エリア88
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この項目では、新谷かおるの漫画作品について説明しています。作中に登場する架空の基地および外人部隊については「エリア88 (架空の基地)」をご覧ください。

エリア88
ジャンル少年漫画
漫画
作者新谷かおる
出版社小学館

その他の出版社
スコラ(スコラ漫画文庫シリーズ)
メディアファクトリー(完全版:フラッパーシリーズ)

掲載誌少年ビッグコミック
レーベル少年ビッグコミックス
発表期間1979年 - 1986年
巻数全23巻
ワイド版:全10巻
文庫版:全13巻
完全版:全13巻
OVA:エリア88
原作新谷かおる
監督鳥海永行
脚本酒井あきよし
キャラクターデザイン岡田敏靖
音楽新田一郎
アニメーション制作スタジオぴえろ
製作スタジオぴえろ
発表期間1985年 - 1986年
話数全3話(ACT I、ACT II、ACT III)
その他ACT IとACT IIは1本に再編集されて
1985年に劇場公開された。
アニメ:エリア88
原作新谷かおる
監督今掛勇
シリーズ構成大野木寛
脚本大野木寛、野村祐一
キャラクターデザイン神志那弘志
メカニックデザイン佐藤道明
音楽三宅一徳
アニメーション制作グループ・タック
製作テレビ朝日、88製作委員会
放送局テレビ朝日、アニマックス
放送期間2004年1月9日 - 2004年3月26日
話数全12話
テンプレート - ノート
プロジェクト漫画アニメ
ポータル漫画アニメ

『エリア88』(エリアはちじゅうはち・Area88・エリアエイティエイト[注 1])は、新谷かおるによる日本の傭兵戦記漫画
作品概要

本作は小学館の漫画雑誌『マンガくん』が『少年ビッグコミック』に誌名変更された際の新連載作品の一作であり、1979年から1986年までの8年間にわたり連載された。精緻なメカ描写や、リアリティのある舞台設定、空軍基地エリア88の一癖ある傭兵たちが交わす哀愁の漂うセリフなどの独特な特徴から広範な支持を受け、あだち充の『みゆき』と並ぶ同誌の看板作品となり、後発の作品にも多大な影響を与えた。単行本は全23巻、復刻版(ワイド版)は全10巻、文庫版(スコラ漫画文庫シリーズ版、MFコミックス版)と完全版(メディアファクトリー・フラッパーシリーズ)は全13巻が刊行されている。第30回(1984年度)小学館漫画賞受賞。

最終回は巻末の掲載で異例の「前半モノクロページ、後半カラーページ(2色カラー)」という構成であり、通常のカラーページを掲載する場合とは逆であった。これは作者の強い要望により実現したもので、最終ページの見開きのコマはカラーということも相まって大きな反響を呼んだ。この後半のカラーページという新谷の要望に対し、担当の編集者は「麻雀漫画みたいでイヤだ」といい顔をしなかったという[1]。単行本では再現されなかったものの、のちにメディアファクトリーから発売された「完全版」ではカラーページも完全再現された。

最終回の1ページ丸々使ってのスタッフロールでは、当時『うる星やつら』を連載していた高橋留美子から、「私が『うる星やつら』の最終回でやりたいと思っていたのに、先を越された」といった旨の言葉を言われたという[1]。ちなみにここにはアシスタント時代のゆうきまさみの名前もある。

作品が生まれるきっかけは、ある一本のテレビCMから。ベトナム戦争真っ只中の時期に放送され反響を呼んだナショナルBCLラジオ(RF-1150)のCMに、「異国に出兵中のアメリカ人兵士がラジオから流れる国歌を聴いて涙する」というものがあった。このCMを見た新谷かおるが「もし日本人が似たような状況で、異国の地で『さくらさくら』を聴いたらどうなるのだろう…」と思ったのが本作が生まれるきっかけであった。題名にある「88」は、プラモデルでその出来に満足した88mm対空砲から来ている(1984年発売のオリジナルBGMから)。また「(師である松本零士)先生の好きな99を超える数字を弟子が使ってはいけないという思いからです。」[2]ともしている。

作者によると『巌窟王』がベースであり、友に裏切られ、恋人を奪われ、エルバ島に流されたモンテ・クリスト伯は…というくだりをそのまま使ったとのことである[1][注 2]

この作品の影響力は大きく、作品自体のゲーム化に留まらず、バンダイナムコの「エースコンバットシリーズ」をはじめ日本製のフライトシューティングゲームでは必ずといって良いほど本作に登場した機体が登場する。海軍機として著名かつ他の映像作品にも登場実績のあるF-14系やハリアー系はともかく、なかにはマイナー機のF-5Eや試作機に過ぎないF-20・X-29などが登場することも少なくない。更に先述の「エースコンバットシリーズ」においては、作品間のコラボレーションとして本作登場時の仕様を忠実に再現した機体の登場実績までも存在する。また、同シリーズの多数の作品においては、敵を撃墜したスコアに応じて得た報酬によって新しい機体を購入するといったシステムや、登場人物たちのウィットやニヒリズムに富んだ会話などが散見され、これらについても本作の世界観からの影響を推し量ることができる。
あらすじ

