ウキクサ科
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ウキクサ亜科

(上) ウキクサ、(下) ミジンコウキクサ
分類

:植物界 Plantae
階級なし:被子植物 angiosperms
階級なし:単子葉類 monocots
:オモダカ目 Alismatales
:サトイモ科 Araceae
亜科:ウキクサ亜科 Lemnoideae

学名
Lemnoideae Engler1876[1]



ウキクサ属 Spirodela

ヒメウキクサ属 Landoltia

アオウキクサ属 Lemna

Wolffiella

ミジンコウキクサ属 Wolffia

ウキクサ亜科(学名: Lemnoideae)は、サトイモ科の亜科の1つであり、極めて単純で小さな植物体をもつ水草からなる。植物体はの区別がない葉状体とその下面から生じるからなるが、根を欠くものもいる (右図)。小さなものは 1 mm 以下であり、維管束植物の中で最小の種を含む (ミジンコウキクサ)。ほとんどの種は水面に浮かんでいるが (右図)、水中に生育するもいる。特殊な形態をしているため、独自のウキクサ科 (学名: Lemnaceae) に分類されていたが、系統的にはサトイモ科の中に含まれることが示されており、サトイモ科の1亜科とされるようになった。

ウキクサ亜科植物の総称としてウキクサということもあるが、としてのウキクサ (Spirodela polyrhiza) を指す場合もある[2]。また、普通名詞として水面に浮かぶ水草を指す場合もある[2]。ウキクサは水面を漂って生育するため、一カ所に生活の場を定めない不安定な生き方を「浮き草」暮らしなどと表現することもある[2]
特徴

極めて単純化した小さな植物体をもち、基本的にが分化していない葉状体 (フロンド; frond[3]) とそこから生じる (不定根) からなるが、根を欠くものも少なくない (ミジンコウキクサ属など)[4][5][6][7] (下図1)。葉状体は長径 0.3?10 mm、ふつう扁平な倒卵形であるが、下面が膨潤しているものや棍棒状、線状の種もいる[4][5][6]。葉状体にはときに1?16本の脈があるが、これを欠くものもいる[6]。ふつう葉状体表面に不規則型の気孔が存在する[7]。葉状体にはときに通気組織 (aerenchyma) が発達しており、浮力を与えている[6]シュウ酸カルシウム結晶を含むことがある[5]。葉状体の表面 (上面、背面) は緑色であり、裏面 (下面、腹面) も緑色または紫色を帯びる[6]。根をもつ場合、葉状体の下面から1?21本の根が生じている[4][5]。根は根毛を欠き、先端は根嚢で覆われる[4][6]維管束道管を欠き、仮道管も脈や雄しべ花糸、一部の種の根に限られている[5][6]。脈や根、出芽嚢内の新たな葉状体は、葉状体の基部から頂端の1/3ほどのところにある節 (node) から生じる[4]。.mw-parser-output .tmulti .thumbinner{display:flex;flex-direction:column}.mw-parser-output .tmulti .trow{display:flex;flex-direction:row;clear:left;flex-wrap:wrap;width:100%;box-sizing:border-box}.mw-parser-output .tmulti .tsingle{margin:1px;float:left}.mw-parser-output .tmulti .theader{clear:both;font-weight:bold;text-align:center;align-self:center;background-color:transparent;width:100%}.mw-parser-output .tmulti .thumbcaption{background-color:transparent}.mw-parser-output .tmulti .text-align-left{text-align:left}.mw-parser-output .tmulti .text-align-right{text-align:right}.mw-parser-output .tmulti .text-align-center{text-align:center}@media all and (max-width:720px){.mw-parser-output .tmulti .thumbinner{width:100%!important;box-sizing:border-box;max-width:none!important;align-items:center}.mw-parser-output .tmulti .trow{justify-content:center}.mw-parser-output .tmulti .tsingle{float:none!important;max-width:100%!important;box-sizing:border-box;align-items:center}.mw-parser-output .tmulti .trow>.thumbcaption{text-align:center}}1a. ウキクサ1b. 休眠芽をつけたウキクサ1c. コウキクサ: 表面 (左)、裏面 (右)1d. Wolffia columbiana

葉状体左右に2個または基部に1個の出芽嚢 (budding pouche) をもち、ここから新たな葉状体を形成して出芽状に増殖する[5][6] (上図1)。新たに形成された娘葉状体はしばらく親葉状体についたままで、これを繰り返して群体を形成していることも多い[4] (上図1)。出芽嚢の基部はときに鱗片状の構造 (prophyllum, prophyll) で囲まれている[4][6]。一部の種 (ウキクサなど) では、を欠く小型の娘葉状体がデンプンなどを貯蔵して休眠芽 (越冬芽、殖芽; turion) となって水底に沈み、生育不適期をこれで過ごすことがある[4][6] (上図1b)。2a. イボウキクサ: 花をつけた葉状体 (下)2b. コウキクサ: 花をつけた葉状体 (2)、花 (3)2c. Wolffia columbiana: 葉状体表面の孔中に花がある2d. Wolffia columbiana: 1個の雄しべと雌しべからなる花 (左下)

出芽嚢または葉状体上面の窪み (花孔) に1個 (稀に2個) のをつけるが、ほとんど花をつけないことも多い[4][5] (上図2)。花は花被を欠き、1または2個の雄しべと1個の雌しべからなる (1個の雄しべからなる雄花と1個の雌しべからなる雌花からなる花序とされることもある)[4][5][6] (上図2b, d)。花は、ときに膜状の構造 (utricular scale; 仏炎苞 spathe ともされる) で覆われている[4][6] (上図2b)。ふつう雌性先熟 (雌しべが先に成熟し、その後で雄しべが成熟することで同花受粉を避ける) であるが[6]、雄しべ・雌しべが同時に成熟して自家受粉する種もいる[8] (アオウキクサ)。


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