エチレン
IUPAC名
エテン
識別情報
CAS登録番号74-85-1
−169.2 °C, 104 K, -273 °F
沸点
−104 °C, 169 K, -155 °F
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。
エチレン(ethylene、IUPAC命名法では エテン (ethene) )は、分子式 C2H4、構造式 CH2=CH2 で、二重結合で結ばれた炭素2個を持つ炭化水素。もっとも単純なアルケンである。二重結合エチレンはこの化合物に高度な反応性を持たせ、化学工業で使用されるエチレンの体積は他の有機化合物よりも大きい。[1]
構造エチレンの分子モデルエチレンの構造
エチレンの炭素‐炭素間の二重結合はσ結合とπ結合からなる。sp2混成した電子が正面から結合し、σ結合を作る。また、混成していないp軌道の電子が側面から結合を作る事によって生じるのがπ結合である。σ結合は切れにくい強い結合であるのに対し、π結合は切れやすい結合である。エチレンは二重結合を持つので、エタンのように炭素鎖を回転をすることは出来ない。そのため、1,2-ジクロロエチレンなどのエチレン誘導体はシス-トランス異性体を生じうる。
エチレンは平面構造を取り、二つの炭素原子がsp2混成軌道を取るため、すべての結合角は約120゚である。 かすかに甘い臭気を有する無色の気体で、強力な酸化剤と反応しやすく、また引火しやすい。 チーグラー・ナッタ触媒で重合するとポリエチレンになる。反応性が高く、様々な化合物の原料として用いられている。例えばアセチレンはエチレンをハロゲンと反応させて1,2-ジハロエタンを作り、水酸化カリウムでハロエテン、水素化アルミニウムリチウムで還元して作られる。エタノールを 160?170 ℃ 程度で脱水して得ることも出来る(分子内脱水)。 ワッカー酸化により、アセトアルデヒドを生成する。 水和反応によりエタノールが生成されるが、高温高圧環境[2]が必要である。工業的な合成アルコール(エタノール)の生産方法のひとつである[3]。 工業的には、日本ではナフサを主とする炭化水素を水蒸気と混合して800?900℃程度の高温で熱分解し、生成物を蒸留分離してエチレンを生産する。この生産設備はエチレンプラントと呼ばれ、石油化学工場の中核設備である。 工業製品としてエチレンの2016年度日本国内生産量は 6,278,821 t、工業消費量は 1,344,762 t である[4]。 一方中東、アメリカでは天然ガスに含まれるエタンを熱分解する方法が進んでいる。 エチレンが石油化学コンビナートの生産力の指標にもなることからわかるように、エチレンは大多数の石油化学製品の原材料として重要である。 例として、塩化ビニル、アクリルニトリル、酢酸ビニルなどがエチレンを元に作られる。
性質と反応
水和
直接水和法
C 2 H 4 + H 2 O ⟶ C 2 H 5 OH {\displaystyle {\ce {C2H4 + H2O -> C2H5OH}}}
間接水和法
C 2 H 4 + H 2 SO 4 ⟶ C 2 H 5 OSO 3 H {\displaystyle {\ce {C2H4 + H2SO4 -> C2H5OSO3H}}} C 2 H 5 OSO 3 H + H 2 O ⟶ C 2 H 5 OH + H 2 SO 4 {\displaystyle {\ce {C2H5OSO3H + H2O -> C2H5OH + H2SO4}}}
工業的製法詳細は「エチレンプラント」を参照
工業用途
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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