この項目では、ソビエト連邦の大型ロケットについて説明しています。
ロシアの宇宙開発企業については「S.P.コロリョフ ロケット&スペース コーポレーション エネルギア」をご覧ください。
日本の電力会社については「中国電力」をご覧ください。
the pillowsの曲については「エネルギヤ (曲)」をご覧ください。
エネルギア
エネルギアとブラン(模型)
基本データ
運用国 ソビエト連邦
ロシア
開発者S.P.コロリョフ ロケット&スペース コーポレーション エネルギア
使用期間1987年 - 1988年
打ち上げ数2回(成功2回)
物理的特徴
構成2段
総質量2524.6 トン
全長約59 m
直径7.75 m(コア部分)
軌道投入能力
低軌道88,000 kg
200km
静止移行軌道22,000 kg
脚注
打ち上げ成功数のうち、打ち上げは成功したものの、衛星(ポリウス)の不調による衛星投入失敗の例も算定。低軌道での軌道投入能力には諸説あり。静止移行軌道の軌道投入能力は正確にはGEOでのペイロード)。補助ロケットが1段目で、メインロケットが2段目となっているが、この構造のロケットを1.5段と称する場合もあり。
テンプレートを表示
ポリュス衛星を載せたエネルギア
エネルギア(ロシア語: Энергия、エネルギヤとも)は、ソビエト連邦の大型ロケット。NPOエネルギアが開発し、制御システムはNPO "Electropribor"
が開発した[1][2]。エネルギアはケロシン・液体酸素を推進剤とするRD-170エンジンを備えた4本の液体燃料補助ロケットを備え、中央部には液体水素・液体酸素を推進剤とする4基の単燃焼室のRD-0120 (11D122)エンジンを備える[3]。打上げシステムは機能の異なる2種類があり: エネルギア-ポリュスは最初の試験機で、ポリュスシステムを最終段に使用してペイロードを軌道へ投入する仕様で、エネルギア-ブラン[4]はブラン宇宙船がペイロードである。打ち上げ能力は低軌道へ100トン、静止軌道へ最大20トン、月周回軌道へ最大32トンである[5]。強力なロケットだが強力過ぎて逆に使いみちがあまりなく、ソビエト崩壊も相まって短期間で開発は中止された。
概要[ソースを編集]
エネルギアロケットはTsAGI(中央空気流体力学研究所)および、S.P.コロリョフ ロケット&スペース コーポレーション エネルギアによって設計された、重量物打ち上げ用使い捨てシステムである。また、ソ連版スペースシャトルとも呼ばれる「ブラン」を打ち上げるためのブースタとして開発されたが、ソビエト連邦の崩壊と財政難により計画は中止された[6]。
スペースシャトルで一番大きく見える外部燃料タンクはオービタに燃料を供給するだけでエンジンは備えないが、エネルギアはスペースシャトルの外部燃料タンクに相当する部位がロケット本体である。オービタであるブランは打ち上げ用のエンジンを持たず(帰還に必要なエンジンは持つ)、エネルギアによって運ばれる。また、エネルギアは必ずしもブランとともに使う必要はなく、ロケット単体で使用することができる。
旧ソビエトの他のロケットと同様に整備棟(N-1ロケット用に建てられた)内で水平に組み立てられ、射点に運搬されてから垂直に起こされる。そのため、頑丈に出来ている。
メインロケットは液体酸素と液体水素を推進剤としたRD-0120(推力 1,960kN)エンジン4基を持つ。補助ブースターロケットは「M・K・ヤーンヘリ記念ピウデーンネ設計局」(ロシア語名「M・K・ヤーンゲリ記念ユージュノエ設計局」)で設計され、ケロシンと液体酸素を使用するRD-170(推力7,887 kN)エンジン1基を持つ。メインロケットは使い捨てだが、補助ブースターは複数回の再利用を予定されていた。
エネルギアはメインロケットと4基の補助ブースターロケットの組み合わせだが、補助ブースターの本数を8本に増やしたバルカンロケットから、エンジンを1基に減らし小型化したメインロケットと補助ブースター2本という組み合わせのエネルギアMまで、さまざまな改良版が計画または試作され、打ち上げ能力が35トンから200トンまで対応できるシステムに発展する予定であった。
歴史[ソースを編集]
開発経緯[ソースを編集]
エネルギアとブランは、双方とも超大国の力の均衡を保つことを意図して計画されたものだった。エネルギア-ブラン・システムの開発は、「N-1」という大型ブースタ計画がキャンセルされた後の1976年に始まった。このため、NASAがサターンVロケット用の設備をスペースシャトル計画で再利用した事と同様に、N-1のための有人月ロケット用の(大規模な水平組み立て棟等の)施設・設備・培われていたノウハウは、エネルギアの開発に使われた。
N-1は計画上低軌道(LEO)への95tの打ち上げ能力があり、クズネツォフ設計局で開発されたNK-15エンジン30基によって、総推力46MNを出す事を目指していたブースターシステムである。