イーグル_(空母・初代)
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イーグル

基本情報
建造所アームストロング&ホイットワース造船所
運用者 イギリス海軍
前級アーガス[1]
次級ハーミーズ (空母・初代)
艦歴
起工1913年2月20日
進水1918年6月8日
就役1924年2月20日
最期1942年8月11日に戦没
要目
基準排水量21,600トン
常備排水量22,600トン
満載排水量26,500トン
全長203.5m
水線長191.1m
最大幅35.1m
飛行甲板198.7m×29m
吃水7.3?8.8m
機関蒸気タービン
ボイラーヤーロー式重油専焼水管缶32基
主機ブラウン・カーチス高速・低速タービン2組
推進4軸
出力50,000HP
最大速力竣工時24.0ノット
1941年時:21.0ノット
燃料重油:2,500トン(常備)
3,750トン(満載)
航空燃料:67トン
航続距離18ノット/4,000海里
乗員834名
兵装15.2cm(45口径)単装速射砲9基
10.2cm(45口径)単装高角砲5基
4.7cm単装高角砲4基
12,7mm四連装機銃12丁
53.3cm三連装魚雷発射管2基
装甲舷側:114mm(中央水線部)、25mm(前後端部)
甲板:38mm(主甲板)、38mm(飛行甲板)
主砲砲盾:25?76mm
搭載機24機
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イーグル (英語: HMS Eagle) は、世界初の島型艦橋(アイランド)を備えたイギリス海軍航空母艦[2][注釈 1]

艦名はワシに因んで名付けられた[注釈 2]チリ海軍向けにイギリスで建造していた戦艦アルミランテ・コクレン(Almirante Cochrane)を第一次世界大戦時にイギリス海軍が買収、空母に改造した軍艦である[5][注釈 3]
設計

イーグルは、超弩級戦艦から空母に改造された、最初期の航空母艦である[7][注釈 4]。設計年時が古いために航空機運用にそぐわない要素も残っていたが、これらは本艦の設計時期を考えれば致し方の無いものであった。これは航空母艦を軽巡洋艦的な任務にも対応させようという各国共通の設計思想によるものであった。

水上機運用のための大型クレーンの装備

対水上艦艇攻撃のための舷側中口径砲搭載と水中魚雷発射管装備

初期の空母は、飛行甲板の他に障害物がなにもないフラッシュデッキ型(平甲板型)と、舷側に艦橋と煙突をまとめたアイランド型(島型艦橋)に大別できる[注釈 5]。イーグルは島型艦橋の嚆矢であり、本艦より後に建造された空母ハーミーズ (HMS Hermes, 95) の原型になったほか[10]アメリカ海軍巡洋戦艦を改造したレキシントン級航空母艦[11]フランス海軍戦艦改造空母ベアルン(1923年8月より空母改装開始、1927年5月竣工)などに影響を与えた[12][注釈 6][注釈 7]
艦形1930年代に撮られたイーグル。舷側に配置する15.2cm砲に注目。戦艦として完成した姉妹艦のアルミランテ・ラトーレ[注釈 4]。第一次大戦中はイギリス海軍においてカナダとして就役していた[注釈 8]

イーグルは[注釈 4]、もともとチリ海軍向けにイギリスで建造中だったアルミランテ・ラトーレ級戦艦の2番艦アルミランテ・コクレン(Almirante Cochrane)であった[15][注釈 9][注釈 8]。船体形状はアイアン・デューク級と同じく短船首楼型船体で、船体サイズは主砲に35.6cmを採用したためにアイアン・デューク級よりも船体長を約11.4m伸ばし、全長は201mとなった。これは、当時のグランド・フリートの戦艦では最長のエジンコート (HMS Agincourt) の204.7mに次いで長かった。

艦首形状は1910年代のイギリス式設計の特徴である艦首浮力を稼ぐための水線下部を前方向にせり出した形状となっていた。本来は主砲塔を配置したであろう最上甲板上には幾多の支柱を建て、その上に飛行甲板を配置した。艦首側の支柱は凌波性を良好とするために元の艦首構造を延長して飛行甲板の前部と接続するように整形された。最上甲板上に15.2cm単装速射砲が支柱と支柱の間を埋めるように9基が配置された。

飛行甲板上には既存のイギリス航空母艦(フューリアス、ヴィンディクティヴ、アーガス)にはなかった上部構造物が設けられた。その形状は飛行甲板のスペースを阻害しないよう上面から見て長方形に設計され、これを船体中央部の右側に集中配置した。上部構造物の最前部に艦橋が位置し、その上に巡洋戦艦フッドの物に似た三脚型の前部マストが立てられた。頂上部には射撃方位盤室を乗せた箱型の見張り所が設けられ、その下に測距儀を片舷1基ずつ計2基を配置した。前部マストの後方に2本煙突が立ち、煙突の断面は2本とも小判型であった。2番煙突の後部に簡素な単脚式の後部マストが立てられた。この上部構造物の長さ・幅は39.6m×5.5mにもなり、飛行甲板スペースの約20%を占める巨大な構造となった。上部構造物の後方には水上機を運用するためのクレーン1基を配置した。

飛行甲板の直下には高さ6.2mの格納庫が設けられたが、格納庫は舷側に配置された15.2cm砲に挟まれて狭められ、飛行甲板サイズに比較して約6割の面積しか取れなかった。
航空艤装上方方向から見たイーグル。艦首側の十字型のエレベーターに注目。

紆余曲折を経て完成した本艦の飛行甲板長は縦198.7m×幅29m。二基のエレベータを飛行甲板の前後に一基ずつ設けた。このエレベータは前後で形が違っており、後部の物は普通に四角形だが、前部の物は飛行機の形に合わせて十字架型をしており、設計の元になったフューリアスの名残と言える。イギリス海軍は後にハーミーズグローリアス級にも引き続き採用しており、同海軍独自の利点(エレベータ本体の軽量化、それに伴う揚降動力の省力化等)があったと思われる。


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