ウクライナ語
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ウクライナ語

укра?нська мова
画像の説明
発音IPA: [?kr??jin?s?k? ?m???]
話される国 ウクライナ
モルドバ 沿ドニエストル共和国を含む)
ポーランド
 ベラルーシ
ロシア
地域東ヨーロッパ
話者数4,500万人
話者数の順位26
言語系統インド・ヨーロッパ語族

スラヴ語派

東スラヴ語群

ウクライナ語



表記体系キリル文字
公的地位
公用語 ウクライナ
沿ドニエストル共和国
クリミア共和国
統制機関 ウクライナ国立学士院
言語コード
ISO 639-1uk
ISO 639-2ukr
ISO 639-3ukr
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ウクライナ語(ウクライナご、укра?нська мова [ukra?jin?s?ka ?m??a])は、インド・ヨーロッパ語族スラヴ語派東スラヴ語群に属し、キリル文字を使用する言語であり、ウクライナ公用語である[注 1]。本国での話者人口は3680万人。

スラヴ語派においてはロシア語ポーランド語に次いで第3位の話者人口である。ウクライナ語は1989年11月の言語法によって国家語と規定され、初等・中等教育でもウクライナ語化が進んでいる。11月9日ウクライナ語の記念日となっている。

ウクライナ国外においても、諸外国に住むウクライナ人によって使用されている。ウクライナ以外には、ロシアベラルーシカザフスタンポーランドカナダアメリカ合衆国などの南北アメリカ、オーストラリアなどにも話者がおり、それらを合計すれば約4500万人になる[1]
名称

12世紀-13世紀古ルーシ語 (古ルテニア語、古キエフ文語、古東スラヴ語とも、上古ウクライナ文語とも)。

14世紀18世紀ルーシ語ルテニア語コサック語、古ベラルーシ語、西ルーシ文語、古ウクライナ文語とも)。

18世紀末‐19世紀半ば:小ロシア語(ルテニア語、コサック語、ウクライナ語とも)

19世紀後半以後:ウクライナ語。

日本において、太平洋戦争後は「ウクライナ語」と称されるのが一般的である。略記する際は、漢字表記「宇克蘭」から「宇語」[2]、または以前使われていた表記「烏克蘭」から「烏語」も散見される[3]
系統ウクライナ語

従来の言語系統論によると、ウクライナ語はインド・ヨーロッパ語族スラヴ語派東スラヴ語群に属するという[4]総合的言語の一つ[5]

もっとも近い言語はベラルーシ語[6]

スラブ諸語との共通点(音声文法): 高地ソルブ語ベラルーシ語(29の共通点)、低地ソルブ語(27の共通点)、チェコ語スロバキア語(23の共通点)、ポーランド語(22の共通点)、クロアチア語ブルガリア語(21の共通点)、セルビア語マケドニア語(20の共通点)、ポラーブ語(19の共通点)、スロベニア語(18の共通点)、ロシア語(11の共通点)[7]

スラブ諸語との共通率(語彙):ベラルーシ語(84%)、ポーランド語(70%)、スロバキア語(68%)、ロシア語(62%)[8]


音声の特徴[9]

48の音素(スラブ諸語の中で最も多い)。

高い音便化(快い音調)。

音素上の? (и) と i ( ?) の区別。


形態の特徴[10]

呼格の存在(他の東スラヴ語群にはない)。

与格の2種。

未来時制の2種。


他言語への影響:ポーランド語、ロシア語、ルーマニア語バンドゥーラホパークコサックボルシチなど)

文字詳細は「ウクライナ語アルファベット(英語版)」を参照

ウクライナ語アルファベットは33の文字字母)によって構成される。その文字は38の音素を表す。文字の他に、アポストロフという特別符号も含まれる。ウクライナ語の正書法は音素の原則に基づいており、1つの文字は普段1つの音素に相当する。正書法には、意義・歴史・形態の原則も用いられることがある。

文字には20の子音字(б, г, ?, д, ж, з, к, л, м, н, п, р, с, т, ф, х, ц, ч, ш, щ)、10の母音字(а, е, ?, и, ?, ?, о, у, ю, я)、ならびに2つの半母音字(й, в)がある。軟音記号(ь)は音価がないが、前の子音の軟化(硬口蓋化)を引き起こす。

また、特定の子音は特定の母音の前で硬口蓋化する。例えば、子音のд, з, л, н, с, т, ц, дзは軟母音の?, ?, ?, ю, яの間に軟子音となる。アポストロフは、正書法にしたがって子音の硬口蓋化を起こさないように用いられる。

