エゾシマリス
分類
エゾシマリス(蝦夷縞栗鼠、学名 Tamias sibiricus lineatus)は、ネズミ目リス科シマリス属に属するリスの1種[1]。ユーラシア大陸北部に分布するシマリス(シベリアシマリス)Tamias sibiricusの亜種[1]。 日本国内では北海道全域と利尻島[1]・天売島・焼尻島・礼文島・北方領土に分布する[注 1][3]。国外では樺太(サハリン)・極東ロシアおよび中華人民共和国(中国)北東部のごく一部に分布する[1]。 頭胴長は12 - 15センチメートル・尾長は11 - 12センチメートルで体重は71 - 116グラム[1]。耳長が14 - 18ミリメートル・後足長が35 - 38ミリメートルである[4]。体毛は茶色で、背中には5本の黒い縞がある[1]。縞の間はクリーム色で、腹部・耳の先の毛は白い[4]。 海岸沿い・都市近郊の森林から森林限界を超えた標高2,000メートルの高山にまで生息する[注 2]が[1]、開けた環境に多い[注 3][4]。昼行性で日の出後しばらくしてから巣を出て日の入り前に巣穴へ戻り、夜間には活動しない[6]。主に地上で活動するが木登りも上手である[1]。 エゾシマリスは日本のリス類で最も地上にいることが多いが、地上は樹上に比べ見通しが悪いため、危険を素早く察知できるよう2本足で立っていることが多い[7]。 35種類以上の木本[注 4]・草本植物から種子・果実・花・芽・葉・樹液を食べるがキノコ類は食べない[1]。早春にはササの芽・カエデの若葉を食べ、その後はミズナラのドングリやサクラ類・ヒカゲスゲなどの種子を食べるほか、高山に生息する個体はハイマツ・ナナカマドの種子を主に食べる[注 5][1]。基本的には植物食であるが昆虫(ガの幼虫・アリの蛹やセミ・クワガタムシ)やクモ・カタツムリ(陸貝)など無脊椎動物やシジュウカラの卵・シマエナガの雛鳥など動物質の食物も機会があれば好んで食べ、特に子育て中の母リスは子供の成長期には動物質の食物を積極的に食べる[1]。木・草の種子は季節ごとに異なる種が異なる場所に存在するため、エゾシマリスは食物を求めて300メートル以上にわたり遠出する場合もある[1]。秋の行動圏はメスが3,900u・オスが6,800uである[6]。 本種は食物を発見すると普通はその場で食べず口の中の頬袋に詰め込み[注 6]、安全な場所に運んでから食べたり、地面に深さ2センチメートルの穴を掘って埋めたりする[注 7][1]。後者の行為を「分散貯蔵」と呼び、活動期間中はどの月でも行われるが、特に冬眠前の10月に最も盛んに行われる[1]。冬眠前に分散貯蔵しておいた食物は冬眠明け直後の4月 - 5月上旬(新芽が芽生える前)に食物の半分を占める重要な餌となるが、そのまま食べられず放置されたドングリは春に芽生える[1]。また個体ごとに分散貯蔵する場所は決まっていないため、別の個体が埋めて貯蔵した餌を掘り出して食べたり再び貯蔵したりする場合があるほか、冬眠前に分散貯蔵しておいた食物が冬眠中にエゾリス・ネズミ類に食べられる場合もある[1]。 分散貯蔵以外にも冬眠用の巣穴内部に食物を貯蔵する「巣内貯蔵」も行うが、分散貯蔵・巣内貯蔵とも腐りやすい果実・動物質は避け、もっぱら種子のみを貯蔵する[1]。 活動期の巣穴は通常深さ50センチメートル・全長約1.2メートルほどである[8]。 北海道は11月下旬には降霜するため、エゾシマリスはその前に地下の巣穴で冬眠に入り[9]、1年のほぼ半分を冬眠して過ごす[7]。冬眠期間は通常10月 - 翌年4月の5 - 7か月間だが[1]、早い個体では9月上旬から冬眠を開始する[7]。エゾシマリスはコウモリ・クマなどほかの冬眠動物と違い冬眠前に体脂肪を貯えない代わりに食物を貯蔵するが、貯蔵量は1つの巣で平均1,192グラム(冬眠日数1日当たり約6グラム)である[1]。
分布
形態
生態
生息環境
摂食行動
巣・冬眠
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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