エミリー・デイヴィソン
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エミリー・ワイルディング・デイヴィソン

エミリー・ワイルディング・デイヴィソン(英語: Emily Wilding Davison、1872年10月11日 - 1913年6月8日)は20世紀初頭に女性参政権を求めて戦ったイギリスサフラジェットである。

9回にわたって逮捕されることとなった極端に過激な戦略で知られていた。ハンガーストライキなどの手段で抵抗し、収監中に49回も強制摂食を受けた。収監中のハンガーストライキはサフラジェットがよく行った抵抗戦略であり、イギリスの刑務所当局はこれに対して強制摂食を行っていた[1]

デイヴィソンが行った最も有名な抵抗活動は、1913年6月4日のエプソムダービージョージ5世の馬であるアンマーの前に飛び出て重傷を負い、4日後に亡くなったことである。葬儀は1913年6月14日に女性政治社会連合 (Women's Social and Political Union、 WSPU)によって行われた。数千人のサフラジェットがに付き添い、数万人がロンドンの通りに並んだという。ブルームスベリー礼拝が行われた後、棺は鉄道で家族の住むノーサンバーランドのモーペスへ送られた[2]
生い立ちと教育

デイヴィソンは南東ロンドンのブラックヒースで、ノーサンバーランド、モーペス出身のチャールズ・デイヴィソンとノーサンバーランド、ロンゴースリー出身のマーガレット・デイヴィソンの娘として生まれた。両親を同じくする2人の兄弟姉妹と、父の最初の結婚で生まれたきょうだいが数名いた[3]

その後エミリー・デイヴィソンはケンジントン・ハイ・スクール(現在のケンジントン・プレパラトリー・スクール)に通い、1891年にロイヤル・ホロウェイ・カレッジで文学を学ぶ奨学金を得た。しかしながら父が亡くなり、母が1学期20ポンドの費用を払えなかったため、1892年1月に余儀なく退学することとなった。その後、デイヴィソンはオクスフォード大学セント・ヒュー・カレッジに在籍できるようになった。セント・ヒュー・カレッジの最終試験では優等をとったが、この当時女性はオクスフォード大学の卒業学位を認められていなかった[4]。大学に通った後、デイヴィソンはバークシャーノーサンプトンシャーのスプラットンに住む家族の子どもたちを教える仕事についた[3]
活動

1906年にデイヴィソンは女性政治社会連合 (Women's Social and Political Union、 WSPU)に入った。1903年にエメリン・パンクハーストにより結成されたWSPUは、女性参政権という最終目的達成のためには戦闘的で対立も辞さない戦略が必要であると考える人々を糾合するものであった[4]。1908年、デイヴィソンは運動に完全に身を捧げるため、教職を離れた。同年、デイヴィソンは現代外国語学位の外部候補生としてロンドン大学の試験を受けた[5] メイベル・キャッパーがサフラジェットのハンガーストライキをテーマにつくったスクラップブック(1909)にあるエミリー・ワイルディング・デイヴィソンの記載

デイヴィソンはすぐに戦闘的で暴力的なキャンペーン活動家という評判をとるようになった。自身の主導でWSPUの承認なしに会合の妨害から投石・放火まで行った。9回刑務所に収監されたが、その間にハンガー・ストライキを行って強引かつトラウマを引き起こすような手法・機器による強制摂食を受けたが、この方法はハンガー・ストライキを行ったサフラジェットに対して通常実践されるものであった[4]

1911年4月2日、1911年の国勢調査の夜に、デイヴィソンはウェストミンスター宮殿のチャペルである聖メアリ聖堂地下室の棚に隠れた。国勢調査の間棚の中にとどまったので、合法的に国勢調査票の上で自らの住居を「庶民院」とすることができた[6]。1911年の国勢調査文書ではエミリー・ワイルディング・デイヴィソンはイギリス国会議事堂の「地下聖堂に隠れて」いたのが見つかったと書かれている[7]。1990年、この出来事を記念してイギリスの政治家トニー・ベンがデイヴィソンが隠れていた棚に銘板を設置した[8]

1912年6月、ホロウェイ刑務所における放火による6ヶ月間の刑期が終わりに近づいていたが、この時デイヴィソンと十数名の仲間のサフラジェットが強制摂食を受け、デイヴィソンは10メートルの鉄の階段から身を投げた。この出来事はデイヴィソンに自殺傾向があったかもしれないことを示すために引かれることがあるが、文書による説明ではデイヴィソンは仲間のサフラジェットが危険にさらされるのを防ごうとしたためだと述べている[9]。結果としてデイヴィソンは頭と背骨に重傷を負い、残り12ヶ月の人生を苦しみつつ過ごすことになった[10]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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