アルファベットで用いる音素の原則には他の例外も見られる。例えば、щ /?t??/, ? /ji/と, 前の子音を硬口蓋化しない場合の? /j?/, ю /ju/, я /j?/というの5つの文字は二つの音素を表す。дзとджという連字は、普段、破擦音の/d?z/と/d??/を示す。е, у, аの前に位置する子音の硬口蓋化を?, ю, яで表記する。しかし、?の前に位置する子音の硬口蓋化は特別に表記されることがない。

他のキリル文字を使用するアルファベットに比べれば、ウクライナ語は東スラヴ語群の諸語アルファベットと類似している。一方、?[注 2]、?、?のようにウクライナ語固有の文字もある。ウクライナ語のアポストロフは初期キリル文字のъ(イェル)の機能を果たしている。

No.現代文字古字国際音声記号
表記呼称ローマ字[注 3]ISO 9[11]表記呼称数詞
1А аアーA aA aアーズ1[?]
2Б бベーB bB bブーキ?[b] [b?][注 4]
3В вヴェーV v (W w)V vヴィーディ2[?] [??][注 5] [w] [u?]
4Г гヘーH h (G g)G gグラゴーリ3[?] [x]
5? ?ゲーG g? ????[?]
6Д дデーD dD dドブロー4[d] [d?] [??] [d?z][注 6] [dz?] [d?ʒ][注 7]
7Е еエーE eE eイェースチ5[?] [??][注 8]
8? ?イェーYe ye (Je je)E e???[j?] [??] [?i][注 9]
9Ж жジェーZh zh? ?ジヴィーテ?[?] [???] [d??][注 7]
10З зゼーZ zZ zゼムリャー7[z] [z?] [z??] [d?z] [d?z?][注 6] [s] [s?][注 10]
11И иウィーY yI iイージェ(八)8[?] [??][注 11]
12? ?イーI iI iイジェーイ(十)10[i]
13? ?イィーYi yi (Ji ji)? ????[ji] [?i]
14Й йヨットY y (J j)J j???[j]
15К кカーK kK kカーコ20[k] [?][注 12]
16Л лエルL lL lリューディ30[l] [l?] [??]
17М мエムM mM mムィースリテ40[m]
18Н нエンN nN nナーシュ50[n] [n?] [??]
19О оオO oO oオン70[?] [o][注 13]
20П пペーP pP pポコーイ80[p] [p?][注 4]
21Р рエルR rR rルツィー100[r] [r?]
22С сエスS sS sスローヴォ200[s] [s?] [s??] [z] [z?][注 12]
23Т тテーT tT tトヴェールド300[t] [t?] [c?] [d] [d?][注 12]
24У уウーU uU uウーク?[u] [u?]
25Ф фエフF fF fフェールト500[f]
26Х хハーKh khH hヒール600[x]
27Ц цツェーTs tsC cツィー900[t?s] [t?s?] [t?s??]
28Ч чチェーCh ch? ?チェールヴ90[t??] [t????] [d??][注 12]
29Ш шシャーSh sh? ?シャー?[?] [???]
30Щ щシチャーSch sch? ?シチャー?[?t??]
31Ь ьムヤクィイ・ズナク(軟音符)'´イェリ?[?]
32Ю юユーYu yu (Ju ju)U uユー?[ju] [?u]
33Я яヤーYa ya (Ja ja)A aマールィイ・ユス(小さなユス)?[j?] [??]

正書法・音声・音韻
母音

前舌母音中舌母音後舌母音
狭母音[i] [?] [?][u][u]
中母音[?] [?] [?][o] [a][?]
広母音[?]

黒い文字は強勢音。青い文字は非強勢音。

文字音音素強勢音非強勢音軟音の後の強勢音軟音の後の非強勢音
А, Я非円唇後舌広母音/?/, /a/[?], [a][??], [a][??], [а?], [?][?], [а?], [?]
О円唇後舌半広母音/?/, /o/[?], [o][??], [o], [o], [оу][??], [о?], [?][??], [о?], [?], [?], [о?у], [?у]
У, Ю円唇後舌狭母音/u/, /у/[u], [у][?], [у?], [?]
Е, ?非円唇前舌半広母音/?/, /e/[?], [e][??], [eи], [??], [иe][?][e], [e?]
И非円唇前舌め広めの狭母音/?/, /и/[?], [и][??], [ие], [??], [еи]?


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