ウイスキー
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ウイスキー(Alcoholic beverage, distilled, whiskey, 86 proof)いくつかのカナダのウイスキー
100 gあたりの栄養価
エネルギー1,046 kJ (250 kcal)

炭水化物0.1 g
糖類0.1 g
食物繊維0 g

脂肪0 g
飽和脂肪酸0 g
一価不飽和0 g
多価不飽和0 g

タンパク質0 g

ビタミン
ビタミンA相当量(0%) 0 μg
チアミン (B1)(1%) 0.008 mg
リボフラビン (B2)(0%) 0.001 mg
ナイアシン (B3)(0%) 0.05 mg
パントテン酸 (B5)(0%) 0 mg
ビタミンB6(0%) 0 mg
葉酸 (B9)(0%) 0 μg
ビタミンB12(0%) 0 μg
ビタミンC(0%) 0 mg

ミネラル
ナトリウム(0%) 0 mg
カリウム(0%) 1 mg
カルシウム(0%) 0 mg
マグネシウム(0%) 0 mg
リン(0%) 3 mg
鉄分(0%) 0.02 mg
亜鉛(0%) 0.02 mg
マンガン(0%) 0.008 mg
セレン(0%) 0 μg

他の成分
水分63.9 g
アルコール (エタノール)36 g


単位

μg = マイクログラム (英語版) • mg = ミリグラム

IU = 国際単位

%はアメリカ合衆国における
成人栄養摂取目標 (RDI) の割合。
出典: USDA栄養データベース(英語)

ウイスキー(: whisky[† 1]/: whiskey[† 2])は、世界のの一つ。大麦ライ麦トウモロコシなどの穀物麦芽酵素糖化し、これをアルコール発酵させ蒸留したものである。元々はイギリスおよびアイルランド特産品であったが、現在では多くの国で生産されている。

日本語ではウィスキーとも表記される(ウヰスキーとも)。日本酒税法上の表記は「ウイスキー」であり、国税庁も「ウイスキー」の表記を用いている[1]漢字を当てて火酒[† 3]、烏伊思幾とも書かれた[3][4]

またスコッチ・ウイスキーは whisky、アイリッシュ・ウイスキーは whiskey と表記される[5]
語源

"whisky" または "whiskey"の名称は、蒸留アルコールを意味するラテン語の "aqua vitae" (アクア・ウィタエ、「命の水」の意)に由来する。スコットランドアイルランドアルコールの蒸留技術が伝わると、それぞれの地域で使われるゲール語アイルランド語に逐語翻訳されて、uisge beatha や uisce beatha (ウィシュケ・ビャハ、同様に「命の水」の意)となり、その後、「水」の部分 uisce または uisge (ウィシュケ)が訛って whisky (ウィスキー)になったと考えられている[6][7]。英語の初期には、uskebeaghe(1581年)、usquebaugh(1610年)、usquebath(1621年)、usquebae(1715年)と、綴りのブレが見られる[6]

なお、ラテン語の "aqua vitae"(「命の水」)を名称由来とする酒名はウィスキーだけではなく、例えばブランデーフランス語 "eau-de-vie"(オードヴィー)、ウォッカの、ポーランド語やロシア語由来の原語 "wodka" (ヴトゥカすなわちウォッカ)、ジャガイモを原料とする蒸留酒アクアビット "Akvavit"(デンマーク語およびノルウェー語)、"Aquavit"(ドイツ語) も同じ「命の水」に由来する派生語である。

Whiskeyの語源に関しては他に俗説として、1170年にイングランド王ヘンリー2世エール(アイルランド)に侵攻した時、接収した修道院から酒の小樽を発見したイングランド兵が、仲間のもとへ矢のように飛んで(to wisk)帰り、報告したことから、Whiskeyとして広まったというものがある。
whiskyとwhiskey

