「ウィーン交響楽団」とは異なります。
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
Wiener Philharmoniker
本拠地のウィーン楽友協会
基本情報
出身地 オーストリア、ウィーン
ジャンルクラシック音楽
活動期間1842年 -
レーベルデッカ、ドイツ・グラモフォン、EMIほか
公式サイトwww.wienerphilharmoniker.at
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団(ウィーン・フィルハーモニーかんげんがくだん、ドイツ語: Wiener Philharmoniker:['vi:n?[1] f?lhar'mo:nik?[2]] ヴィーナ・フィルハルモーニカ、英語: Vienna Philharmonic Orchestra)は、オーストリア・ウィーンのウィーン楽友協会大ホール(ムジークフェラインザール)に本拠を置くオーケストラ。正式な略称はドイツ語表記よりWPhであるが、もっと簡単にWPともする。英語表記の頭文字を取ってVPOと表記されることもある。 ウィーン国立歌劇場のオーケストラであるウィーン国立歌劇場管弦楽団(6管編成・150名ほど)の団員から選ばれたメンバーによって構成されたオーケストラ(5管編成・120名ほど)である。ウィーン独特の楽器や奏法などを歴代の名手たちが後輩に伝えることで長年受け継がれてきた[3]。大型の編成を求められる曲(マーラーなど)では、国立歌劇場の団員もエキストラとして出演する場合もある[注 1]。 楽団長もつとめたオットー・シュトラッサーは「ウィーンの伝統的な奏法は確かに存在する」と語ったが、ウィーンの伝統的な奏法とは、ヴァイオリンではヨーゼフ・ベームとヨーゼフ・ヘルメスベルガーによって確立されたもので、その奏法の根本となる精神は代々伝えられてきた。メンバーは代々ウィーンまたはオーストリア出身者で構成されているが、ウィーンがスラヴ、ボヘミア、ドイツ、イタリア系などが共存する人種のるつぼのような都市であることと関係し、ウィーン・フィルの響きの均質性、統一性は決して抽象的なものではなく、教育の継承とその伝統を根底で支えている精神によって形作られている。その精神とは、"音楽を主体性と喜びをもって演奏する"ことであり、それらが一体となって独自の典雅で柔らかな音色がつくられてきた。その独自サウンドの背景には、本拠地であるムジークフェラインザールと国立歌劇場の優れた音響や1960年完成のザルツブルク祝祭大劇場などの柔らかく温かい響きもバックボーンとなっている[3]。 1933年以来、常任指揮者は置いていない。定期演奏会のプログラムは楽団にて自主決定され、その上で、指揮者、独奏者、歌手を楽団が招聘する。責任者である楽団長は選挙で選ばれる。 定期演奏会はあくまでも年間契約者に対しての予約販売であるため、現地でも入手困難である。 管打楽器は、ウィンナ・ホルン、ウィンナ・オーボエ、ウィンナ・トランペット、ウィンナ・パウケンなど、ウィーン独自の伝統的なスタイルのものが使われている(近年職人の減少により日本のヤマハがこれらの楽器の開発と製作に携わっている)。弦楽器は、コンサートマスターの一部を除いてオトマール・ラング工房で製作されたものが用いられている。フルトヴェングラーは、かつて自分が監督をしていたウィーン・トーンキュンストラー管弦楽団(現ウィーン交響楽団)でウィーン・フィルの使っている弦楽器を使用してみたが、ウィーン・フィルのような美しい響きを作り出すことはできなかった、と語っている[4]。 気風の異なる指揮者には冷たく接することもあり、ギュンター・ヴァントがウィーン・フィルに「付点音符のリズムが曖昧」だとして「譜面通りきちんと弾くよう」に指示したところ、コンサートマスターのウィリー・ボスコフスキーから「やめなさい。そんなスミをほじくるの僕らは好きじゃない」と言われて拒否されたという[注 2]。逆に、コンサートマスターのライナー・キュッヒルは「良い指揮者とは私たちの音楽を邪魔しない指揮者のこと」と語ったうえで、「(ウィーン・フィル名誉指揮者の)カール・ベームは天皇様のように怖かったです(無条件に従っていたということ)」と回想している[5]。そのカール・ベームは「ウィーン・フィルは、良くない指揮者をバカにする。そして『あのエロイカのテンポは完全に間違いだ』『それなら我々の方がよく知っている』とみんなで言い始める。
概要
特色