、Mk.7マウントと同様に給弾機構はドラム型弾倉式、旋回・俯仰とも手動式の簡素な単装マウントであり、1968年に生産が開始されたのち、一度販売が終了したものの、その簡素さを求めるユーザーも多く、1980年から生産が再開された[5]

一方、KAAを用いたベルト給弾式のマウントとして開発されたのがGAM-B01で、1976年より生産を開始した[5]。またBMARC社も、HS.820用に類似したマウントであるA41/820を開発しており、こちらは1970年より生産を開始して、HS.820がKADと改称されるのに伴ってGAM-C01と改称された[5]1982年フォークランド紛争を受けて、多くのイギリス軍艦にGAM-B01が緊急搭載された[5]
脚注[脚注の使い方]
注釈^ VRFWS-Iはその名の通りあくまで暫定的な措置であり、後にはより大口径の機関砲を求めるVRFWS-S(Successor)の計画が着手されて、エリコン社の25mm口径弾を用いてヒューズ社が開発したM242 ブッシュマスターが採択された。

出典^ a b c d Hooton 1998, §GUNS AND ROCKET LAUNCHERS, INTERNATIONAL.
^ a b Chinn 1987, pp. 257?262.
^ a b c d e f g h i Chinn 1951, pp. 554?564.


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