インゲンマメ
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「インゲン」はこの項目へ転送されています。僧の「隠元」については「隠元隆g」を、俳優声優の「いんげん」については「いんげん」をご覧ください。

インゲンマメ

分類

:植物界 Plantae
階級なし:被子植物 angiosperms
階級なし:真正双子葉類 eudicots
:マメ目 Fabales
:マメ科 Fabaceae
:インゲンマメ属 Phaseolus
:インゲンマメ P. vulgaris

学名
Phaseolus vulgaris L. (1753)[1]
英名
kidney bean,
snap bean,
common bean
Phaseolus vulgaris”

インゲンマメ(隠元豆[2]、眉児豆、Phaseolus vulgaris)はマメ亜科一年草。別名、サイトウ(菜豆)[1]、サンドマメ(三度豆)、ゴガツササゲ(五月?豆)[1]

主に西日本フジマメ(藤豆、別名・センゴクマメ(千石豆)、アジマメ(?豆)など)のことを「インゲンマメ」と呼ぶ地域があり[3]、両種は混同されやすいが、別種である。
歴史

メキシコなど中央アメリカ南米アンデスの原産とされる[2]。古代からインゲンマメは南北アメリカ大陸での主要作物となっており、アステカ帝国では乾燥させたインゲンを税の物納品目として徴収していた。コロンブスによるアメリカ大陸発見時に、アメリカ全土に広がったとされる[2]

ヨーロッパには、コロンブスの二度目の航海の後に持ち込まれたが、当初はアメリカ原産であることは知られず、カズラの新種と思われていた[4]16世紀には育てやすく食べやすい作物として栽培されるようになった。特にギリシャなど地中海沿岸地域では、ソラマメ中毒にならない健康に良い豆として受け入れられていた。

フランスはこの豆の利用に熱心で、様々な料理を作った。中でも若いインゲンを莢ごと調理する料理、アリコ・ヴェルが好まれ、そのためにフラジョレという専用の品種を作った。他の国も豆料理をフランス料理風の名でよぶ場合が多くなり、今日でも英語圏では莢ごと食べる方法をフレンチスタイル、フレンチビーンとよぶ[5]

16世紀末にヨーロッパを経由して中国に伝わり、17世紀日本に伝わったといわれている[6]1654年江戸時代からの帰化僧・隠元隆gが日本に持ち込んだとされることからこの名がついた[2][7][注 1]。実際にはフジマメ(藤豆、フジマメ属)を持ち帰ったという説もある。このためかどうか不明だが、上方(関西)では伝統的にフジマメをインゲンマメと呼び、インゲンマメはフジマメ、サヤインゲンは三度豆と呼ぶ。
生態

一年生草本[6]つる性の品種とつるなしの品種とがあり、つる性の品種の方がつるなし品種よりも収穫期間が長く、収穫量が多くなる[6]。つるあり種は、高さ1.5 - 3メートルになり、支柱を立てて栽培する[6]。夏に、白またはピンク色の花をつけ、秋に長いさやをつける。肥料を多く必要とせず、畑が肥えていなくても作りやすい[6]
人間との関係

濃厚なうまみを持ち栄養価も高い優秀な食用種として知られ、原産地である中南米以外でも世界的に利用されている。マメ類では最も生産量が多い。完熟した豆を利用する以外にも若い鞘ごと食べることもよく行われ、役所の統計上は前者を穀物、後者を野菜類として扱うことがある。栄養面としてはタンパク質豊富なこと以外にも、身近な食材としては最も食物繊維を含む食材の一つであり、腸内細菌への影響も注目されている[8] 。食用に当たっては他のマメ類同様に加熱による毒抜きが必須で、生食では中毒する(後述)
主な品種

金時豆 - 日本では最も一般的なインゲンマメでダイズ、アズキと共に小売店でもほぼ必ず置いてある。アズキ(金時)と色合いが同じだから金時豆と呼ばれるようになったなど諸説ある。現在の主力品種は北海道大正村で発見された大正金時で皮の色が在来品種よりやや明るい。大粒で味は良いが灰汁が強く茹で汁にエグ味があり、人によっては数回茹でこぼしを行う。白色系品種は「白金時豆」という銘柄名で総称される。
[9]

うずら豆 - 鳥の一種ウズラもしくはその卵に模様が似ていることからの品種名。英語名pinto bean(モザイク模様の豆)。主に煮豆や甘納豆の原料に使われる[10]。「福粒中長(ふくりゅうちゅうなが)」「福うずら」などの品種があり、大粒で多収という特徴を持っている[11]。値段は金時豆と同程度が多い。よく似た外観の白と紫のクランベリー豆と呼ばれるものもある。

虎豆 - 白地に黄色と褐色の斑模様が入り、トラ柄に似ることからこの名がある。主に煮豆に使われる[10]。エグ味が少なく高級豆として扱われ値段はやや高め。

大福豆(おおふくまめ) - 白色扁平の腎臓型の品種。エグ味が少なく高級豆として扱われ値段はやや高め。

手亡(てぼう) - 白い種皮色を持つ小粒の白インゲン豆の銘柄種。白い色を活かして、主に白餡の材料に使われる。「姫手亡」「雪手亡」「絹てぼう」などの品種が栽培されている。[12]

モロッコインゲン - 莢を食べる平莢種で、長さ20 cm以上になる。莢を湯通しして、和え物、煮物などに使う。[13]

南星インゲン(ハイブシインゲン) - 沖縄で作出された暑さに強いつるあり種。莢は丸サヤで、筋がなくやわらかく、甘みが強い[14]。若い莢を、お浸しや炒め物、胡麻和え、汁の実、天ぷらなどに使う[13][14]

黄インゲン(バターインゲン) - 莢が淡黄色をしているのが特徴で、丸サヤと平サヤがある。若い莢を食べ、クセがなく、茹でると薄い黄緑色になる。[13]

紫インゲン - 莢が濃い紫色をしているのが特徴で、若い莢を茹でると緑色になる[13]。「パープル・ホープ」「ドワーフ・ビーン・アメジスト」「パープル・クィーン」「パープルトライアンフ」「パープル・キング」などの品種がある。


さまざまなインゲン豆

白インゲン豆


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