この項目では、動物について説明しています。その他の用法については「えび」をご覧ください。
「海老」はこの項目へ転送されています。その他の用法については「海老 (曖昧さ回避)」をご覧ください。
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エビ
イセエビ Panulirus japonicus
界:動物界 Animalia
門:節足動物門 Arthropoda
綱:軟甲綱 Malacostraca
目:十脚目(エビ目) Decapoda
亜目:長尾亜目 Macrura(廃止)
学名
Macrura
Latreille, 1802[1]
和名
エビ(海老・蝦)
系統
根鰓亜目 Dendrobranchiata
抱卵亜目 Pleocyemata の一部
オトヒメエビ下目 Stenopodidea
コエビ下目 Caridea
ザリガニ下目 Astacidea
ムカシイセエビ下目 Glypheidea
アナエビ下目 Axiidea
アナジャコ下目 Gebiidea
イセエビ下目 Achelata
センジュエビ下目 Polychelida
エビ(海老・蝦・A)は、十脚目(エビ目)に属する甲殻類のうち、カニ下目(短尾類)とヤドカリ下目(異尾類)以外の全ての種の総称である。かつての長尾類(長尾亜目 Macrura)にあたる。現在、長尾亜目という分類群は廃止されており、学術的な分類ではなく便宜上の区分である。
十脚目(エビ目)から、カニ・ヤドカリという腹部が特殊化した2つの系統を除いた残りの側系統であり、単系統ではない。この定義では、ザリガニもエビに含まれる。 和語の「えび」は、元々は葡萄、あるいはその色のことだった。葡萄の色に似ていることから、蝦・海老のことを「えび」と呼ぶようになった。現在でも「葡萄色」と書いて「えびいろ」とも読む慣習が残っている。漢字表記の「海老」や「蛯」の字は曲がった腰と長い髭を老人に見立てたものである[2]。漢字表記の「鰕」や「蝦」の字は中国でもエビを意味する漢字である[2]。 漢字表記について、「イセエビなどの海底を歩行する大型のエビ類を「海老」、「?」または「蛯」、サクラエビなどの海中を泳ぐ小型のエビを「蝦」、「A」または「鰕」と表記する」と言われることもあるが、実際にはそこまで厳格に区別しているわけではない。
名称
なお、カブトエビ、ホウネンエビ、カシラエビ、ムカデエビ、カイエビ、ヒメヤドリエビ、コノハエビ、ヨコエビ、シャコ(シャコエビ)などは、名前に「エビ」とついていたり、姿形がエビと類似しているが、いずれも十脚類ですらない別系統であり、甲殻類ではあるがエビではない。コシオリエビはエビと同じく十脚類で英名も「squat lobster」だが、ヤドカリなどと共に異尾類に含まれており、エビではない。
特徴エビの部位概略図(十脚目の解剖学(英語版))
構造は他の甲殻類と同じく頭部、胸部、腹部に分かれており、カニ類と同じく頭部と胸部のすべてが外骨格に覆われている[4]。外骨格に覆われた部分を頭胸甲(頭胸部)という(カニの場合は背甲という)[4]。
複眼の間に額角(がっかく)という尖った角があり、これの形状も種類を判別する手がかりの一つになる。頭胸甲内の歩脚の近くに鰓をもち、呼吸をおこなう。ヤドカリやカニには陸上生活できるものもいるが、エビには乾燥した陸上で生活できる種類はいない。ただしモエビ科のキノボリエビは湿った陸上で活動する。
付属肢は19対ある(頭部付属肢5対、胸部付属肢8対、腹部付属肢6対)[4]。
頭胸部には前の方から2対の触角、大あご、2対の小あご、3対の顎脚、5対の歩脚へと変化している。触角は周囲の様子を探る器官、大あごと小あごは餌を咀嚼する器官、顎脚は餌を掴んだり小さくちぎったりする器官、歩脚は歩くための器官である。分類群によっては顎脚や歩脚の先が鋏に変化しており、このような脚を鋏脚(きょうきゃく)、または鉗脚(かんきゃく)と呼ぶ。ザリガニやロブスターなどは鋏脚が特に大きく発達し、敵に対して大きく振りかざして威嚇したり、敵をはさんで撃退することもある。
腹部は6節に分かれ、それぞれの節が腹甲に覆われ、内部は消化管を囲むように筋肉が発達する。腹節の下部には腹肢をもち、泳ぐ時や卵を抱える時に使う。尾部(しっぽ)は中央の尾節と左右に2対の尾肢(英語版)があり、尾扇という扇子のような構造となる。敵に襲われたときは腹部を勢いよく下に曲げ、大きく後ろへ飛び退いて逃げる動作を行う。
卵から生まれた子どもは親とは異なった体型で、幼生とよばれる。幼生は水中を漂うプランクトン生活を送り、脱皮を繰り返して変態し、小さなエビの姿となる。ザリガニ類やミナミヌマエビなど、分類群によっては卵の中で変態し、親とほぼ同じ体型で生まれてくるものもある。
真社会性を示すエビとしてユウレイツノテッポウエビが知られている。このエビは大型のカイメン類に共生し、300個体にも及ぶ大きな群れを作る。しかし繁殖は一個体の雌に限られ、他の個体は保育や防衛を行う。 2005年、EUの科学者たちは、エビが痛みや苦痛を感じることができることを示す科学的証拠が明確に存在すると主張[5]。2022年には、イギリスで動物福祉(感覚)法が法律化され、エビの感覚が認められた[6]。より人道的なエビの屠殺への取り組みも始まっている[7]。
感受性