インドヒウス
[Wikipedia|▼Menu]

インドヒウス
生息年代:
ルテシアン、50?48 Ma Pre??OSDCPTJKPgN
インドヒウス(生態復元想像図)
分類

ドメイン:真核生物 Eukaryota
:動物界 Animalia
:脊索動物門 Chordata
亜門:脊椎動物亜門 Vertebrata
:哺乳綱 Mammalia
階級なし:北方真獣類 Boreoeutheria
亜綱:獣亜綱 Theria
下綱:真獣下綱 Eutheria
上目:ローラシア獣上目 Laurasiatheria
:鯨偶蹄目 Cetartiodactyla
:?†ラオエラ科 Raoellidae
:†インドヒウス属
Indohyus Rao, 1971

学名
Indohyus Rao, 1971
和名
インドヒウス



インドヒウス・インディラエ
Indohyus indirae

インドヒウス・マジョル(マヨル)
Indohyus major

インドハイアス(または、インドヒウス、学名:Indohyus)は、約4,800万年前(新生代古第三紀始新世中期ルテシアン)のアジア南端の海岸部に棲息していた半水棲の原始的哺乳類分類学上の位置に定説の無い絶滅した一群であるラオエラ科6の中の比較的著名な1属。本種を含むラオエラ科は通常、鯨偶蹄目に属すると見なされるものの、統一的見解を得るには遠い。

比較的初期の偶蹄類であり、発見当初はクジラカバ共通祖先(始原的鯨凹歯類〈en〉)に極めて近縁の進化系統と見なされ、学会の注目を浴びたが、現在では学説によってイノシシ亜目(猪豚亜目)に分類される、レベルで別のメソニクス目に近縁とされるなど、鯨凹歯類の進化とは別系統とする見方が優勢となっている。なお、現在の知見で最古かつ最も始原的なクジラ類とされているのは、パキケトゥス科である。
呼称

学名は、indo-「インドの」+ 古代ギリシア語: ??(hys; ヒュース)「」の意。「インドヒウス」「インドハイウス」などと呼ばれることもある。
発見史

2、3歯と顎骨の断片からなる最初の化石は、インドの地質学者A・ラオ(A. Ranga Rao)によって1971年、インド亜大陸のカシミール地方にて採取された岩の中に埋もれた状態のまま気づかれることもなく眠っていた。ラオが亡くなった後、未亡人が、原クジラ類に詳しい人類学者米国はノースイースタン・オハイオ大学医学部所属のハンス・テーヴィスン(J.G.M.Hans Thewissen)に岩を譲渡したことが切っ掛けとなり、テーヴィスン率いる調査チームによって本種は偶然に見出され、科学雑誌『ネイチャー2007年12月号への記事の掲載をもって世に知られることとなった。
生物的特徴
分布

インド亜大陸アジア大陸南端地域への衝突がまだ本格化していなかった時代に、その間に横たわるように存在していた遠浅で穏やかなテティス海に面した水辺に、彼らの暮らしはあったと考えられている。
形態と分類

体長約40センチメートル。体型はマメジカと似るが、体長とほぼ同じ長さの細長い尾があった[1]。また、四肢の先端には、極めて祖先的な形態を留めたを持つ。骨格は偶蹄類とクジラの双方の特徴が混在したような形態を有する。また、頭蓋骨、肥厚した耳骨小臼歯骨密度、歯列、および、同位体組成が、クジラのそれと高い相似性を示しており、未発見の進化の系統(ミッシングリンク)ではないかと考えられた[2][3]
生態

カバに見られるような骨密度が高く厚い外層がある構造の骨をもっており、これを錘(おもり)として水中で長時間過ごすことに適していた。また、水棲動物の化石が同時に発見されており、本種は水辺を好んだと思われる。肢端には鰭脚(ひれあし)など水中生活に特殊化した形態は見られず、通常は陸上で過ごし、危険が迫った際に水中へ逃げ込んでいたという仮説がハンスらにより2007年に提唱されている[1]。一方、カバなどと同様に水底を歩いていたという仮説もある[2]

食性は、虫食および植物食であったと考えられるが、水中への適応は食性の変化が原因であったとの説もある。マメジカ類との進化的収斂性から見ても、常に水辺を生活圏とし、猛禽などの天敵から逃れるためにも水に潜る能力を発達させていたことが窺える。例えば、アフリカ中央部に棲息するミズマメジカ(en)は猛禽の襲撃を逃れるために4分ほどの間を潜水することができる。
脚注[脚注の使い方]^ a b 文藝春秋『海洋生命5億年史 サメ帝国の逆襲』p145,土屋健 著
^ a b 『ありえない!? 生物進化論』 67-68頁。
^ インドハイアス - 古世界の住人(川崎悟司イラスト集)

関連項目

原クジラ亜目

パキケトゥス科 :同時代に棲息していた、最初期の陸棲クジラの一分類群。

参考文献

北村雄一『ありえない!? 生物進化論』
ソフトバンククリエイティブ〈サイエンス・アイ新書〉、2008年、67 - 68頁頁。.mw-parser-output cite.citation{font-style:inherit;word-wrap:break-word}.mw-parser-output .citation q{quotes:"\"""\"""'""'"}.mw-parser-output .citation.cs-ja1 q,.mw-parser-output .citation.cs-ja2 q{quotes:"「""」""『""』"}.mw-parser-output .citation:target{background-color:rgba(0,127,255,0.133)}.mw-parser-output .id-lock-free a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-free a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/6/65/Lock-green.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .id-lock-limited a,.mw-parser-output .id-lock-registration a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-limited a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-registration a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/d/d6/Lock-gray-alt-2.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .id-lock-subscription a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-subscription a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/a/aa/Lock-red-alt-2.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .cs1-ws-icon a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/4/4c/Wikisource-logo.svg")right 0.1em center/12px no-repeat}.mw-parser-output .cs1-code{color:inherit;background:inherit;border:none;padding:inherit}.mw-parser-output .cs1-hidden-error{display:none;color:#d33}.mw-parser-output .cs1-visible-error{color:#d33}.mw-parser-output .cs1-maint{display:none;color:#3a3;margin-left:0.3em}.mw-parser-output .cs1-format{font-size:95%}.mw-parser-output .cs1-kern-left{padding-left:0.2em}.mw-parser-output .cs1-kern-right{padding-right:0.2em}.mw-parser-output .citation .mw-selflink{font-weight:inherit}ISBN 978-4-7973-4592-6。 

外部リンク


次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:18 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef