ウル_(北欧神話)
[Wikipedia|▼Menu]

ウル
狩猟神
スキーを履いてを手に持ったウル
18世紀のアイスランド語の写本『SAM 66』より
古ノルド語Ullr
住処ユーダリル
武器
シヴあるいはオーディン
テンプレートを表示
オラウス・マグヌスの著作に描かれた、魔法使いのHoller(ウルに相当する)が動物の骨に乗り、海を渡って旅する様子。

ウル(ウッル、ウッルル。古ノルド語:Ullr、「光輝」の意)は、北欧神話。狩猟、弓術スキー決闘の神。

シヴの息子で、トールの義理の子にあたり[1]ユーダリル(Ydalir:「イチイの谷」の意)というところに住む[2]。なお、イチイは弓やスキーの材料であり[3]ルーン文字・エイワズ[]であらわされる。

デンマーク人の事績』にはオレルス (Ollerus) という名前で登場する。彼は呪文を刻んだ骨を船とし、海を渡る魔術師とされている。オーティヌス(オーディン)がロシアの王女リンド を騙して孕ませたことを恥と考えた神々はオーティヌスを追放し、その名と地位をオレルスに引き継がせ、汚名をすすごうとした。彼は10年その地位にあったが、オーティヌスが賄賂で再び地位を買い戻したために王位を追われた。その後、スウェーデンに退いたが、デンマーク人に殺された[4]

『デンマーク人の事績』でウルが追われて行ったスウェーデンのウップランドを中心とする地方およびノルウェー南東部にウルに由来する地名が多く残されており、かなりの崇拝された神だったようである。地名には「耕地」や「牧草地」を意味する語との複合語が見られ、これは豊穣に関連するものと考えられており、元来は狩猟や決闘に留まらず、より高い地位にある天空神だったと推定されている[5]

彼の地位の高さを裏付けるものとして「ウルとあらゆる神々の恩寵を受ける」という表現がある[6]

また「南の太陽や勝利の神(オーディン)の岩と寝室と、ウルの腕輪にかけてしばしば誓った通りに」という表現もある[7]

自分と同じように弓とスキーを得意とする女巨人スカジと出会い、彼女の父が遺した館トリムヘイムで一緒に暮らしたという伝承も残されている[8]

スカルド詩ではウルについてのケニングとして、「スキーのアース」「弓のアース」「狩のアース」「楯のアース」などが用いられている[9]17世紀のアイスランド語の写本『AM 738 4to』より、ウル。
脚注[脚注の使い方]^ 『エッダ 古代北欧歌謡集』248頁(「ギュルヴィたぶらかし」31章)
^ 『エッダ 古代北欧歌謡集』52頁(「グリームニルの言葉」第5節
^ 『エッダ 古代北欧歌謡集』58頁、訳注10。
^デンマーク人の事績』109-110頁。
^ 菅原、p.238。
^ 『エッダ 古代北欧歌謡集』56頁(「グリームニルの歌」第42節)
^ 『エッダ 古代北欧歌謡集』178頁(「グリーンランドのアトリの歌」第30節)
^ 『北欧の神話伝説(II)』8-12頁。(ただし原典の説明は無い)
^ 『「詩語法」訳注』23頁。

参考文献

サクソ・グラマティクス著『デンマーク人の事績谷口幸男訳、東海大学出版会、1993年。

菅原邦城『北欧神話』、東京書籍、1984年。

スノリ『エッダ』「詩語法」訳注」『広島大学文学部紀要』第43巻No.特輯号3、谷口幸男訳、1983年。

V.G.ネッケル他編『エッダ 古代北欧歌謡集』谷口幸男訳、新潮社、1973年、ISBN 978-4-10-313701-6

松村武雄編『北欧の神話伝説(II)』名著普及会〈世界神話伝説大系30〉、1980年改訂版、ISBN 978-4-89551-280-0

関連項目.mw-parser-output .side-box{margin:4px 0;box-sizing:border-box;border:1px solid #aaa;font-size:88%;line-height:1.25em;background-color:#f9f9f9;display:flow-root}.mw-parser-output .side-box-abovebelow,.mw-parser-output .side-box-text{padding:0.25em 0.9em}.mw-parser-output .side-box-image{padding:2px 0 2px 0.9em;text-align:center}.mw-parser-output .side-box-imageright{padding:2px 0.9em 2px 0;text-align:center}@media(min-width:500px){.mw-parser-output .side-box-flex{display:flex;align-items:center}.mw-parser-output .side-box-text{flex:1}}@media(min-width:720px){.mw-parser-output .side-box{width:238px}.mw-parser-output .side-box-right{clear:right;float:right;margin-left:1em}.mw-parser-output .side-box-left{margin-right:1em}}ウィキメディア・コモンズには、ウル (北欧神話)に関連するカテゴリがあります。

ユーダリル

マタギ

山の神










北欧神話
神々
英雄
登場人物

アース神族
ヴァン神族

男神

ウル

オーズ

オーディン

クヴァシル

ダグ

テュール

デリング

トール

エーギル

ニョルズ

ヴァーリ

バルドル

ヴィーザル

ヴィリとヴェー

ヒューキ

フォルセティ

ブラギ

フレイイングナ・フレイユングヴィ

ヘイムダル

ヘズ

ヘーニル

ヘルモーズ

マグニとモージ

マーニ

ミーミル

メイリ

ロキ

ローズル

女神

イズン

イルムル(英語版)

イルパ(英語版)

エイル

グナー

グルヴェイグ

ゲフィオン

ゲルズ

ゲルセミ

サーガ

シェヴン

シギュン

シヴ

スカジ

スノトラ

スルーズ

スュン

ソール

ソルゲルズ=ホルタブルーズル(英語版)

ナンナ

ニョルズの姉妹妻

ニョルン(英語版)

ノート

ヴァール

ビル

フノス

フッラ

フリッグ

フリーン

フレイヤ

ヴォル

ヨルズフィヨルギュン

ラーン

リンド

ロヴン


その他

アングルボザ

アウズンブラ

アスクとエムブラ

アールヴ

デックアールヴとリョースアールヴ(英語版)

スヴァルトアールヴ(英語版)


エインヘリャル

エリ

エルディル

カーリ

ガングラティ

ガングレト

グリンブルスティ

グローア

シグルズ

シャールヴィ

霜の巨人

スィアチ

スキールニル

スルト

波の乙女

母親たる九人姉妹

スレイプニル

ディースノルンワルキュリャ

ドヴェルグ

ビュグヴィルとベイラ

ファフニール

フィマフェング

フェンリル

フリュム

ヘル

ムスペル

メングロズ

モーズグズ

ヴェルンド

山の巨人

レスクヴァ


生物(カテゴリ

アウズンブラ

アールヴァクとアルスヴィズ

ヴィゾーヴニル

ヴェズルフェルニル

エイクスュルニル

エルフ

ガルム

グラニ

グリンカムビ

グリンブルスティ

グルトップ

グルファクシ

ゲリとフレキ

スヴァジルファリ

スキンファクシとフリームファクシ

スコル

スレイプニル


次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:33 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef