エボラ出血熱
エボラ出血熱の感染者 (Mayinga N'Seka
エボラ出血熱
別称Ebola hemorrhagic fever
概要
診療科感染症
症状発熱・頭痛・筋肉痛・嘔吐・下痢など
原因エボラウイルス
合併症脱水症状、播種性血管内凝固症候群など
治療輸液による全身状態の改善など
予後致死率50?80%
分類および外部参照情報
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エボラ出血熱の発生地 (1976年- 現在)
エボラ出血熱(エボラしゅっけつねつ、Ebola hemorrhagic fever[† 1][† 2]; EHF)、またはエボラウイルス病(エボラウイルスびょう、Ebola virus disease; EVD)は、フィロウイルス科エボラウイルス属のウイルスを病原体とする急性ウイルス性感染症。マールブルグ病、ラッサ熱、南米出血熱、クリミア・コンゴ出血熱と並ぶ、ウイルス性出血熱の1つだが、感染者が必ずしも出血症状を呈するわけではないため、国際的には呼称がエボラ出血熱からエボラウイルス病へ切り替わりつつある[1][2]。主にアフリカで発生する。
ヒトに感染し、治療開始が遅れると致死率は80 - 90%に上る(ウイルスによって異なる)[3]。また、仮に救命できたとしても重篤な後遺症を残すことがあり、リスクグループレベル4ウイルスの一つである。一方、毒性や致死率があまりにも高く、遠出する機会を得る前に患者が死亡してしまうことが専らであることから、世界的流行には至っていない(これが致死率が比較的低いため軽症の患者が遠出しやすく世界的大流行を引き起こした新型インフルエンザや新型コロナウイルス感染症との違いである)。
2019年7月、WHOはコンゴ民主共和国での大流行について「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態(PHEIC)」に指定した[3]。
概要詳細は「エボラウイルス属」を参照
エボラウイルスは大きさが80 - 800 nmの細長いRNAウイルスである。ひも状、U字型、ぜんまい型など形は決まっておらず、多種多様である。他の多くのウイルスと異なり、免疫系を攪乱するデコイを放ち、生体の防御機構をほぼ完全にすり抜けるという特徴がある。これが感染性の高さに繋がっている。また、ウイルス増殖の際に体細胞の構成要素であるタンパク質を分解することで、全組織を傷害し、最強の毒性を発揮する。さらに、ウイルスが免疫系の中枢である白血球を大量に破壊し、サイトカインストームを起こして血管を傷害し、血栓を作り、肝臓を始めとする全身の臓器を冒す。これら多重の攻撃によって発症者を確実に死に至らしめる。最強の毒性を発揮するだけでなく、ウイルス5個程度でも感染が成立するため、エボラウイルスは世界保健機関(WHO)のリスクグループ4の病原体に指定されており、実験室・研究施設で取り扱う際のバイオセーフティーレベルは最高度の4が要求される[4]。
@media screen{.mw-parser-output .fix-domain{border-bottom:dashed 1px}}初めてこのウイルスが発見されたのは1976年6月のことでスーダン南西部(現:南スーダン)の西エクアトリア州にある町ヌザラ (Nzara) で、倉庫番を仕事にしている男性が急に39度の高熱と頭や腹部の痛みを感じて入院した後、消化器や鼻から激しく出血して死亡した。その後、その男性の近くにいた2人も同様に発症して、それを発端に血液や医療器具を通して感染が広がった。最終的にヌザラでの被害は、感染者数284人、死亡者数151人というものだった[要出典]。
そして同年8月に当時のザイール(現:コンゴ民主共和国)のエボラ川(仏: Ebola/Ebola)沿岸のヤンブク(フランス語版)でヌザラで起きたのと同じ出血熱のアウトブレイクが発生したことから、エボラウイルスと名づけられた[5]。病気もエボラ出血熱と名づけられた[5]。その後、エボラ出血熱はアフリカ大陸で10回、突発的に発生・流行し、患者の早期発見・治療開始が遅れると、致死率が80- 90%に上る[3]。
他にイギリスでも感染患者が確認されており、ロンドン郊外のカンタベリーにおいて34歳女性が感染者として病院に搬送されたとされている[6]。
感染源エボラウイルスのビリオン(電子顕微鏡)エボラウイルスのライフサイクル
アフリカ中央部(スーダン、コンゴ民主共和国、コンゴ共和国、ガボン、ウガンダ)、西アフリカ(コートジボワール(アイボリコースト、象牙海岸。輸入1例)、ギニア、リベリア、シエラレオネ、ナイジェリア)、南アフリカ(ガボンからの輸入1例)で発症している。またフィリピンでは、感染したカニクイザルと豚が見つかっている(サルはアメリカ合衆国とイタリアに輸出され、ウイルスが発見された。)。 自然宿主の特定には至ってはいないが、複数種のオオコウモリが有力とされている[7][1]。サルからの感染例はあるが、キャリアではなくヒトと同じ終末宿主である。また、現地ではサルの燻製を食する習慣があるため、これを原因とする噂があることも報道に見える[8]。 2005年12月1日付の英科学誌『ネイチャー』にて、ガボンのフランスヴィル国際医学研究センターなどのチームの調査によると、オオコウモリ科のウマヅラコウモリ、フランケオナシケンショウコウモリ
自然宿主