オオヤマザクラ
福島県会津地方 2015年4月
分類
オオヤマザクラ(大山桜[6]、学名: Cerasus sargentii var. sargentii)はバラ科サクラ属の落葉高木のサクラ。冷寒な地に咲く代表的なサクラで、山地に生える。日本に自生する10もしくは11種(species)あるサクラ属の基本野生種の一つ[7][8][注釈 1]。別名、エゾヤマザクラ[9]、ベニヤマザクラともよばれる。 標準和名オオヤマザクラの由来は、ヤマザクラに比べ花が大きいことによる。ヤマザクラより濃い花色の特徴からベニヤマザクラ(紅山桜)[10]、北海道に多く生育していることからエゾヤマザクラ(蝦夷山桜)の別名がある[11][12]。アイヌ語名は「カリンパニ」。英語圏での呼び名の「Sargent's cherry」と学名の由来はアメリカの植物学者チャールズ・スプレイグ・サージェントに因む[13]。なお関東以北では販売用の「山桜」表記の苗木には、ヤマザクラではなく本種が使われていることがある[11]。 分類学上の種(species)としてのオオヤマザクラは東アジアの冷温帯を中心に分布する。日本の施政権が及ぶ範囲では北海道や本州、四国で[10]、主に日本海側に分布する[6]。日本の施政権が及ばない地域と外国では、南千島、樺太、中国、朝鮮半島、ロシア沿海州などに分布する。北地や高冷地の山に自生し[6]、ヤマザクラ(学名: Cerasus jamasakura)よりも高いところに生える[10]。 種の下位分類の変種(variety)のレベルではオオヤマザクラ(var. sargentii)とキリタチヤマザクラ(霧立山桜、var. akimotoi)に分類され、オオヤマザクラの分布域の最南端の九州に生息するのがキリタチヤマザクラで、宮崎県五ヶ瀬町の白岩山周辺にのみ分布する。石灰岩という特殊な環境下では珍しい植物が自生しやすく白岩山もこれに該当する[11][14]。 同じ冷温帯に分布するカスミザクラに比べて、湿潤地でより自然度の高いブナの天然林に生息している傾向がある。オオヤマザクラよりカスミザクラの方が1週間ほど花期が遅いためある程度は種間雑種を避けられているが、時期が重なって咲く個体がある場合は種間雑種が生じ、こうして生まれた個体はアカツキザクラと呼ばれることもある[11]。 落葉広葉樹の高木で、樹高は10 - 20メートル (m) ほどになり[6]、大きいものでは20 mを超える。樹形は広卵状。樹皮は暗紫褐色で[10]、やや明るく栗色がかかり[9]、小枝が紫褐色で、灰褐色のヤマザクラとは異なる[6]。枝の先の方は蝋物質に覆われ灰色に見える[10]。幹には横に長い皮目がある[10]。 花期は4 - 5月[6]。一重咲きで直径3 - 4.5センチメートル (cm) の中輪から大輪の花を咲かせ、花弁の色はヤマザクラやソメイヨシノに比べて比較的濃い紅色[9][6]。花弁は5枚で、雄しべは35 - 38個、雌しべは1個つく[6]。花序は散型上で花柄がほとんどなく、花芽の鱗片が著しく粘る[6]。 葉が花とほぼ同時に展開する[9]。若葉は赤く、開花期はまだ小さい[9][6]。
名称
分布域
特徴
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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