イワシャコ
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イワシャコ

保全状況評価[1]
LEAST CONCERN
(IUCN Red List Ver.3.1 (2001))

分類

ドメイン:真核生物 Eukaryota
:動物界 Animalia
:脊索動物門 Chordata
亜門:脊椎動物亜門 Vertebrata
:鳥綱 Aves
:キジ亜目 Galliformes
:キジ科 Phasianidae
:イワシャコ属 Alectoris
:イワシャコ A. chukar

学名
Alectoris chukar
(Gray, 1830)
和名
イワシャコ
英名
Chukar Partridge

イワシャコ(岩鷓鴣、学名:Alectoris chukar)は、キジ目キジ科に分類される鳥類ハイイロイワシャコノドグロイワシャコオオイワシャコとは近縁で上種群を形成すると考えられており、かつてはこれら全てが単一の種と見なされていた。くっきりした白黒の縞が脇にあり、黒い帯が額から目、首、胸にかけて白い喉を縁取る。世界各地に移入されており、北アメリカの一部とニュージーランドでは外来種として帰化している。
形態

イワシャコは体長32?35 cmの丸々とした鳥で、薄茶色の背、灰色の胸、薄黄色の腹を持つ。体色は個体群によって差がある。顔は白く黒い喉輪がある。脇には赤茶色が混じり、赤い脚と赤珊瑚色の嘴を持つ。雌はやや小さく、けづめが無いことをのぞけば性差は乏しい[2]。尾羽は14枚で、第三初列風切が最も長く、第一初列風切は第五および第六初列風切りと長さが揃っている[3]。ハイイロイワシャコとはよく似ており、かつては同種とされていたが、本種の方が背の茶色みが強く、前頸が黄色みを帯びている。本種は明瞭な黒い喉輪を持つのに対し、アカアシイワシャコは喉輪が胸のあたりで黒い縞に変わることで区別できる。イワシャコの鳴き声は、英語ではうるさい「チャック・チャック・チャカー・チャカー」と聞きなされ、これがそのまま英名となっている[4]。バーバリイワシャコ(Alectoris barbara)は黒ではなく赤褐色の首輪、灰色の喉、栗色の頭頂を持つ[5]
分布

ユーラシア大陸高地。イスラエルからトルコアフガニスタンインドヒマラヤ山脈西部からネパールにかけて分布。南東ヨーロッパに入ると本種の代わりにアカアシイワシャコが見られるようになる。シナイ半島をのぞけばアフリカにはほとんど生息しない。草原やまばらな灌木、畑などのある開けた岩がちの丘陵地帯を好む。イスラエルとヨルダンでは海抜400m以下の死海付近など低地でも見られるが、より東では、本種が海抜600mでも見られるパキスタンをのぞけば主に海抜2000mから4000mの高地に生息する[2][6]。湿度や降雨量の高い地域には見られない[7]

狩猟鳥として世界各地に移入されており、アメリカ合衆国ロッキー山脈グレートベースンカリフォルニア州モハーヴェ砂漠ハワイ州カナダ、ニュージーランドに帰化している。アメリカ合衆国に初期に移入された個体は、アフガニスタンとネパールの個体群から採集された[8]オーストラリアニューサウスウェールズ州にも移入されたが、繁殖は長続きせず、個体群は死滅したらしい[9]南アフリカ共和国ロベン島には1964年に移入され、小さな個体群が生息している[10]
体系学と分類学イワシャコ(緑)と近縁種の分布

イワシャコは赤い脚を持つ数種のまぎらわしいイワシャコのうちのひとつである。同種の中でもいくつかの羽毛の色の変異が見られ、亜種として扱われている。かつては本種はハイイロイワシャコに含まれていたが、トルコから東に分布する本種がギリシャブルガリア西ヨーロッパに分布するハイイロイワシャコから分離された[11][12]

イワシャコは14の亜種に分けられる。

A. c. chukar (JE Gray, 1830) ? 基亜種。 アフガニスタン東部からネパール東部にかけて分布

A. c. cypriotes (Hartert, 1917) ? シマイワシャコ、英名Island Chukar。ブルガリア南東部からシリア南部、クレタ島ロドス島キプロスに分布

A. c. dzungarica (Sushkin, 1927) ? モンゴル国北西部からロシアアルタイ山脈南西部、チベット東部に分布

A. c. falki (Hartert, 1917) ? アフガニスタン北部中央から中華人民共和国西部のパミール山脈に分布

A. c. kleini (Hartert, 1925)

A. c. koroviakovi (Zarudny, 1914) ? ペルシャイワシャコ、英名Persian Chukar。イラン東部からパキスタンに分布

A. c. kurdestanica (Meinertzhagen, 1923) ? クルディスタンイワシャコ、英名Kurdestan Chukar。カフカース山脈からイランに分布

A. c. pallescens (Hume, 1873) ? キタイワシャコ、英名Northern Chukar。アフガニスタン北東部からチベット西部のラダックに分布

A. c. pallida (Hume, 1873) ? 中国北西部に分布

A. c. potanini (Sushkin, 1927) ? モンゴル西部に分布

A. c. pubescens (Swinhoe, 1871) ? 内モンゴル自治区から四川省北西部、青海省東部に分布

A. c. sinaica (Bonaparte, 1858) ? シリア砂漠北部からシナイ半島に分布

A. c. subpallida (Zarudny, 1914) ? タジキスタンキジルクム砂漠カラクム砂漠)に分布

A. c. werae (Zarudny and Loudon, 1904) ? イランイワシャコ、英名Iranian Chukar。イラク東部からイラン南西部に分布

保全の状態

イワシャコの個体群は狩猟や生息地の喪失にあまり影響を受けていない。個体群の増減は、繁殖期の気象に強く影響される。飼育されているイワシャコが南ヨーロッパで放鳥されており、在来種のハイイロイワシャコやアカアシイワシャコと交雑することがあれば在来種の個体群にとって脅威となるかもしれない[13][14]
行動と生態Alectoris chukar falkiの卵 冬のイワシャコ。ユタ州アンテロープアイランド州立公園にて

繁殖期以外では、イワシャコは10?50羽ほどの小さな群れを作る。夏期にはつがいを形成して繁殖し、雄はとても攻撃的になり、よくさえずり、戦うようになる[6][7][15][16]。冬期には谷に移動し畑で餌を探す。日中、特に朝方と夕方にはよく鳴く。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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