ウィーンの変位則
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各温度における黒体輻射のエネルギー密度の波長ごとのスペクトル

ウィーンの変位則(ウィーンのへんいそく、: Wien's displacement law)とは、黒体からの輻射のピークの波長温度反比例するという法則である。

ヴィルヘルム・ヴィーンによって発見された。

なお、ヴィーンはドイツの物理学者であるため「ヴィーン」が正しい名称となるが、慣習的に英語読みのウィーンの変位則と呼ばれることも多い。目次

1 関係式

2 例

3 導出

3.1 別の導出


4 脚注

5 関連項目

関係式 λ max = b T {\displaystyle \lambda _{\text{max}}={\frac {b}{T}}}

ここで T は黒体の温度(K)、λmax はピーク波長(m)、b は比例定数であり、

その値は b = {\displaystyle b=} 6997289777290000000?2.8977729(17)×10?3 K⋅m

である[1]

CGS単位系では b は約 0.29 cm·K である。

物体の温度が高ければ、放射される波長は短くなる。例えば、太陽の表面温度 5780 K の場合ピーク波長は 500 nm にある。白熱電球をみると、温度の低い時、黄色っぽい光になりさらに温度が低い時赤くみえる(色温度も参照)。
導出

ヴィルヘルム・ヴィーンによって発見されたが、プランクの式から導くことができる。

プランクの式によると、黒体輻射の分光エネルギー密度 u は次式で表される: u ( λ , T ) = 8 π h c λ 5 1 e h c / λ k T − 1 {\displaystyle u(\lambda ,T)={\frac {8\pi hc}{\lambda ^{5}}}\,{\frac {1}{e^{hc/\lambda kT}-1}}}

波長の最大値 λmax を求めるために、波長分布 u(λ) を λ で偏微分して、0 になる波長を求めればよい。 ∂ λ u ( λ m a x ) = 8 π h c ( h c k T λ max 7 e h c / λ max k T ( e h c / λ max k T − 1 ) 2 − 1 λ m a x 6 5 e h c / λ max k T − 1 ) = 0 {\displaystyle \partial _{\lambda }u(\lambda _{\mathrm {max} })=8\pi hc\left({\frac {hc}{kT{\lambda _{\text{max}}}^{7}}}{\frac {e^{hc/\lambda _{\text{max}}kT}}{\left(e^{hc/\lambda _{\text{max}}kT}-1\right)^{2}}}-{\frac {1}{{\lambda _{\mathrm {max} }}^{6}}}{\frac {5}{e^{hc/\lambda _{\text{max}}kT}-1}}\right)=0} ∴ h c λ m a x k T 1 1 − e − h c / λ max k T − 5 = 0 {\displaystyle \therefore {\frac {hc}{\lambda _{\mathrm {max} }kT}}\,{\frac {1}{1-e^{-hc/\lambda _{\text{max}}kT}}}-5=0}

ここで x = hc/λmaxkT とすると、 x 1 − e − x − 5 = 0 {\displaystyle {\frac {x}{1-e^{-x}}}-5=0}

となる。この方程式は解析的には解けないが、ランベルトのW関数を用いて、 x = W ( − 5 e − 5 ) + 5 {\displaystyle x=W(-5e^{-5})+5}


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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