エクリズマブ(Eculizumab)は、発作性夜間血色素尿症(ヘモグロビン尿症)における溶血抑制を効能・効果とする処方箋医薬品である。商品名ソリリス。成分はヒト化モノクローナル抗体で、終末補体(C5開裂)阻害薬である[1]。発作性夜間血色素尿症(PNH)の患者のクオリティ・オブ・ライフ(QOL)を改善するが、死亡リスクを改善するかどうかはわかっていない[2]。また安全性についても2014年の時点では不明である[2]。2つの小規模臨床試験の結果が肯定的であったことにもとづき、非典型溶血性尿毒症症候群(英語版)(aHUS)の治療にも用いられている[3]。米国では2007年3月にPNH治療薬として[4]、2011年9月にaHUS治療薬として承認された[5]。EUでは2007年6月と2011年11月に承認された。日本では2010年4月(PNH)[6]と2013年9月(aHUS)[7]にそれぞれ製造販売承認された[8]。PNHの初の治療薬である[1][4]。その他にも補体制御異常が関係する希少疾病への応用が検討されている。 エクリズマブはPNHの患者のQOLを改善し、輸血が必要となる頻度を減少させるが、死亡リスクには影響しない[2]。血栓塞栓症や骨髄異形成症候群、急性骨髄性白血病、再生不良性貧血の発生頻度を変化させないと思われる[2]。 エクリズマブは希少疾病用医薬品としての指定を受けている(米国で2003年8月[9]、日本で2008年12月[10])。日本での推定患者数は1998年時点で430名である[6]。 国内臨床試験(AEGIS study)では29名の患者が対象となり、12週間で組織破壊の指標であるLDHの値の改善(中央値(最小 - 最大):1,814.0U/L(627.8 - 3,642.5)→244.0U/L(187.0 - 2,715.0))が見られた[11]。 海外臨床試験(TRIUMPH study)では87名が対象となり、44名に偽薬が、43名にエクリズマブが投与された。輸血時のヘモグロビン値を閾値として検討したところ、26週間の試験期間中に閾値を下回らなかった患者は偽薬群:0%、エクリズマブ群:48.8%(21/43)であり、統計学的に高度に有意な差がついた[12]。また実薬群では半数以上の患者で試験期間中に濃厚赤血球輸血を要しなかった。 エクリズマブはaHUS
効能・効果
発作性夜間血色素尿症
非典型溶血性尿毒症症候群