大手航空会社である大和航空のパイロット訓練生・風間真(シン・カザマ)は親友の神崎 悟と共にパリでの研修訓練を終了し、帰国後にパイロットとしての第一歩を踏み出すことになっていた。シンは社長令嬢・津雲 涼子との交際も順調でその将来を嘱望されていた。だが、研修終了後に神崎に呑みに誘われ泥酔したシンは、神崎の策略により激しい内戦の続く中東のアスラン王国傭兵部隊入隊の契約書にサインをさせられ、戦闘機乗りとして傭兵部隊に入隊する。

シンが配属されたのは作戦地区名エリア88と呼ばれる傭兵部隊で構成された空軍基地であった。この基地から除隊するには、高額の違約金を払うか、契約満了まで生き延びるかのみ。シンは違約金を稼ぐため、ザク・ヴァシュタール国王率いるアスラン政府軍の傭兵として、ザク国王の実兄であるアブダエル・ヴァシュタールが率いる反政府軍と血みどろの戦いを繰り広げることになる。戦いのさなか、シンはエースパイロットとして頭角を現し、報奨金を稼いでいくが、次第に傭兵稼業に染まっていく。

エリア88には、アメリカ出身でベトナム帰還兵のミッキー・サイモン、デンマーク空軍出身で対地攻撃では右に出る者がいないグレッグ・ゲイツ、西ドイツ出身でNATO空軍の元将校フーバー・キッペンベルク、そして彼らの指揮官であり、アスラン空軍のエリートとして将来を嘱望されていたアブダエル・ヴァシュタールの長男であるサキ・ヴァシュタールらがいた。彼らは様々な事情から心に傷を負い、傭兵とその雇い主に身を落としていた。一騎当千を謳われる戦友たち、そして彼らに武器を売って儲ける因業爺のマッコイと共に、シンは数々の危険な作戦をこなしていく。

行方をくらませたシンの身を案じていた涼子は、偶然にも欧州に居たサキと飛行機で乗り合わせる。サキ暗殺のため飛行機に仕掛けられた爆弾を巡り、シンとミッキーが危険な解除作戦を成功させる。涼子から何があったのかを尋ねられたサキは、飛行機の窓から見えるクフィールを指さし、「あれは私の部下のシンとミッキーです」と告げた。まさかと思う涼子だったが、帰国した涼子は、たまたま手に取った雑誌に、サキとシンの写真が掲載されているのを見つける。シンが中東のアスラン王国にいることを知った涼子は、社長秘書の安田 妙子とともに旅立つが、その機を操縦するのは神崎だった。エリア88で航空無線に入ってくる民間機の交信を聞いていたシンは、神崎の機がアスラン付近に来ていることを知る。激情に駆られ撃墜を試みるシンだったが、神崎から涼子が搭乗していることを聞かされて思いとどまる。しかし、民間機攻撃の責を問われたシンは独房に入れられる。数日後、独房でサキより民間機攻撃の真意を尋ねられたシンは、錯乱しサキの視神経に失明につながりかねない深刻な傷を負わせてしまう。サキは後にこの傷が原因で失明しかけ、スイスで治療を行うことになる。シンはサキの配慮により銃殺こそ免れたものの、サキが失明する可能性があることを知り後悔する。一方神崎はシンの攻撃を受けたことを大和航空本社に連絡し、涼子のアスラン行きを断念させる。シンの生存を知った神崎はシンを確実に葬り去るため、マフィアの手を借りてエリア88の志願兵を装った刺客チャーリーを送り込むが、シンに返り討ちにされる。

アスランの水準を上げるため、外資導入を図ろうとするサキの父アブダエル率いる反政府軍には様々な勢力が石油利権目当てで援助していた。シシリアンマフィアのジュゼッペ・ファリーナは新兵器開発の実験場としてアスラン内戦を利用し、財力を注いで作り上げた地上空母により各種データを収集していた。ファリーナは、サキの実弟であり、反政府軍に加わっているリシャール・ヴァシュタールを地上空母に招待し、地上空母を反政府軍に貸し出す旨を告げる。

その頃日本では神崎による大和航空乗っ取りが行われ、新社長となった神崎は安全基準ギリギリで運用コストの低い旅客機を採用し、大和航空の収益を改善していった。だが、羽田沖で墜落事故が発生する。神崎の乗っ取り以前から神崎の行動に疑問を抱いていた安田は、神崎の身辺調査を行う。それを知った神崎は安田を殺害すべく情婦ジュリオラを差し向けるが、安田は難を逃れ、調査報告を発表することで神崎を失脚に追い込む。

アスランでは、エリア88が地上空母に攻撃を仕掛けるが、艦載機であるリモコン操縦のF-18にエリア88パイロットは苦戦する。


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