ウィスキーの英語表記には、whisky と whiskeyの二通りの綴りがある[8][9]。この問題について2つの考えがある。1つは単純に地域の言語的規則の問題であり、スペリングは意図する対象者、背景、ライターの個人的な好みによって選択して良いというものである[8][9]。もう1つは、その製品の伝統や精神を守るために綴りには拘るべきというものであり、少なくとも、ラベルに印刷された正しい名前を引用するとき、そこに印字された綴りは変えるべきではないという一般的なルールがある[8][9]

whiskeyの綴りは、アイルランドとアメリカ合衆国では一般的だが、whiskyは、他の全てのウイスキー生産国で使用されている[10]。そのアメリカでも元から使用法が一貫していたわけではなく、新聞のスタイルガイドが導入される前の18世紀後半から20世紀半ばまでは、両方のスペルが用いられていた[11]。1960年代以降、アメリカのライターたちは、アメリカ国内または国外での製造に限らず、穀物由来の蒸留酒を、whiskeyとして使用するようになった[12]。ただし、ジョージ・ディッケル、メーカーズ・マーク、オールド・フォレスターなどの有名なアメリカン・ウィスキーのブランドでは、whiskyの綴りが使用されており、全体を通して見てもwhiskyの使用は少なくない[13]
定義

ウイスキーについて、世界共通の明確な定義があるわけではないが、各国の法制度上、種々の目的から定義されていることがある。
日本「ジャパニーズ・ウイスキー#定義」も参照

日本においては、酒税法3条15号において、次のように定義されている。十五 ウイスキー 次に掲げる酒類(イ又はロに掲げるものについては、第九号ロからニまでに掲げるものに該当するものを除く。)をいう。イ 発芽させた穀類[† 4][14]及び水を原料として糖化させて、出芽酵母により発酵させたアルコール含有物を蒸留したもの(当該アルコール含有物の蒸留の際の留出時のアルコール分[† 5][14]が九十五度未満のものに限る。)ロ 発芽させた穀類[† 4]及び水によつて穀類を糖化させて、発酵させたアルコール含有物を蒸留したもの(当該アルコール含有物の蒸留の際の留出時のアルコール分[† 5]が九十五度未満のものに限る。)ハ イまたはロに掲げる酒類にアルコール、スピリッツ香味料色素[† 6][14]または水を加えたもの(イ又はロに掲げる酒類のアルコール分の総量がアルコール、スピリッツ又は香味料を加えた後の酒類のアルコール分の総量の百分の十以上のものに限る。)[† 7][14]

上記定義から除かれている「第九号ロからニまでに掲げるもの」とは次のものであり、ウォッカ、ラムジン等のスピリッツが除外されていることになる。ロ しらかばその他政令で定めるものでこしたものハ 含糖質物(政令で定める砂糖を除く。)を原料の全部又は一部としたもので、そのアルコール含有物の蒸留の際の留出時のアルコール分が九十五度未満のものニ アルコール含有物を蒸留する際、発生するアルコールに他の物品の成分を浸出させたもの
欧州連合

欧州連合(EU)においては、スピリッツ飲料の定義、記述、展示、ラベル表示および地理的表示保護ならびに理事会規則(EEC)1576/89号の廃止に関する2008年1月15日欧州議会理事会規則(EC)110/2008号別紙II第2項において、ウイスキー(whiskyまたはwhiskey)が、次のように定義されている。2. whiskyまたはwhiskey(a) whiskyまたはwhiskeyは、専ら次に掲げるものにより製造されたスピリッツ飲料である。(i) 発芽させた穀物から他の穀物の全粒の併用の有無を問わず作られたマッシュであって、― そこに含まれるモルトジアスターゼにより他の天然の酵素の併用の有無を問わず糖化され、― 酵母の作用により発酵されたものの蒸留(ii) 蒸留液が用いられた原料に由来する香りおよび味を有するよう、94.8%未満の分量となる一または複数の蒸留(iii) 最終蒸留液の容量700リットル未満の木製における3年以上の熟成(b) whiskyまたはwhiskeyの分量による最低アルコール強度は40%とする。(c) 希釈化の有無を問わず、別紙I (5) に定義されるアルコールの添加は一切なされないものとする。(d) whiskyまたはwhiskeyは、甘味付けまたは香り付けをされないものとし、かつ、着色のために用いられる無味カラメル以外の添加物を含まないものとする。
アメリカ合衆国

アメリカ合衆国においては、連邦規則集第27編第1章A節第5款C目5.22条(b)項柱書[15]において、ウイスキー(whisky)が次のように定義されている。5.22条 同一性の基準この条に規定される蒸留スピリッツの種々の種類および種別の基準は、以下のとおりとする(5.35条 種類および類型も参照)。(a)(略)(b)第二種;ウイスキー。「ウイスキー」は、発酵した穀物のマッシュからのアルコール蒸留液であって、190度プルーフ[† 8]未満に、蒸留液が一般にウイスキーが有するとされる味、香りおよび特性を備える方法によって製造され、オーク樽(英語版)に保存され(ただし、コーン・ウイスキーはそのように保存されることを要しない。)、かつ、80度プルーフ[† 9]以上で瓶詰めされたものであり、さらに、特定の同一性の基準が規定されていない蒸留液の混合物をも含む。(略)
歴史「蒸留」および「蒸留酒」も参照

下記ではウイスキーが誕生したとされる15世紀以前の「蒸留」及び「蒸留酒」についても触れる。また、個々の地域のウイスキーや、ブランドの詳細な歴史については当該の記事を参照のこと。

蒸留という技術について、古いものでは紀元前2000年頃のメソポタミアバビロニア人が行っていた可能性が指摘されているが[16]、これは不確定であり、その根拠の妥当性について論争がある[17]。最も初期の化学蒸留は西暦1世紀のアレクサンドリア古代ギリシャ人によるものだが[18]、これはアルコールの蒸留ではない。一説に、最初の蒸留アルコールの精製は、8世紀から9世紀にかけて中東で行われたものとされている[17]。その後、蒸留技術は、十字軍遠征を通して中世アラブ人から中世ラテン人に伝播し、12世紀初頭にラテン語で最も古い記録が残された。

アルコールの蒸留がいつから行われていたかには諸説あるが、現代のルーツにつながる最古の記録は、13世紀のイタリアにおいて、Ramon Llull(1232-1315年)による、ワインからアルコールを蒸留させたものである[17]。その技術は、中世の修道院に広がり、主に疝痛天然痘の治療用の医療目的で利用された[19][20]

15世紀までにはアイルランドとスコットランドにも蒸留技術が伝播するが、当初は当時の他のヨーロッパ地域と同じく、アルコール蒸留は薬用目的であり、ラテン語で「命の水(aqua vitae、アクア・ウィタエ)」と呼ばれた(その後、名前がウィスキーになった経緯については#語源の通り)[21]。そして、蒸留技術は、当時の専門家集団である「Barber Surgeons」ギルドを介して修道院で行われるものから、一般社会でも行われる時代へと移り変わっていく[21]

ウィスキーの起源についてはアイルランド説とスコットランド説が古くから知られているが、共に15世紀以前に根拠を求めるものは裏付けに乏しい(詳細はアイリッシュ・ウィスキースコッチ・ウィスキーを参照)。アイルランドで最も早くにウィスキーについて言及される史料は、17世紀に成立した『クロンマクノイズ年代記』であり、1405年の首長の死因はクリスマスに「命の水(アクア・ヴィテ)を暴飲したからだ」とある[22]。一方、スコットランド説の場合は、1494年に「王命により修道士ジョン・コーに8ボルのモルト(麦芽)を与えてアクアヴィテを造らしむ」(8ボルはボトル約500本分に相当)が最古の根拠であり、これは同時にウィスキーに関する最古の文献である[23][7]


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