エネルギー
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「エネルギー」のその他の用法については「エネルギー (曖昧さ回避)」をご覧ください。

物理学において、エネルギー(: Energie)またはエナジー(: energy)は、仕事をすることのできる能力のことを指す[1][2][3]。物体や系が持っている仕事をする能力の総称[4]。エネルギーのSI単位は、ジュール(記号:J)である。
エネルギーの単位

エネルギー
energy
量記号E
次元M L2 T−2
種類スカラー
SI単位ジュール (J)
CGS単位エルグ (erg)
FPS単位フィート・パウンダル (ft·pdl)
MKS重力単位重量キログラムメートル (kgf·m)
FPS重力単位フィート重量ポンド (ft·lbf)
プランク単位プランクエネルギー (EP)
原子単位ハートリー (Eh)
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エネルギーの単位」、「ジュール」、および「カロリー」も参照

国際単位系におけるエネルギー、仕事 (物理学)および熱量単位ジュール (J) である[5]。日本の計量法においても、仕事、熱量、電力量法定計量単位は、ジュール、ワット秒またはワット時である。

計量法は、栄養学食品の分野における熱量の計量に限ってカロリー (cal) の使用を認めている。1999年10月以降、カロリーは正確に 4.184 J である[6]

国際単位系は、カロリーの使用を全く認めていない。1948年の第9回国際度量衡総会は、「熱測定の実験結果は、できるだけジュールで表すこと、やむなくカロリーで表す場合は、ジュールとの換算値を示すこと」を要請したが[7]、日本では依然としてカロリーが頻繁に使われている。

エネルギーの単位とその分類は国際単位系国際文書および計量法の規定によれば、次のようになっている。

SI組立単位

ジュール(J)

ワット秒(Ws または W・s)= ジュール (法定計量単位


法定計量単位である非SI単位

ワット時(Wh または W・h) = 3600 J ( キロワット時 (kWh または kW・h) (= 3.6 MJ)は、SI接頭語を付した単位の一例である。)


SI併用単位

電子ボルト (eV) = 1.602176634×10?19 J(正確に)  (ただし、法定計量単位ではない。)



特殊の計量に用いる法定計量単位(「人若しくは動物が摂取する物の熱量又は人若しくは動物が代謝により消費する熱量の計量」に限って使用できる。)

カロリー(= 4.184 J)、キロカロリー、メガカロリー、ギガカロリー(キロ、メガ、ギガ以外のSI接頭語を付することはできない。)


ヤード・ポンド法の単位(航空関係、法定計量単位と併記した輸入品の一部に限られる。)

英熱量 (Btu) = (正確に)1055.06 J [8]



取引・証明での使用が禁止されている単位

エルグ (erg) = 10−7 J (1995年9月30日までは、法定計量単位であった。)

石油換算トン (toe) = 41.868 GJ

石炭換算トン (tce) = 29.3076 GJ


語源

現在用いられているようなエネルギーという概念が確立したのは19世紀後半のことであるが[9]、概念の確固たる成立はともかくとして、「エネルギー」という用語は、19世紀のはじめ、トマス・ヤングが1807年に著書『自然哲学講義』(: A Course of Lectures on Natural Philosophy) の中で、従来使われていた「力」を意味するラテン語 vis の代わりとして提案された[4]

「エネルギー」の語源となったギリシア語の ?ν?ργεια (ギリシア語ラテン翻字: energeia) は、?νεργ??(ギリシア語ラテン翻字: energos) に由来する。これは、?ν(エン)と ?ργον(エルゴン)を組み合わせた語で、?ν は前置詞、?ργον (ギリシア語ラテン翻字: ergon) は「仕事」を意味する語である。つまり、「物体内部に蓄えられた、仕事をする能力」という意味の語である。エネルギーという概念は「仕事」という概念と深い関わりがあるのである。

このようにエネルギーという語・概念は「物体が仕事をなし得る能力」を意味したが、その後、自然科学の説明体系が変化し、電磁気もエネルギーを持つことが知られるようになり、さらに、質量までがエネルギーの一形態である、と理解されるようになった[2]
歴史

現代において「エネルギー」という語で呼ばれている概念には、ひな形(あるいは萌芽と呼んでもよいもの)があり、その概念は、ヨーロッパ近世においては「エネルギー」とは呼ばれておらず、ラテン語 で vis(ウィス、の意)と呼ばれていた。この概念が様々な経緯を経て、現在の「エネルギー」という概念に似たものに変化してゆくことになった。

1600年頃のこと、ガリレオ・ガリレイは、の頭に(金づちよりもはるかに)重い物(など)をのせても、釘は木の中にめりこんでゆかないのに、それよりも軽い金づちでも振って打つだけで、釘が木材に入ってゆく、ということを、ひとつの問題として取り上げ、運動する物体には何らかの固有の「ちから」がある、との考え方を示した。

デカルトは、1644年に出版された著書において、衝突という現象においては、物体の重さ速さ(現在の式で言えば、おおよそ mv に相当するような量)が保存されるとし、この量こそが物体の持つ「ちから」である、と述べ、この量は保存されている、と主張した。

ライプニッツは、重さと速さの二乗の積(現在の式で言えば、おおよそ mv2 に相当する量)こそが「ちから」である、とし、この量が保存されている、と主張した。なお当時、静力学の分野では、vis mortua(死んだ力)という概念があったが、その概念と対比ししつつ、ライプニッツはその力 mv2 を vis viva(生きている力、活力)と呼んだ。

デカルトの考え方とライプニッツの考え方では、数式上異なった結論が導き出される。デカルト派の人々とライプニッツ派の人々の間で「ちから」の解釈に関する論争が起き、この論争は実に50年ほども続いた。この論争を活力論争[注 1]と言う。

この問題についてレオンハルト・オイラーは、1745-50年頃執筆された手稿「自然哲学序説」の中で (1) 両主張の差異は運動と力の関係を同一時間で比較するのか( m v {\displaystyle mv} )または同一距離で比較するのか( m v 2 {\displaystyle mv^{2}} )の違いであること、(2) 慣性を物体に内在する「力」に置き換えることが誤りであること、を示している[10]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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