イヴの時間
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イヴの時間 Are you enjoying the time of EVE ?
ジャンル
SF
アニメ:イヴの時間
原作吉浦康裕
監督吉浦康裕
脚本吉浦康裕
キャラクターデザイン茶山隆介
音楽岡田徹
アニメーション制作スタジオ六花
製作DIRECTIONS
配信サイトYahoo!動画ニコニコ動画
配信期間2008年8月1日 -
話数全6話
映画:イヴの時間 劇場版
原作吉浦康裕
監督吉浦康裕
脚本吉浦康裕
キャラクターデザイン茶山隆介
音楽岡田徹
制作スタジオ六花
製作DIRECTIONS
配給アスミック・エース
封切日2010年3月6日
上映時間106分
漫画:イヴの時間
作者吉浦康裕(原作)
太田優姫(漫画)
出版社スクウェア・エニックス
掲載誌ヤングガンガン
レーベルヤングガンガンコミックス
発表号2010年5号 - 2012年6号
巻数全3巻
小説:イヴの時間 another act
原作・原案など吉浦康裕
著者水市恵
イラスト茶山隆介
出版社小学館
レーベルガガガ文庫
発売日2010年3月18日
巻数全1巻
テンプレート - ノート

『イヴの時間 Are you enjoying the time of EVE ?』(イヴのじかん)は、スタジオ六花制作の日本アニメーション作品。当初、Webアニメとして公開され、のちに再編集されて劇場公開された。
概要

アニメーション作家の吉浦康裕によるショートシリーズのアニメーション作品で、原作・脚本・監督を務めている[1][2]。吉浦にとっては初のシリーズ作品[1]。それまで個人制作をしていた吉浦が、制作手段のデジタル化により可能となった少人数による制作体制で、エンターテイメント性と作家性を両立させながら、小規模とはいえシリーズという作品形態での制作を実践して完成させた[2]

各話約15分から25分程度の全6話からなる短編連作で、インターネット上で2008年8月から2009年9月にかけて約2カ月間隔の配信スケジュールで「ファースト・シーズン」が公開された[1][2]。配信後、ネット上の口コミで評判が広がり、徐々に再生数を伸ばしていった結果、シリーズ総再生回数が300万回を突破[1][2]。それを受けて2010年には再編集した完全版が制作され、映画として公開された[1][2]

回り込むようなアングルの変化や刻々と画面上で推移する文字など、3DCGを含めたCG制作のメリットを全面に押し出した作品となっている。

東京国際アニメフェア2010・第9回東京アニメアワード優秀賞OVA部門受賞作品、第14回文化庁メディア芸術祭アニメーション部門審査員推薦作品。
あらすじ

「未来、たぶん日本。“ロボット”が実用化されて久しく、“人間型ロボット”(アンドロイド)が実用化されて間もない時代。」

アンドロイドはそれと分かるようにリングを頭に表示し、無表情で人間に奉仕する。だが、ロボットが社会の様々な分野に進出して人間から仕事を奪い、アンドロイドに精神依存する「ドリ系」と呼ばれる人々が確実に増え続けており、それを危険視する「倫理委員会」が広報活動に勤しんでいた。また、旧式化したロボットが不法投棄され主を持たない彼らが野良ロボットとして徘徊することが社会問題となっている。

高校生のリクオは、所有するハウスロイド「サミィ」の行動記録の中に、命令した覚えのない行動を発見する。級友のマサキと共にGPSを辿って行き着いたのは「イヴの時間」という不思議な喫茶店だった。「人間もロボットも区別しない」ことをルールにしたその店では、誰もが人間らしく振る舞っており見た目では区別がつかない。彼らは思い思いにそこでの時間を楽しんでいた。リクオとマサキは好奇心から店に通うようになる。

やがてリクオは店でウェイトレスのナギに悩みを相談しているサミィと鉢合わせてしまう。家で見せるそれとは別の貌のサミィにリクオは戸惑い、裏切られたような気持ちを抱く。マサキはロボット3原則に「人間に嘘をついてはならない」という項目がないことから、「ヤツらは平気で嘘をつく」とリクオに語る。

リクオとマサキにはそれぞれロボットに傷つけられた過去があった。店とそこに集う「ヒトビト」と関わるうち、少しずつそこで出会う「ヒト」たちに心を開いていくリクオ。リクオの変化にかえって心を閉ざしてしまい、店には寄りつかなくなるマサキ。そんな二人をよそに「倫理委員会」の調査の手が「イヴの時間」にも及ぼうとしていた・・・。
登場人物
主要人物
向坂リクオ
- 福山潤本作の主人公で、物語の語り手。通称「リクオ」。普通の男子高校生。11月26日生まれ[3]。両親、姉・ナオコとの4人暮らし。自宅にはハウスロイドのサミィがおり、この時代の人間の常識として、ハウスロイドであるサミィを「便利な道具」とみなして、人間扱いすることがないように気をつかっているが、基本的にはサミィを信用している。「ロボット三原則」には疎いが、プログラムやデジタルツールには詳しい。父親はハウスロイドに携わる仕事をしているらしい[4]。物腰は穏やかで人当たりもいいが、思ったことをすぐ口に出す、女性の胸をジロジロ見るなど、場の空気を読むのは苦手でデリカシーにも欠けている。ただし、意外な芯の強さをみせることもある。14歳までピアノを弾いていたが、受賞したコンクールに突如乱入したロボットの演奏が話題を独占してしまい、それがきっかけでピアノをやめた。コミカライズではピアノをやめた経緯がより詳しく描かれており、ロボットの演奏に感動した自分の感情を認められなかった事と、片思いしていた女の子がロボットの演奏を褒めた事が原因とされている。
真崎マサカズ
声 - 野島健児 / 三瓶由布子(少年時代)リクオの中学時代からの友人[5]。通称「マサキ」。3月16日生まれ[6]。父の仕事の事情もあってハウスロイドを所持していないと公言している。また、アンドロイドに依存したり疑似恋愛関係に陥るドリ系には否定的で軽蔑視しているが、その一方でアンドロイドに乱暴な態度をとっている者には嫌悪感を示している。将来的にロボット法で身を立てようとしており、「特待生」でリクオと違い「ロボット三原則」に詳しい。父親が「倫理委員会」に務めている。幼い頃からテックスに育てられ信頼していたが、両親の離婚後、突如口を開くことがなくなったテックスに傷つけられた過去を持つ。その経緯から、父親との親子仲は険悪になっている。リクオと比べてドライな部分がある反面、感情的になりやすい。コミカライズでは、テックスと和解した後に再び「イヴの時間」に通うようになり、アキコの行動ログに気付いたマサオミを「イヴの時間」に誘った。
サミィ
声 - 田中理恵アンドロイドで、リクオの家にいる若い女性の外観を持つハウスロイド。作中の会話からリクオの母からは溺愛されていることがうかがわれる。一方でリクオの姉ナオコからは疎んじられている。普段はハウスロイドらしく無表情で無機的な立ち振る舞いであるが、その裏では ひそかに「イヴの時間」の常連客となっていた。「イヴの時間」の中ではリクオを含む向坂家の人たちを思いやる感情豊かな人格を現し、結果的にリクオと打ち解けた。また、6話では向坂家でリクオと会話をするに至った。コミカライズでは、APCの潮月が発明した自我を持つAI「CODE:EVE」搭載アンドロイドで本名は「SAME(セイム)」、潮月を「父」と認識している。その性能は芦森と潮月が夢見ていた「人間らしいアンドロイド」そのものであったにも関わらず、動作停止を「死」と捉え強い恐怖を示す事が出来るほどの彼女の人間らしさを目の当たりにして戦慄した芦森によって破壊されてしまった。その後は記憶消去(完全には消去しきれておらず、芦森に破壊された時の記憶をスリープ中に「怖い夢」として再生している)と「情緒抑制回路」の追加を伴って修復され、向坂家で試験運用される事になった。リクオに対して態度が消極的なのは、人間らしく振舞ったせいで芦森に破壊されてしまった事がトラウマになっているためである。
ナギ
声 - 佐藤利奈「イヴの時間」のウェイトレス。漢字表記は「凪」。イヤリング、ウインクが印象的。どんな客にも明るく接するが、その反面すねやすい。店内では、ある奇妙な「ルール」を客に強要する。幼少時、倫理委員会構成員たちに襲撃され、対ロボット用高電圧警棒で破壊されそうになった仲良しのロボットを庇って高電圧を受けほぼ全身不随となってしまう(トキサカ事件)が、潮月によるサイバネティクスの導入と厳しいリハビリを乗り越え再び自力で身体を動かせるようになった。以降はAIの研究開発に没頭する潮月の世話を焼いていたが、やがて共に出奔し、各地を旅しながらロボットが自分らしくいられる場所として「イヴの時間」を提供するようになる。なお原作アニメで登場するトキサカ事件の新聞記事では「暴走したロボットを制圧しようとした倫理委員会構成員の高電圧警棒がロボットを庇った女の子に誤って当たってしまった」となっているが、コミカライズではロボットと仲良くしている女の子を見てこれを不適切な行為ととらえた倫理委員会構成員たちが、女の子をロボットから引き離そうとして先に手を出した事が示唆されている。
「イヴの時間」の常連客
アキコ
声 -
ゆかなリクオと同級生のマサオミが所有するハウスロイド。「イヴの時間」に居る間は、いかにも最近の若者然とした見た目のとおり、明るくおしゃべりで猛烈に早口。初めて来店したリクオとマサキに親しげに接する。ニット帽を気に入っている。面倒見がよく、店内ではチエと一緒にいることが多い。マスターである佐藤家の人々を家族と認識しており、アンドロイドを人間視しないマサオミの事を理解したくて「イヴの時間」に通っている。コミカライズでは、一人っ子で両親が忙しくいつも寂しそうにしているマサオミを心配しており、リクオに彼と仲良くしてくれるよう頼んだ。


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