イニシュマン島のビリー
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イニシュマン島のビリー (The Cripple of Inishmaan)
脚本
マーティン・マクドナー
初演日1996年12月12日
初演場所ロイヤル・ナショナル・シアター(ロンドン)
オリジナル言語英語
ジャンルブラックコメディ
舞台設定1934年、イニシュマーン島

『イニシュマン島のビリー』(英語: The Cripple of Inishmaan) 、別タイトル『夢の島イニシュマーン』及び『ビリーとヘレン』はマーティン・マクドナーによるブラックコメディの戯曲作品である。架空の物語だが、実際のドキュメンタリー映画アラン』の撮影を題材にしている。2001年の『ウィー・トーマス』及び未上演の『イニシェリン島の精霊』(The Banshees of Inisheer)とあわせてマクドナーのアラン諸島三部作を構成する[1]
あらすじ

芝居は1934年、アイルランドの西岸に位置するアラン諸島のイニシュマン島にある小さな村が舞台である。住民はハリウッドの撮影隊が島の生活についてのドキュメンタリーを作るため隣のイニシュモア島にやってくると聞いて沸き立つ。タイトルにある通りCripple、つまり「不具者」であり、孤児で村でははぐれ者扱いされているビリー・クレイヴンは、イニシュマン島のゴシップや貧困、退屈から逃れようと、さまざまな手段を駆使して撮影隊にどうにか接近しようとする。ビリーは撮影隊とアメリカに行くことになり、村の人々は驚く[2][3]
登場人物

ビリー・クレイヴン…孤児、足が悪く「不具者」(Cripple)と呼ばれている。

ケイト・オズボーン…ビリーをひきとって育てているおば。石に向かって話すので有名。

アイリーン・オズボーン…ビリーをひきとってケイトと一緒に育てているもうひとりのおば。ケイトとは姉妹。キャンディを隠している。

ジョニーパティーンマイク…村のゴシップ屋

ヘレン・マコーミック…ビリーが恋心を抱いている「乱暴な美少女
[4]」。

バートリー・マコーミック…ヘレンの弟。いわゆる「村のアホ」。

バビーボビー・ベネット…妻を結核でなくした船乗り。

マクシャーリー医師…村の医者。

マミー・オドゥーガル…ジョニーの90歳の母で、アルコール依存症。の死ぬまで飲み続けるつもりでいる。

上演史

『イニシュマン島のビリー』は1996年12月12日にロンドンロイヤル・ナショナル・シアターのコテスロー劇場でローリー・コンロイ主演で開幕した[5]。1998年4月にオフ・ブロードウェイのジョゼフ・パップ・パブリック・シアターで再びローリー・コンロイをタイトルロールに据え、アメリカ初演が行われた[6][7]。同じ年にフレデリック・ケーラーがビリーを演じてロサンゼルスでも上演された。

アトランティック・シアター・カンパニーと、アイルランド、ゴールウェイのドルイド・シアター・カンパニーの協働により、オフ・ブロードウェイで2008年12月21日から再演された。ギャリー・ハインズの演出で、キャストはケリー・コンドン、アンドルー・コノリー、ローレンス・キンラン、デブラ・モロイ、アーロン・モナハン、マリー・マレン、パトリシア・オコネル、デイヴィッド・ピアース、ジョン・C・ヴェネマだった[8]

2013年にはダニエル・ラドクリフがビリー役、マイケル・グランデージ演出によりロンドンのウエスト・エンドにあるノエル・カワード劇場で再演され、チケットは売り切れとなった。翌年、このプロダクションはブロードウェイのコート劇場にて期間限定で上演されることとなり、2014年4月20日の夜に開幕した[9]。このプロダクションは『ガーディアン』のマイケル・ビリントンなどをはじめとする劇評家から比較的高い評価を受けた[10][11][12]。一方で劇評家のリン・ガードナーは実際に障害を持つ役者ではなく、足に障害の無いラドクリフが障害者ビリーの役を演じることに関して議論を提起した[13]
日本語版

1999年、日本語版が『夢の島イニシュマーン』というタイトルで、文学座により紀伊国屋ホールにて鴇澤麻由子翻訳、鵜山仁演出、今井朋彦がビリー役で上演された[14]。紀伊國屋ホールでの上演後、第30回奈良県芸術祭の一環として大和高田市の文化会館さざんかホールでも上演された[15]。鵜山は初演時、この戯曲を「テネシー・ウィリアムズに通じるような湿度の高さを感じる戯曲」と評している[14]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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