イラク治安部隊(イラクちあんぶたい、Iraqi security forces)は、イラクの軍隊である。
2003年のイラク戦争における米軍のイラク占領に伴って解体された旧イラク軍に替わって同年編成された。 国防省(Ministry of Defense)の管理するイラク軍(Iraqi Armed Forces)、内務省(Ministry of Interior)の管理する警察(イラク警察)・準軍事組織(国境警備隊・連邦警察)、各政府機関の管理する施設警備部隊で構成されている。現在、軍事組織25万6,400人、警察組織34万人、国境警備隊2万8,300人、施設警備部隊15万人および契約警備員(民間軍事会社)2万6,000人の兵力を有する。北部のクルド人自治区はイラク軍とは別に「ペシュメルガ」と呼ばれる民兵組織を保有している。 なお、上記兵力のうち、2014年11月30日には、最低でも5万人が、給与を受け取りながらも兵士として勤務していない「幽霊兵士」である事が分かり、汚職が深刻である[1][2]。 かつては中東最強かつ世界第四位[3]の軍事力を有していたイラクであったが、1990年のクウェート侵攻をきっかけとした湾岸戦争によって主要な戦力を失い、その後の経済制裁によって本格的再建もままならず2003年のイラク戦争でサッダーム政権が崩壊した後すぐに警察以外の軍事組織は解体されてしまった。 しかし、終戦後の治安悪化から新しい治安部隊の再建が開始され、2003年度中には軍や警察の戦闘部隊が編成されることとなった。なお、イラク人新兵の教育には外国軍だけでなく民間軍事会社も参加していた。 だが、創設間もない新生イラク軍では武器の横流し、任務に就かない幽霊兵士
概要
歴史M16自動小銃とM4カービンを構え、建物内での行動要領を訓練するイラク陸軍兵士
2011年の外国軍撤退後は、イラクの治安維持と国防を自力で担っている。
2014年以降、イラク国内で急速に浸透したISIL勢力との戦闘が激化。アメリカから提供された武器や軍用車両を放り出して敗走し、多くを無傷で鹵獲されるなど失態を多く重ねたため、当時のアメリカ合衆国国防長官から「(イラク軍は)戦闘の意志を見せなかった」と強く批判受けている。しかしながらアメリカ軍による訓練や空爆などの支援を受けつつ徐々に体制を立て直し、2017年7月にはISILの拠点であったモースル奪還を達成する原動力となった[4]。「イラクでの戦い (2013?2017)」も参照 陸海空の三軍で構成される。最高司令官はイラク首相が兼任する。現在の参謀総長はクルド人のババカル・バドルハン・シャウカト・ズィバーリ大将(Babaker Baderkhan Shawkat Zebari)。 イラク陸軍(Iraqi Army)は、イラク戦争後に三軍の中で一番早く再建され、現在の戦力は13個師団(第13師団が欠番で、第1-第14師団まである)25万3,000人。各師団は4個旅団で編成されている。 保有する装備は創設初期では旧イラク軍から受け継いだソ連や中国製のものが大半であったが、現在は近代化が進み、M16A4、M4A1などのアサルトライフルや、インターセプターボディアーマー、CIRASなどの個人装備が供与され、車両はハンヴィーやMTVR、MRAPの配備が行われている。
国防省の管理する部隊
イラク軍
陸軍イラク陸軍のハンヴィー