ウズムシ目 Tricladida
Schmidtea mediterranea
界:動物界 Animalia
門:扁形動物門 Platyhelminthes
綱:ウズムシ綱(渦虫綱) Turbellaria
目:ウズムシ目(三岐腸目) Tricladida
学名
Tricladida
和名
ウズムシ目、三岐腸目
英名
Planaria
プラナリア(英: Planaria)は、扁形動物門ウズムシ綱ウズムシ目ウズムシ亜目に属する動物の総称。広義には、ウズムシ目(三岐腸目)に属する動物の総称。さらに、渦虫綱に分類される動物の総称とする説もある。体表に繊毛があり、この繊毛の運動によって渦ができることから、ウズムシと呼ばれる。淡水、海水および湿気の高い陸上に生息する。Planariaは「平たい面」を意味するラテン語planariusに由来し、plain「平原」やplane「平面」と語源が共通である。 腹面中央に咽頭があり、消化管は体内で前後に伸びて分岐しながら、体の隅々に至る。イトミミズやアカムシ(ユスリカの幼虫)を食べさせると、全身の消化管に入ってゆく様子が見え、全身に消化管が分岐していることを観察できる。消化管は前に1本、後ろに2本伸びており、これが三岐腸目の名前の由来となっている。肛門はない。脊髄もないかご状神経系を持ち、目は杯状眼
目次
1 概要
2 繁殖
3 再生能力について
4 脳以外の部位に記憶が存在する可能性
5 生息
6 下位分類
7 脚注
8 関連項目
9 外部リンク
概要
いちじるしい再生能力を持つことから、再生研究のモデル生物として用いられる。進化的には前口動物と後口動物の分岐点に位置し、三胚葉性動物・脳をもつ動物としてもっとも原始的であることから、比較発生学・進化発生生物学でも用いられる。雌雄同体である特性から、生殖生物学でも扱われる。水質の変化に著しい影響を受けることから、指標生物でもある。
生物学でプラナリアという場合、日本ではサンカクアタマウズムシ科ナミウズムシ属のナミウズムシであることが多い。 有性生殖と無性生殖ができる。水質や水温などの生息環境が悪化すると、次第に腹部がくびれてきて2つに分裂してしまう。 プラナリアの再生能力はいちじるしく、ナミウズムシの場合は前後に3つに切れば、頭部からは腹部以降が、尾部側からは頭部が、中央の断片からは前部の切り口から頭部、後部の切り口から尾部が再生される。このような、各部から残りの部分が正しい方向で再生されることを「極性がある」といい、具体的には何らかの物質の濃度勾配ではないかとされている。再生が秩序正しく行われるための体内の濃度勾配を司る遺伝子として、Nou-darake遺伝子が同定されている。 「プラナリアの頭部を切断して、尾部から再生させた個体に、切断前の記憶が残存している可能性」を示唆する実験結果が、タフツ大学のタル・ショムラット (Tal Shomrat) とマイケル・レヴィン (Michael Levin) によって報告されている[4][5][6]。 プラナリアは日本中の川の上流に生息しており、石や枯葉などの裏に張り付いている。主にカゲロウの幼虫などの水生昆虫を餌としている。また、アクアリウムなどではプラナリアが大発生する事があり、害虫として嫌われている。捕獲、除去には、体が柔らかくピンセットでつまむとちぎれることがあるので、筆を使って撫でるように取るとよい。また餌となるものを入れておびき寄せる捕獲器も市販されており、自作する者も居る。捕獲器に入ったものはえてして内部の水質悪化により短時間で死に至る場合が有るので、生態観察などを目的とする場合は速やかに取り出す必要がある。 Sluysらによる分類[7]。
繁殖
再生能力について
頭に切れ込みを入れて3等分にすれば、3つの頭を持つプラナリアに再生する。
ある学者がメスを使い100を超える断片になるまで滅多切りにしたが、その全片が再生して100を超えるプラナリアが再生したという逸話がある[1]。プラナリアが再生できる栄養環境さえあれば可能であるとされる。
トーマス・ハント・モーガンの実験では、遅延や不完全な再生はあったものの、279に分割された断片から再生したとされる[2]。
咽頭および目の前にあたる部分からは、それらが万能細胞を持たないため再生出来ない[2]。
切断実験をする際は、1週間前から絶食させておかないと、切断時に体内の消化液で自身の体を溶かしてしまい、絶命する[3]。
脳以外の部位に記憶が存在する可能性
生息
下位分類 Sabussowia ronaldi、Maricola亜目 Polycelis felina、Planariidae科
Tricladida目
Maricola亜目
Cercyroidea上科
Centrovarioplanidae科
Cercyridae科
Meixnerididae科
Bdellouroidea上科
Uteriporidae科
Bdellouridae科
Procerodoidea上科
Procerodidae科
Dimarcusidae亜目(Cavernicola亜目)[8]
Dimarcusidae科
Continenticola亜目
Planarioidea上科
Planariidae科
Dendrocoelidae科
Kenkiidae科
Geoplanoidea上科
Dugesiidae科
Geoplanidae科
脚注^ NHK『サイエンスZERO』 2009年12月19日放送より。京都大学大学院理学研究科阿形清和教授談
^ a b “Stem cells and regeneration in planarians”. Frontiers in Bioscience 13: 6374?94. (2008). .mw-parser-output cite.citation{font-style:inherit}.mw-parser-output .citation q{quotes:"\"""\"""'""'"}.mw-parser-output .citation .cs1-lock-free a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/6/65/Lock-green.svg/9px-Lock-green.svg.png")no-repeat;background-position:right .1em center}.mw-parser-output .citation .cs1-lock-limited a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-registration a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/d/d6/Lock-gray-alt-2.svg/9px-Lock-gray-alt-2.svg.png")no-repeat;background-position:right .1em center}.mw-parser-output .citation .cs1-lock-subscription a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/a/aa/Lock-red-alt-2.svg/9px-Lock-red-alt-2.svg.png")no-repeat;background-position:right .1em center}.mw-parser-output .cs1-subscription,.mw-parser-output .cs1-registration{color:#555}.mw-parser-output .cs1-subscription span,.mw-parser-output .cs1-registration span{border-bottom:1px dotted;cursor:help}.mw-parser-output .cs1-ws-icon a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/4/4c/Wikisource-logo.svg/12px-Wikisource-logo.svg.png")no-repeat;background-position:right .1em center}.mw-parser-output code.cs1-code{color:inherit;background:inherit;border:inherit;padding:inherit}.mw-parser-output .cs1-hidden-error{display:none;font-size:100%}.mw-parser-output .cs1-visible-error{font-size:100%}.mw-parser-output .cs1-maint{display:none;color:#33aa33;margin-left:0.3em}.mw-parser-output .cs1-subscription,.mw-parser-output .cs1-registration,.mw-parser-output .cs1-format{font-size:95%}.mw-parser-output .cs1-kern-left,.mw-parser-output .cs1-kern-wl-left{padding-left:0.2em}.mw-parser-output .cs1-kern-right,.mw-parser-output .cs1-kern-wl-right{padding-right:0.2em}PMID 18508666
^ 兵庫県高等学校教育研究会科学部会『 ⇒理科実験助手のための実験準備マニュアル 2004年度版』実験編 ⇒第3章第18節「プラナリア(ナミウズムシ)の観察と再生」
^ Conde Nast Publications社『WIRED JAPAN』(2013年8月8日)「 ⇒記憶は脳の外にある? プラナリアの実験からわかったこと」
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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