イングロリアス・バスターズ
Inglourious Basterds
監督クエンティン・タランティーノ
脚本クエンティン・タランティーノ
製作ローレンス・ベンダー
製作総指揮ロイド・フィリップス
ボブ・ワインスタイン
ハーヴェイ・ワインスタイン
エリカ・スタインバーグ
『イングロリアス・バスターズ』(Inglourious Basterds)は、2009年のアメリカの戦争映画。監督・脚本はクエンティン・タランティーノ、出演はブラッド・ピット、クリストフ・ヴァルツ、メラニー・ロランなど。
舞台は第二次世界大戦中のドイツ国防軍占領下のフランス。5章に分けて語られる物語の中心となるのは、ドイツ指導者の暗殺を企てる二人の主人公、一方はナチス親衛隊大佐(ヴァルツ)に家族を皆殺しにされたユダヤ系フランス人の女性映画館館主(ロラン)と、他方はユダヤ系アメリカ人からなる秘密部隊を率いるアメリカ陸軍中尉(ピット)であり、女の復讐劇と男たちの戦いは、ドイツのプロパガンダ映画が披露される夜に彼女の劇場が大炎上してクライマックスを迎える[3]。
2009年5月20日、パルム・ドールを目指して第62回カンヌ国際映画祭で発表された。ワインスタイン・カンパニーとユニバーサル・ピクチャーズの配給で、2009年8月からアメリカとヨーロッパの映画館で公開された。
8月21日に北米3,165館で公開されると、3805万4676ドルを稼いで週末興行成績第1位となった[4]。最終的に全世界で3億ドル以上を稼ぎ[1]、『パルプ・フィクション』の2億1392万8762ドル[5] を超えてタランティーノの監督映画で最大のヒット作となった。
第82回アカデミー賞では8部門でノミネートされるなど、映画賞も多数獲得した。
なお、オリジナルのタイトル「Inglourious Basterds」について、ここでは「Inglourious」の表記となっているが実際に使われている英語の正しい綴りは「Inglorious」である。 1941年、第二次世界大戦中のドイツ軍占領下のフランスの田園地帯。この地に赴任した「ユダヤ・ハンター」の異名をとるナチス親衛隊のランダ大佐は、行方不明になっているユダヤ人一家の手がかりを得るために酪農家のラパディットを尋問する。床下にその一家が匿われていることを突き止めると、部下に命じて床板越しにマシンガンで皆殺しにさせるが、ただ一人、娘のショシャナだけは逃げ出すことに成功する。ランダは走り去るショシャナの背中に向けてピストルを構えるが、引き金を引く代わりに別れの言葉を叫ぶ。(第1章『その昔…ナチ占領下のフランスで』) 1944年春、レイン米陸軍中尉はユダヤ系アメリカ人8名からなる秘密特殊部隊を組織していた。レインが部下に説明する任務とは、市民にまぎれて敵地奥深くに潜入し、ドイツ人を血祭りにあげることであった。捕虜はとらないという方針の下、拷問を加えた上で殺害し、レインの祖先でもあるアパッチ族の慣わしに倣って、各員が100人のドイツ軍兵士から頭皮を剥ぐよう命じる。一方、ドイツ軍の間では、レインの部隊は「バスターズ」の名前で知れ渡っており、その活躍は生存者を通してアドルフ・ヒトラー総統にも伝えられえる。「ユダヤの熊」こと軍曹ドニーは、協力を拒むドイツ軍下士官をバットで撲殺する。レインは、唯一の生き残りのドイツ兵の額に、一生消えないハーケンクロイツの傷をナイフで刻んだ上で解放する。また、バスターズはドイツ軍兵士でありながらゲシュタポ将校13名を殺害して監獄に入れられていたスティグリッツを救出して仲間に引き入れる。(第2章『名誉なき野郎ども』) 1944年6月、パリ。ショシャナは、亡くなった叔父夫妻から経営を引き継いだ、身寄りのないうら若き女性映画館主エマニュエルという別人に成りすましていた。ショシャナに想いを寄せるドイツ軍狙撃兵フレデリックは、彼のイタリア戦線での活躍をプロパガンダ映画『国家の誇り』に仕立て上げたヨーゼフ・ゲッベルス宣伝大臣にショシャナを無理やり引き合わせて、映画のプレミア上映会にショシャナの劇場を使用するよう、ゲッベルスを説得する。そのビストロでの会食の場に、ショシャナの家族を皆殺しにしたランダが現れ、ショシャナは緊張する。ゲッベルスとの話し合いが済むと、ランダはショシャナ一人を残らせて、彼女の生い立ちや劇場について尋問するが、最後までエマニュエルがショシャナだとは気付かない。ランダが立ち去ると、ショシャナは極度の緊張から解き放たれ、一人静かに泣く。家族を殺された復讐に、上映会に集うナチス高官をニトロセルロースフィルム[6]を使って劇場もろとも焼き尽くすことを思いつく。
ストーリー