エゾシカ
エゾシカのオス(上・北海道稚内市)とメス(下・北海道知床)
分類
エゾシカ(蝦夷鹿、学名:Cervus nippon yesoensis)は、日本の北海道に生息するシカの一種。シカ科シカ属に分類されるニホンジカの亜種である。 北海道全域に分布する[2]。日高地方、十勝地方、釧路・根室地方、オホーツク地方など雪の少ない道東・道北の一部に限定的に生息していたが、1990年代以降は空知地方や留萌地方、石狩地方など西部地域への分布拡大が進んでいる[3][4]。 頭胴長140 - 190 cm、尾長約13 cm、体重は雄で90 - 140 kg、雌で70 - 100 kg[2]。最も重いもので170 kgから200kgに達する個体もいる[5][6]。ニホンジカの亜種の中では最大級の大きさで、小型のヤクシカと比較すると2 - 3倍の重さがある(→ ベルクマンの法則)[7]。体重や脂肪組織の体積は秋に最大となり、こうした特徴は多雪寒冷環境への適応と考えられる[8]。 体毛は夏毛が茶色、冬毛が灰褐色で、臀部後面は季節問わず白色[9]。 歯の数は、切歯は上になく下は6本、犬歯は上が2本下2本、前臼歯は上6本下6本、後臼歯は上6本下6本の合計34本[10]。乳頭数は、胸部と腹部にはなく、鼠蹊部2対の合計4個[10]。蹄数は、各肢とも主蹄1対副蹄1対[10]。 雄のみが有する角もまた、他のニホンジカの亜種よりも大きく立派になる。角は毎年4 - 5月に根元(角座)から外れ落ち(落角)、その後に柔らかな短毛が密生する角(袋角)が生え始め、9月頃には堅い石灰質の角に成長する[9]。 低地から山地の森林に生息し、特に草原や牧草地との林縁を好む[2]。夏と冬に規則的に移動する個体と年間を通して同じ地域に留まる個体がおり、100km以上移動することもある[3]。基本的に雪の少ない森林で越冬する。北海道の調査では、道内には1000カ所近くの越冬地が存在することが明らかになっており、なかには千頭ものエゾシカが集まる大規模な越冬地も確認されている[11]。 基本的に森林などの自然度の高い環境に生息するが、農地といった人間に近い環境を生活の場とするものも多い。さらに、学校や市街地などの都市部に出没するエゾシカも増えている。石狩管内では市街地にエゾシカが出没した件数は2010年度だけで50件を超えている[12][注釈 1]。羅臼町の市街地では、エゾシカが普通に徘徊し、出産・子育てをしている[8]。 草食性で幅広い植物を食べるが、餌不足の際には不嗜好植物や落ち葉まで食べる他、NHK BSプレミアムの『ワイルドライフ』という番組において、毒キノコであるベニテングタケもやや毒性の弱くなった大き目のものであればむしろ好んで食べている事が判明した[15][出典無効]。
分布
形態
生態
生息地稚内市街地を走るエゾシカ12月のエゾシカ
食性
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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