ウイルスの分類(ウイルスのぶんるい)は、生物の分類と同様に常に議論が続けられていくものである。これまでに宿主や症状、伝染方法、ウイルス粒子の形状などを基準に分類されてきたが、今日ではウイルスに含まれる核酸の型と、その発現形式に重点を置く分類が広く用いられるようになっている。これはウイルスによる逆転写を発見した功績でノーベル生理学・医学賞を受賞したデビッド・ボルティモアによって提案され、現在では国際ウイルス分類委員会の定める分類体系の基本骨格となっている。
ボルティモア分類詳細は「en:Baltimore classification」を参照
通常の細胞性の生物は2本鎖DNAに遺伝情報を保存しているが、2本のうちの1本は冗長である。ウイルスの場合にはゲノムは1本鎖であったり2本鎖であったりする。またDNAではなくRNAを用いている場合もある。1本鎖RNAを用いる場合には、さらに+鎖(mRNAと同様に遺伝子が5'→3'方向に読み取られる)を用いる場合と、-鎖(遺伝子が相補鎖を使って3'→5'方向に読み取られる)を用いる場合がある。ボルティモア分類とは、こうしたゲノムの種類と発現様式によってウイルスを以下の7群に分類するものである。
2本鎖DNAウイルス (dsDNA)
1本鎖DNAウイルス (ssDNA)
2本鎖RNAウイルス (dsRNA)
1本鎖+鎖RNAウイルス ((+)ssRNA)
1本鎖-鎖RNAウイルス ((?)ssRNA)
1本鎖RNA逆転写ウイルス
国際ウイルス分類委員会 (ICTV) による分類体系では、まずボルティモアによる7群に分けた上で、その中を通常の生物のものと似た分類階級を用いて階層的に分類している。またウイロイドなどについても同様の階層分類を行っている。
ウイルスの分類階級は以下で、それぞれの学名は括弧内に示す統一語尾を与えられる。生物種の学名とは異なり、@media screen{.mw-parser-output .fix-domain{border-bottom:dashed 1px}}ウイルス種の学名は属名を含む必要がなく、単語数にも制約がない[要出典]。目 (order; -virales)科 (family; -viridae)亜科 (subfamily; -virinae)属 (genus; -virus)種 (species)株 (strain) ? 2003年,ICTV
このうちICTVが取り仕切るのは、2003年時点では、「科」から「種」までである[1]。「株名」は発見機関、発見者が独自に決めてよい[1]。
「科名」「属名」「種名」は正式名称として確立したときに「大文字で始まるイタリック体」で記述する[1]。
目が使われるようになったのはごく最近のことである[要出典]。国際ウイルス分類委員会の報告書第8版(2005年)では73科約2000種のうち、10科が3目に所属しているだけで、それ以外のほとんどの科は目に所属していなかった。
その後、目から上位の域(レルム)まで使用されるようになり[2]、2019年のICTV発表では4域 (realm)、9界 (kingdom)、16門 (phylum)、8亜門 (subphylum)、36綱 (class)、55目 (order)、8亜目 (suborder)、168科 (family)、103亜科(subfamily)、1421属 (genus)、68亜属 (subgenus)、6590種 (species)である[3]。域 (realm; -viria)界 (kingdom; -virae)門 (phylum; -viricota)亜門 (subphylum)綱 (class; -viricetes)目 (order; -virales)亜目 (suborder)科 (family; -viridae)亜科(subfamily; -virinae)属 (genus; -virus)亜属 (subgenus)種 (species; -virus)株 (strain) ? 2019年,ICTV[3]