この項目では、テーブルトークRPGについて説明しています。背景世界を共有するミニチュアゲームについては「ウォーハンマー _(ミニチュアゲーム)」をご覧ください。
『ウォーハンマーRPG』(ウォーハンマーあーるぴーじー)とは、イギリスのゲームズワークショップ社が開発したテーブルトークRPG。正式名称は“Warhammer Fantasy Roleplay”。ジャンルはダークファンタジー。 闇と混沌、そして悪徳に彩られたファンタジー世界を舞台に、恐怖と狂気を隣り合わせに危険な冒険を行うダークファンタジー物のTRPG。 初版は1985年にイギリスゲームズワークショップ社から発行。ゲームズワークショップ社やHogshead Publishing社からシリーズが刊行され、第2版(2005年発行)が、ゲームズワークショップ傘下のBlack Industries社、アメリカのGreen Ronin社のもとで出版された(後、権利がFantasy Flight Gamesに移った)。また、2009年にルールを大規模に改訂した第3版がFantasy Flight Gamesから発売された(日本語未訳)。2018年には初版と第2版を底本とした第4版がCubicle 7がライセンスを得て発売した(日本語未訳)。 中世ヨーロッパをベースにしたファンタジーゲームは数多くあるが、ウォーハンマーRPGは暗黒時代と呼ばれた中世ヨーロッパの持つ「暗さ」やピカレスク小説風の雰囲気を、可能な限り生かした形でゲームに取り入れている。世界を描写している文章では汚物や腐臭を強調しており、ゲームのルールにおいてもキャラクターの出血や肉の断裂、骨折などの痛みがプレイヤーに伝わるかのように生々しくデザインされている。この泥臭い雰囲気には根強いファンがおり、他のヒロイックファンタジーゲームでは感じられないアドバンテージとして支持されている。ともすれば社会階層の最底辺にてその日暮らしを重ねるキャラクターたちが、地を這い泥水を啜りながら少しずつ成り上がり運命の果実を掴もうとする様は、立身出世の物語の醍醐味を味わわせてくれる。また、反骨精神溢れるゲーム・コンセプトは初期パンク・ロックの精神に相通じるものがあり(現に第2版のデザイナーは、デザイナーズ・ノートにて自らがパンク・ロックの愛好家であることを告白している)、いわゆる「普通のファンタジー」におもねることのない、独自のスタンスを貫いている。 ウォーハンマーRPGの日本語版として最初に翻訳出版された物は、1991年に社会思想社の現代教養文庫から発売。翻訳はグループSNEが担当。雑誌『ウォーロック』でのサポートも行われ、『ドラッケンフェルズ』などの関連小説やシナリオ集の翻訳、友野詳によるリプレイも文庫で発売されたが、1992年に日本語版『ウォーロック』誌が休刊したことを契機にサポートは停止された。 社会思想社版は、元々は大判のゲームだったものを文庫本として再編集したため、500ページを超える3分冊という形式となった。3分冊の上に厚い文庫本であったために検索性も良いとは言えず、発売当時はファンから「3つ並べると立方体になる」などとも呼ばれることもあった。作品そのものは、1990年代後半の「テーブルトークRPG冬の時代」には口コミで評価が広まっていったが、絶版となったこの時期に3分冊全てをそろえるのは至難の業であり、文庫形式のゲームの中ではかなりのプレミアのつくゲームとなっていた。 社会思想社版の登場から15年が経ち、2006年12月にホビージャパンより第2版のウォーハンマーRPGがB5判ソフトカバー書籍の形態で翻訳された。日本国内では『ダンジョンズ&ドラゴンズ』や『クトゥルフ神話TRPG』、『シャドウラン』など少数の例外を除いてはセールスがかんばしくないとされる海外RPG作品のなかで、予想外の好評をもって迎えられた。 このホビージャパン版では、サプリメント『オールド・ワールドの武器庫』、『オールド・ワールドの生物誌』や、ジャック・ヨーヴィルの小説『ドラッケンフェルズ 以下の記述は、特に注釈ない限りは日本語版が発売された第1版・第2版のルールを基本とする。 ウォーハンマーRPGでは、キャラクタークラスにあたる概念としてキャリア(経歴)というものを持つ。キャリアとはプレイヤーキャラクターが就いている職業や社会的地位のことであり、キャリアによってプレイヤーキャラクターの能力は大きく異なることになる。 ウォーハンマーRPGの特徴はプレイヤーキャラクターが成長するときにこのキャリアを変更できることにある。他のRPGでも良くある転職、クラスチェンジという概念とほぼ同じものであるが、ウォーハンマーRPGはその転職の頻度がTRPGの中ではかなり頻繁に起こるゲームである。これはウォーハンマーRPGのテーマの一つに、「社会の下層の人間たちが冒険を通じて立身出世していく物語」というテーマがあるためであり、プレイヤーキャラクターは冒険を積み重ねていくたことでより社会的地位の高いキャリアへと転職することが可能なのである。 用意されているキャリアは《ネズミ捕り》や《似非魔術師》など、ゲームの舞台となる「オールドワールド」の文化に根付いたユニークなものが多く、プレイヤーキャラクターが次にどのキャリアに就くかを考えることが「オールドワールド」という架空世界の理解の手助けともなる。 行為判定はパーセンテージロールに属する下方判定である。
概要
日本語版について
システム
キャリア
行為判定
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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