ウィーン宣言及び行動計画
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ウィーン会議」とは異なります。

ウィーン宣言及び行動計画(ウィーンせんげんおよびこうどうけいかく、英語: Vienna Declaration and Programme of Action)とは、東西冷戦後の1993年6月25日にウィーンにて「世界先住民族年」を踏まえて開催された世界人権会議により採択された、世界のあらゆる人権蹂躙に対処するための、国際人権法国際人道法に関する原則や国際連合の役割、全ての国々に対する要求を総括した宣言及び行動計画である。

この宣言及び行動計画は同年7月12日に国際連合総会にて承認され、国連人権高等弁務官事務所 (OHCHR) が設置されることとなった。また新たな国際人権条約国連ミレニアム宣言の成立の発端ともなった。
概要

このウィーン宣言及び行動計画は2部に分かれ、第1部は39項目より形成され、そこでは人権に関する基本原則が、第2部は100項目より形成され、そこでは国際連合の果たすべき役割や、個別の人権問題について各国政府に対しての勧告がなされている。

当宣言は世界人権会議に参加した171ヶ国代表により採択(コンセンサス方式[1])され国連総会で承認[2]されたものであり、批准を経て各国の国内法制化を義務づける性質のものではない。一方で各国中央政府の行政責任者に対しては条約的性質を持ち、世界人権会議により各国が本宣言及び行動計画に準拠することが望まれる性質のものである。
第1部

第1項、「世界人権会議は全ての国家が国際連合憲章、他の人権に関する国際法規、並びに国際法に則り、全ての人権と基本的自由を普遍的に尊重し保護する義務を遂行する必要があることを厳粛に再確認する。これらの権利と自由は疑いの余地がない。」

第2項、「全ての民族は自決の権利を持つ。」「植民地的、ないしその他の形態の支配や外国の占領を被る民族があることを考慮して、民族が国際連合憲章に従って、奪い得ない民族自決の権利のために法的行動を起こすことを承認する。」

第5項、「すべての人権は普遍的であり、不可分にして、互いに依存しており、関連している。国際社会は全ての人権を地球規模で、公平に、同じ根拠で、同じ重大性を持って扱わなければならない。国民や地域の独自性の意味や多彩な歴史的、文化的、宗教的背景は考慮に入れる必要は認めるが、その政治的、経済的、文化的体制のいかんに拘わらず、全ての人権と基本的自由を促進し保護することは国家の義務である。」この原則は「モントリオール宣言」、「ジョグジャカルタ原則」(第1原則)、「障害者権利条約」(前文)においても引用されている。

第8項、「民主政治経済発展人権と基本的自由の尊重は、それぞれ相互に依存しており、相関して強化される。民主政治は国民の自由に表現された意思により、自らの政治的、経済的、社会的、文化的体制を決定することであり、その生活の全ての側面に於いての参加である。」「国際社会は全世界での民主政治、経済発展、人権と基本的自由の尊重の強化と促進を支援すべきである。」

第9項、「世界人権会議はその多くがアフリカ諸国である後発開発途上国民主化と経済改革を行う際、国際社会がその民主制への移行と経済発展を成功させるために協力すべきであることを再確認する。」

第10項、「『発展への権利宣言』において主張された通り、経済発展の権利は普遍的にして、奪うことのできない権利であり、基本的人権の不可欠な一部である。」「経済発展が全ての人権の享受を容易にするとはいえ、経済発展の欠如は国際的に承認された人権の軽視を正当化してはならない。」

第11項、「発展の権利は公平に、現在と未来の世代の必要性環境問題を考慮して実現されるべきである。世界人権会議は有害物質有害廃棄物不法投棄が、人権である万人の生命と健康にとって潜在的に脅威となることを認識する。」ことを明記し、全ての国に現存する有害物質と有害廃棄物に関する条約の批准と実現を求めている。

第17項、「あらゆる形態のテロリズムの行為と原理、幾つかの国々で行われる麻薬密売は人権と基本的自由、並びに民主主義に対する破壊行為である。国際社会は協力してテロリズムを防ぎ、戦う為に必要な措置を講じなくてはならない。」

第18項、「女性女子児童(girl-child)の権利は奪い得ない、不可欠にして、不可分な、普遍的人権の一部である。」「性別に関するあらゆる形態の差別の根絶は国際社会の優先課題である。」

第23項では、万人が無差別な、迫害を受けた際の亡命の請求と享受の権利を再確認し、世界人権宣言難民の地位に関する条約とその追加議定書に基いた、国際連合難民高等弁務官国際連合パレスチナ難民救済事業機関の任務と、世界的に危機的に増大する難民に対応するため国際社会の連帯と「負担の分かち合いの精神」に則った国際社会と関連機関の協力、さらに難民の出身国の責任を求めている。さらに、国際連合憲章国際人道法の原則に従い、自然災害及び人的災害の被害者に対する人道支援の重要性を強調している。

第25項では、極度の貧困社会的排除が人間の尊厳の蹂躙であることを主張し、極度の貧困についての充分な認識とその原因の究明に向けて早急な対応を行い、貧困と社会的排除を根絶させ、貧困者の人権を促進させ、社会的発展の成果を享受できるよう求めている。

第26項、「世界人権会議は国際人権文書の成文化を、人権の動的で進化的過程として評価し、各国に国際人権条約の全般的批准を要請する。全ての国家がこの国際人権文書に加入し、可能な限り留保を避けるよう奨励する。


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