ウィキペディアの歴史
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本項では、ウィキペディアの歴史(ウィキペディアのれきし)について記述する。ジミー・ウェールズラリー・サンガーにより、ウィキペディアが初めて公開されたのは2001年1月15日であるが、技術的・構想的にウィキペディアの基礎となった要素はそれ以前から存在していた。インターネット百科事典開発の試みはこれまで知られている限り、リック・ゲイツ(英語版)による1993年のプロジェクトが端緒であったが[1]、単にフリー(無料)なのではなく、自由という意味でフリー(free-as-in-freedom)なインターネット百科事典という構想は[2]リチャード・ストールマンが2000年12月に初めて提唱したものだった[3]

ストールマンの構想では、編集をコントロールする中央機関は百科事典において存在してはならないとしており、この点で当時の既存のデジタル百科事典(「マイクロソフト・エンカルタ」や『ブリタニカ百科事典』デジタル版およびウィキペディアの前身「ヌーペディア」等)とは著しく異なっていた。1995年、ウォード・カニンガムによって「ウィキ」が開発されると、その技術と構想を用い、2001年にウェールズがサンガーと共にウィキペディアを設立した[4]。ウィキペディアは本来、インターネット百科事典プロジェクト「ヌーペディア」を補足することを目的としていた。専門家によってのみ執筆されるヌーペディアの発展は遅々として進まず、ウィキペディアが新たな記事の草案やアイディアを供給することが期待されていた。ウィキペディアは発足後すぐに規模の面でヌーペディアを追い抜き、多言語にわたる国際的なプロジェクトへと成長した。

アレクサ・インターネットによれば、ウィキペディアは2018年9月16日時点で世界で5番目に訪問者の多いウェブサイトだった[5]。2014年の『エコノミスト』の記事によれば、毎日全インターネット利用者の約15パーセントがウィキペディアを訪問しており、月間利用者数は約4億9500万人にのぼるとされた[6]コムスコアの調査では、2015年におけるウィキペディアの月間ユニークユーザー数はアメリカ国内だけで1億1700万人以上に達していた[7]
歴史的背景

全世界に存在する知識を1ヶ所に集積する構想は、古代のアレクサンドリア図書館やペルガモン図書館(英語版)まで遡ることができるが、広く刊行される多目的の印刷物である「百科事典」の起源は、18世紀フランスの哲学者ドゥニ・ディドロおよび百科全書派に求められる。刷る以外の技術を使い自動化された機械を利用し、百科事典の機能を強化するというアイディアは、ポール・オトレの著書『ドキュメンテーション概論(英語版)』(1934年)に端を発し、その構想はH・G・ウェルズのエッセイ集『世界の頭脳』(1938年)や、ヴァネヴァー・ブッシュが1945年の論文『考えてみるに(英語版)』で示した「メメックス」というビジョンの中でいっそうの発展を見た[8]。さらなるマイルストーンは、1960年に始まったテッド・ネルソンによるハイパーテキスト開発プロジェクト(ザナドゥ計画)だった[8]

20世紀後半における情報技術の進歩は百科事典の形態にも変化をもたらした。『ブリタニカ百科事典』に代表される伝統的百科事典が書物という形を取っていたのに対し、1993年発売のマイクロソフトの電子百科事典「エンカルタ」はCD-ROMに収録され、さらにハイパーリンクを実装していた。その後インターネットおよびワールド・ワイド・ウェブが発達すると、インターネット百科事典の開発が可能となった。わかっている範囲でオンライン百科事典の初の開発事例は、1993年10月にリック・ゲイツ(Rick Gates)という人物が提唱した「Interpedia(英語版)」プロジェクトだが、最終的に1本の記事も生み出さないまま消滅した[1]。1999年、フリーソフトウェア活動家リチャード・ストールマンは「自由で全世界的な百科事典および学習資料(Free Universal Encyclopedia and Learning Resource)」の有益性について述べた[3]。2001年1月17日には、フリーソフトウェア財団(FSF)によるフリーコンテント百科事典プロジェクト「GNUPedia(英語版)」が立ち上げられ、後述するヌーペディアと競合したが[9]、今日ではFSF自体が「ウィキペディアを訪れて貢献する」よう人々に呼びかけている[10]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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