エフェドリン
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エンドルフィン」とは異なります。

エフェドリン

IUPAC命名法による物質名
IUPAC名

(R*,S*)-2-(methylamino)-1-phenylpropan-1-ol

臨床データ
胎児危険度分類

AU: A

US: C




法的規制

AU: 処方箋薬(S4)

CA: スケジュールVI

UK: 薬局販売医薬品

US: リストI OTC

投与経路oral, IV, IM, SC
薬物動態データ
生物学的利用能85%
代謝肝臓 35%、腎排泄 65%
半減期4時間
排泄22%?99% 腎臓
識別
CAS番号
299-42-3
ATCコードC01CA26 (WHO) R01AA03 (WHO)R01AB05 (WHO)R03CA02 (WHO)S01FB02 (WHO)QG04BX90 (WHO)
PubChemCID: 5032
DrugBankDB01364
ChemSpider8935 
UNIIGN83C131XS 
KEGGD00124  
ChEMBLCHEMBL211456 
化学的データ
化学式C10H15NO
分子量165.23
SMILES

O[C@H](c1ccccc1)[C@@H](NC)C

InChI

InChI=1S/C10H15NO/c1-8(11-2)10(12)9-6-4-3-5-7-9/h3-8,10-12H,1-2H3/t8-,10-/m0/s1 

Key:KWGRBVOPPLSCSI-WPRPVWTQSA-N 

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エフェドリン(: ephedrine)は、充血除去薬(特に気管支拡張剤)、または局所麻酔時の低血圧に対処するために使われる交感神経興奮剤で、漢方医学生薬として用いられる裸子植物マオウ(麻黄)Ephedra sinica Stapf に由来するアルカロイドである。甘味剤の1種である[要出典]。アドレナリン受容体作動薬の一種であり、注射薬全身麻酔脊髄くも膜下麻酔時の低血圧に頻用されている。

1885年(明治18年)、長井長義がマオウから単離抽出した。マオウは、主要な有効成分としてエフェドリンを含んでいる。マオウ類の他種においても同様にこの成分を含む。

塩酸エフェドリンは、交感神経興奮効果を利用した様々な用途に使われている。現在では、主に感冒薬(風邪薬)、鎮咳薬を中心として、薬効をよりマイルドにした誘導体である dl-塩酸メチルエフェドリンが、気管支拡張剤として使用されている。日本国内においては医薬品としてヱフェドリン「ナガヰ」錠 25 mg、アストフィリン配合錠などが販売されている(注射剤のみが処方箋医薬品である)。乱用の危険性があり、含有する一般医薬品は1箱に制限されている。

ソーマと呼ばれるヴェーダゾロアスター教の祭祀用飲料は、古代において原型となったものはマオウ由来ではないかと考証されており、主要成分としてエフェドリンを含んでいた@media screen{.mw-parser-output .fix-domain{border-bottom:dashed 1px}}可能性が高い。[要出典]
化学的性質マオウの一種 Ephedra distachya

エフェドリンは光学活性を示し、2つの不斉炭素を持つ。慣例により、それらの不斉炭素上の立体配置が逆である鏡像異性体をエフェドリン、同じであるものをプソイドエフェドリン(偽エフェドリン、シュードエフェドリン)と呼んでいる。すなわち、(1R,2R)- および (1S,2S)- エナンチオマーはプソイドエフェドリン、(1R,2S)- および (1S,2R)- エナンチオマーはエフェドリンである。

市場に出荷されるエフェドリンは異性体 (−)-(1R,2S)-エフェドリンである[1]

他のフェニルエチルアミン類と同様、エフェドリンはメタンフェタミンと化学的にいくぶん類似している。しかし、メタンフェタミンはより強力で、さらなる生物学的薬効を持つ。

エフェドリンの別名には (αR)-α-[(1S)-1-(メチルアミノ)エチル]ベンゼンメタノール、α-[1-(メチルアミノ)エチル]ベンジルアルコール、L-エリスロ-2-(メチルアミノ)-1-フェニルプロパン-1-オールがある。塩酸エフェドリン (C10H15NO・HCl) としては、分子量 201.69、融点 218?222 °Cである[2]。メチル化された誘導体、塩酸メチルエフェドリンの融点は 187?188 °Cである[3]
作用機序

エフェドリンは交感神経刺激アミンである。おもに、交感神経系(SNS)の一部のアドレナリン受容体に間接的な影響を及ぼす。アゴニストとしてα-およびβ-アドレナリン受容体の活動を増強する間、主としてシナプス細胞においてノルアドレナリンシナプス小胞から移動させる。移動させられたノルアドレナリンは、自由にシナプス後細胞の受容体と結合する。短期間に反復投与するとタキフィラキシーが認められる。
適応

適応


下記疾患に伴う咳嗽

気管支喘息

慢性気管支炎


鼻粘膜の充血・腫脹

娯楽的使用


興奮剤として

欲求不満の解消

違法使用


メタンフェタミン合成用として

メトカチノン合成用として

併用禁忌


カテコールアミン系薬剤

MAO阻害剤

使用注意


高血圧症、血液凝固症

副作用
(基本的に、I-塩酸エフェドリンとして)
重大な副作用


重篤な血清カリウム値の低下

過度な使用による不整脈心停止のおそれ

循環器


心悸亢進

血圧上昇

消化器


悪心・嘔吐

食欲不振

精神神経系


頭痛・頭重

振戦

不眠症

めまい

発汗

神経過敏

脱力感

泌尿器


排尿困難

過敏症


発疹

長期連用


不安、幻覚、妄想を伴う精神症状

その他


口渇

伝統的な漢方薬治療においては、何世紀もの間エフェドリンが気管支喘息と気管支炎に使われてきた[4]

西洋医学においてエフェドリンは、以前は局所の鬱血除去剤、および気管支喘息治療のための気管支拡張剤として幅広く使われてきた。この薬の入手性が困難となり、副作用の徴候が判明し、さらに他の薬が選択肢として登場した後も、この薬はそれらの治療のために使われ続けている[5]

鼻づまりへの適応は、より強力なα-アドレナリン受容体作動薬(例えばオキシメタゾリン、商品名ナシビン)に交替された。同様に、喘息への適応はβ2-アドレナリン受容体作動薬(例えばサルブタモール、商品名 サルタノール インヘラーなど)にほぼ交替された。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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