イラワジイルカ
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カワゴンドウ
カワゴンドウ
保全状況評価
ENDANGERED (IUCN Red List Ver. 3.1 (2001))[1]
分類

ドメイン:真核生物 Eukaryota
:動物界 Animalia
:脊索動物門 Chordata
亜門:脊椎動物亜門 Vertebrata
:哺乳綱 Mammalia
:クジラ目 Cetacea
亜目:ハクジラ亜目 Odontoceti
:マイルカ科 Delphinidae
:カワゴンドウ属 Orcaella
:カワゴンドウ O. brevirostris

学名
Orcaella brevirostris 
(Owen in Gray, 1866)
英名
Irrawaddy Dolphin
カワゴンドウの生息域

カワゴンドウ(河巨頭、学名:Orcaella brevirostris)はクジラ目ハクジラ亜目マイルカ科カワゴンドウ属に属する海棲哺乳類である。イラワジイルカ(イラワジ海豚)とも呼ばれる。
分類Philibert Charles Berjeauによる模写図。

カワゴンドウは、1866年、リチャード・オーウェンにより新種として報告された。カワゴンドウ属に属する二つののうちの一つである。外観がシロイルカに似ており、イッカク科あるいはシロイルカ科 (Delphinapteridae) に分類されることもあったが、現在ではマイルカ科に分類されるのが一般的である。遺伝子学的にはシャチに近いことがわかっている。

学名の brevirostris は、ラテン語の「短い口吻」に由来する。和名のカワ(河)は河口付近に棲息することに由来する。別名のイラワジあるいは英名のIrrawaddyは棲息地の河川名に由来する(詳しくは生息域の節を参照)。

2005年、遺伝子解析によって、北オーストラリアに棲息する種類は、カワゴンドウとは異なる別の種のオーストラリアカワゴンドウ(Orcaella heinsohni)であることがわかった。
生息域

東南アジアの河川の河口などや海岸近くに棲息する。

「カワゴンドウ」という名前ではあるが、カワイルカのように淡水河川に棲息するのではなく、海棲である。

英名 (Irrawaddy Dolphin) が示す通り、ミャンマーエーヤワディー川(旧称イラワジ川)をはじめ、ガンジス川メコン川など東南アジアの河川の河口や海岸近くの海域に棲息する。ベンガル湾の他には、ニューギニア、北オーストラリアなどに棲息する。
形態ヒトとの大きさの比較

産まれた直後の体長は1メートル、体重は10キログラム程度であるが、成長すると体長2.3メートル、体重130キログラム以上になる。

カワゴンドウは大きなメロンと丸い頭部を有する。口吻は短く不明瞭である。背びれは短く丸みを帯びた三角形であり、身体の2/3くらいの位置にある。

胸びれは長く、幅も広い。全身が明るい色であるが、背側よりも腹側の方がより白い。泥っぽい海域で見た場合、実際よりもより白っぽく見える。
生態ジャンプする個体(メコン川

カワゴンドウの泳ぎは、沖合性のイルカ類に比較すると概して遅く、形態や大きさや生息環境が似ているスナメリとの類似性も見られる。

回転するようにして上昇し、深く潜水する時のみ尾びれを水面上に上げて力強く泳ぐ。

スパイ・ホップ(Spy-hop:水面から頭部を出して周囲を見回す行動)の際に、口から水を吐くという習性がある。

寿命は約30年である。

他の沿岸性の鯨類と同様に、海岸近くや河川にも棲息するため、後述の通り、人間からの影響を受けやすい。
人間との関わり漁師との交流(クチン

ミャンマーエーヤワディー川では、現地の漁師と共同で漁を行う相利共生を行っている[2]

最も直接的な脅威は、油脂を捕ることを目的とした捕獲である。絶滅の危機に瀕しているとして捕獲は法的には禁止されてはいるものの、数万kmにおよぶ海岸線を監視することは現実的ではないため、禁止の実効性に関しては疑わしい点もある。刺し網による混獲や爆薬を用いた漁の巻き添えによる負傷はベトナムタイにおいては一般的なことである。

生息数の減少と生息域の縮小が大きな問題となっており、インドのチルカ湖 (Chilka Lake) においては、刺し網や地引き網によって、個体数がわずか50頭ほどに減少してしまったと考えられている。


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