ウデムシ目
生息年代: 315?0 Ma[1] Pre??OSDCPTJKPgN 石炭紀–現世
タンザニアオオウデムシ Damon diadema
界:動物界 Animalia
門:節足動物門 Arthropoda
亜門:鋏角亜門 Chelicerata
綱:クモガタ綱 Arachnida
階級なし:蛛肺類 Arachnopulmonata
階級なし:四肺類 Tetrapulmonata
階級なし:脚鬚類 Pedipalpi
目:ウデムシ目 Amblypygi
学名
Amblypygi
Thorell, 1883
和名
ウデムシ(腕虫、ウデムシ類)
カニムシモドキ
英名
amblypygid
whip spider
tailess-whip scorpion
科
(和訳なし)Paracharontidae
ヒメウデムシ科 Charinidae
カニムシモドキ科 Charontidae
オニウデムシ科 Phrynichidae
ウデムシ科 Phrynidae
ウデムシ(腕虫、ウデムシ類)、または無鞭類(Amblypygid)は、鋏角亜門・クモガタ綱のウデムシ目(無鞭目、Amblypygi)に所属する節足動物の総称[2][3]。偏平な体に細長い脚と腕のように張り出した触肢を持ち、クモガタ類の中でも特に独特な姿をもつグループである。目次 クモやサソリと同じくクモガタ類であるが、ウデムシはどちらにも属さず、クモガタ類の中で自ら独自の目を構成するグループである。しかし、様々な地域のウデムシへの呼称は「クモ」や「サソリ」と名付けられることが多い。 学名「Amblypygi」は「鈍い尻」を意味する。これは近縁であるサソリモドキに対して鞭の様な尾節を欠くことに由来する。英語名は学名に因んだ学術的な総称「amblypygid」の他に、「whip spider」(ムチのあるクモ)および「tailess-whip scorpion」(尻尾のないサソリモドキ/ムチサソリ)という通称が一般に知られる。また、中国語とインドネシア語にも似通う意味に因んで、前者に「鞭蛛」および「無尾鞭蠍」、後者に「kala cemeti」と呼ばれている[4][5]。 和名は「ウデムシ」と「無鞭類」の他に「カニムシモドキ」もあるが、カニムシとは形態的類似性は低く、系統的にも近縁ではない。また、「カニムシモドキ」はこの類の1種Charon grayi の和名でもある[6]。
1 呼称
2 形態
2.1 前体
2.2 後体
2.3 内部構造
3 生態
3.1 獲物と天敵
3.2 防衛行動
3.3 繁殖と発育
3.4 帰巣性
4 分布と分類
4.1 系統関係
4.2 下位分類
5 人間との係わり
6 脚注
6.1 注釈
6.2 出典
7 参考文献
8 関連項目
9 外部リンク
呼称
形態 Phrynus tessellatus
体長は数p以下、展足は種によって5pから17pまで及ぶ[7][8]。胴部は腹背に偏平で、前体(頭胸部)と後体(腹部)に分かれる。クモほどではないが、前体と後体の間はややくびれる[9]。クモのような毒腺と出糸能力を持たず[8]、外骨格は分泌物の顕微構造により撥水性をもつ[10]。腕のような触肢と鞭のような細長い第1脚が最大の特徴である。
性的二形は比較的に不明瞭で、生殖口蓋の形状から雌雄を判別できる。雌に比べて、雄の後体はやや幅狭く触肢は長くなる種類もある[8][11]。
Damon属のウデムシの雌(左)と雄(右)
前体 Phrynus属のウデムシの背甲(Ce:中眼、le:側眼)
前体(頭胸部)は平たくハート形の背甲に覆われており、単眼は前方中央1対(中眼)と左右に3対(側眼)をもち、目が退化した種類もある[8]。他のクモガタ類と同様、前体の付属肢(関節肢)は6対あり、鋏角1対・触肢1対・および歩脚4対からなる。前体腹側の中心には4節に分かれた小さな腹板がある[12]。
鋏角は小鋸歯をもつ鎌状(亜鋏状)に近い構造で小さく目立たない。和名の示す通り、触肢の腿節と膝節[注釈 1]は腕の様に左右に張り出し、発達して鎌状になっている(原始的なParacharontidae科では腿節と膝節は短く、触肢全体が垂直に折り畳んでいる[1])。内側は棘が並び、小動物の捕獲に向いた造りとなっている。触肢の先端(?節)は身繕い用の繊毛構造があり、これはウデムシに特有の派生形質の1つである[9]。
体に対して脚は長く、大きく横に張り出し、アシダカグモのように関節が前方に向いている。膝節と脛節の接続部は不可動で、天敵などに襲われた場合はここが自切の割れ目として役に立つ[8][13]。中でも第1脚は鞭のように特殊化し、極端に細長く、無数の節に細分されており、歩行には用いず、触角らしい感覚器官として用いられる[8]。